新幹線大爆破 | 今日も映画馬鹿。

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第3回・新午前10時の映画祭 にて



新幹線大爆破



 を観て来ました。













1970年代の所謂洋画パニック映画ブームを睨んで作られた

和製パニック映画群の中で秀作とされる作品です。



二十数年前でしょうか、テレビ放映された時に一度見た記憶があり

映画館のスクリーンでは初めて観ました。

当時は、ヤクザ映画が主力だった東映作品というのがミソで

普段は組関係の役をやっていた俳優陣が

国鉄職員だったり警察官だったりするギャップが見所でもあります。







高倉健さんが時系列での犯人役と云うのも珍しく






爆弾を仕掛けられる新幹線ひかり109号の運転士が

千葉真一さんと云うのも意表を突いた配役だし







国鉄の新幹線運転室長を演じる宇津井健さんの立ち位置は

後の同種作品の基本を築いた役柄であるし







犯人グループの一人の過激派流れの人物役で

インテリ系の匂いを発する山本圭さんを配して

宇津井健さんと共にヤクザ映画の東映と云う傾向への差別化に成功しています。





犯人側の背景に高度成長期に弾かれてしまった人間の哀愁を滲ませ

社会派人間ドラマとしての一面も持ち合わせています。

題材が題材だけに国鉄の撮影協力を得られなかったにも関わらず

当時から国鉄の新幹線安全走行基準は優秀である事を盛り込み

それはJRになった今でも外力によるもの以外には大きな事故を起こしていない事実を

キチンと立証している先見性のある映画でもあった訳です。










ミニチュア撮影による特撮場面は、時代的な古さを当然感じますが、

新幹線が並行して激走する場面などは今観ても中々の興奮度を要し見応えがあります。

それまで特撮には余り関心がなかった東映の初本格特撮映画とも云えます。









当時、そのミニチュア撮影を東映が大々的に宣伝してしまった事が災いして

逆にツクリモノ感を助長してしまったのと

ヤクザ映画路線からの脱却を目論んだにも関わらず

従来の東映作品ファンからソッポを向かれた戦略の失敗もあり

制作費が掛かった割には観客の動員が伸びなかったとされ

大ヒットにはならなかったそうですが、

後の海外公開で好評を博した事や

その年のキネマ旬報読者選出ベスト1になったりと

あとから評価がジワジワ上がっていった作品です。



今回、スクリーンで観て成程その映画としての出来の良さを実感しました。

ムラがある佐藤純彌監督作品の中でもコレはいい映画です。

そして「 何度観てもすごい・・・」

午前10時の映画祭の一本に選出されている事が何よりの証明です。
































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