第15回東京フィルメックス
特別招待作品 ／ ジャパン・プレミア上映
さよなら歌舞伎町
監督:廣木隆一／脚本: 荒井晴彦・中野太／音楽: つじあやの
染谷将太 前田敦子
イ・ウンウ ロイ(5tion) 樋井明日香 我妻三輪子 忍成修吾／大森南朋
田口トモロヲ 村上淳 河井青葉 宮崎吐夢／松重豊 南果歩
２０１４年／製作キャンビット ハピネット／ビスタサイズ／１３５分
２０１５年１月２４日（ 土 ）より テアトル新宿 他にて公開予定
上映前に舞台挨拶がありました。
登壇者（敬称略）
前田敦子
南果歩
廣木隆一監督
舞台挨拶の内容
前田:
日本初の上映にたくさん集まっていただき嬉しい。
南:
トロント、釜山に続きやっと東京で上映出来て嬉しい楽しんで下さい。
廣木:
フィルメックスに選んで頂いて光栄です。
前田:
監督に呼んで頂いてお願いします！と言った。
自分で考える厳しさを教えてもらった。感謝しています。
南:
撮影に入ると時間の無さが消えて濃厚な時間になった。
目の前の人間が人生の主人公と云う形で撮影され
どんな映画になるんだろうと期待が膨らんだ。
廣木:
難しい役でいいとこのない役なのに二人に出てもらえてありがたかった。
前田:
弾き語りがあるのでギターを一ヶ月まるまる練習して撮影に入った。
南:
ラブホテルが舞台の設定が面白いと思った。
町田のラブホテルで実際に掃除の練習をした。
足と手を同時に使う技を身に付けた。
前田:
群像劇が個人的に好き。
共演者と撮影が別々が多かったが刺激的だった。
染谷さんが出す空気がありがたかった。
南:
撮影中、後半で疾走するシーンで監督も走って見切れてNGになった。
その姿を見て廣木隆一に一生ついて行こうと思った（笑）
廣木:
南さんは自転車でしたので…
〔それぞれの歌舞伎町への思いは？〕
廣木:
ピンク映画出なのでその頃から慣れ親しんだ街を撮れて良かった。
前田:
プライベートでは行かない（笑）
居るだけで不思議な場所だった。
南:
映画のタイトルだけでインパクトがあり
何かが起こる空気があり群像劇にはピッタリだと思った。
新宿歌舞伎町のラブホテルの雇われ店長である 徹（ 染谷将太 ）を狂言回しに据えて
その特異な街に寄り集まる人々の性を介した本音が潜む哀しくも可笑しい群像劇です。
徹の彼女ながらデビューしたいが故に枕営業に走る駆け出しの女性シンガー
偶然、撮影のためにホテルに来てAV女優なのがバレる雇われ店長の妹
暴行と窃盗容疑で指名手配され時効を声を潜めて待っている夫婦
お金を稼ぐため来日して実は彼女がデリヘル嬢の韓国人カップル
そのデリヘル嬢を心から慕う寂しい日本人男性
標的にした少女の純真さに触れて改心し足を洗おうとするデリヘル嬢のスカウトマン
エリート官僚の上司と不倫している妻帯者で子持ちの女刑事
本来交わる事のない人達の点が、それぞれ知らないところで線となり
図らずも作用し合ってひとつの方向へ導かれて行く妙が効いている脚本がいいです。
今まで荒井晴彦氏の脚本と廣木監督のコラボレーションの映画は
救いのない倒錯的恋愛劇が多く正直苦手でしたが、
この作品は、３．１１の影響を随所に散りばめつつ
そのテーマは重いながら何かカラッとむしろ明るい印象が強く
お二人の作品にしては鑑賞後感がいい意味で軽いのが意外でした。
韓国人のデリヘル嬢を演じる イ・ウンウ さんが
体を張った演技もさる事ながら表現力が豊かで魅力的な女優さんです。
徹の妹を演じる「 リュウグウノツカイ 」の 樋井明日香 さんが
そのサプライズな演技も含め印象的に残ります。
実は、脇役 ... の 前田敦子 さんも
ギター弾き語りやキワどい台詞もあり頑張ってはいるものの
出番が少ないのでは対処のしようがありません ...
終映後に廣木隆一監督のＱ＆Ａがありました。
以下、その主な内容です。
製作のきっかけは？
荒井氏が書いた脚本が初めにあって
読んでから監督を決めた
荒井さんの本なので断れない事もあり…
冒頭のシーンで前田さんが新大久保へ逆行したのは？
これから起こる事への伏線の意味があった。
暗くもなる要素なのに音楽が明るく
つじあやのさんを音楽に起用した理由は？
ラブホテルにピクニックへ行く感覚にしたかったので起用した。
つじあやのさんは多くのバリエーションの曲を書いてくれた。
韓国人のエピソードが多いのは！
大久保を含めた地理的なものを強調したかった。
反韓国デモの挿入は事実も隠さず表現したかった。
歌舞伎町に東北の人も多くいる事も描きたかった。
ホテルの部屋番号に３１１号室を使ったのは？
意図的です。
一番撮りたかった画は？
ラブホテルの部屋と今の新宿の街。
