温泉卵


引っ越し先で一息ついたのは10月半ば。ふと我にかえってみれば、

「あれ、ダルくないぞ??」

例年ならもうかなり動けないはずの時期です。
体調の良いときはダルイことなんて頭の外に追いやってたので、すっかり忘れてたのです。
そういえば私はまともに働くこともできないダルイ人だったはず、って。

思い返してみれば春頃の落ち込みもありませんでした。
体調の波の下半分がスコーンとなくなりました。

「あっれーー??」

ただ結婚して他人と生活してみて、驚いたことが2つあります。

「週末って、遊ぶためにあったんだー」
用事や買い物や気晴らしは仕事時間中に済ませて(笑)、週末はどこにも出かけずひたすら寝る!
これが普通だと思ってました。
そりゃたまには旅行に行ったりもしたけど、基本的に休日や有給休暇というのは寝るためにあるものだと思ってたのです。
でも休みって、気分転換に遊びに行ったりするためにあったんですね。

「帰ったらとりあえず寝たり、しないんだー」
帰ったら着替えて寝て、うだうだして、それからゴソゴソ起き出してご飯、じゃないの? そのまま起きてられるの?
そもそも寝るのは寝る時だけなのー! 
用のないときはひたすら寝てるのは変なのね。

普通に働いてて途中からいきなりこんな状態になっちゃった人って、すごく辛いんでしょうね。
でも私は働き始めた時からずっとこうだったから、そういうものだと思ってたのでした。
常識が違ってたんですよね。

やっぱり私は普通じゃないようです。これでフルタイムの仕事と家事の両立って、そりゃぁ無理でしょう。
ということでとりあえず主婦業に専念することにしました。

体力つけようとスポーツクラブに通い、お料理教室にも行き、家事優先で時間が合うフリーの仕事だけたまに、という生活になりました。
夜とか遠くとかに取材に出られないとなると、ほとんど開店休業でしたけど。積極的に営業する気もなかったし。


腫瘍のほうは引越後、再度、関西の某大学病院の教授先生を紹介してもらい、半年ほどで治療終了しました。
とても気を配ってくれる、人間的にもすごくいい先生でした。


この後6年間は、体調はかなり良かったです。病歴に入れていいのかどうか。
ただ治ったという感じではなかったですけど。

微熱は下がらなかったし、脈も速いままで、ジムに行ってイヤーセンサーつけて自転車こぎをすると、限りなく負荷が軽くなって空回りをはじめる、という状態は変わりませんでした。
親子ほど年の違うおばさま達に、絶対的に体力負けしてましたしね。いくら通っても。