さて気がつけば大学4年だった私は、就職を考えなければいけません。
当時はバブル絶頂。とにかく人手不足の超売り手市場でした。

私はそれまでアルバイトさえしたことがなく、働くということが恐怖でしかありませんでした。だいぶよくなったとはいえ、9時から5時まで起きていないといけないのが、信じられない。自信がない。

自分の働けそうな条件というのを考えました。

完全週休2日、残業なし。営業職で外を回るというのは無理。立ち仕事も絶対無理。
事務職で、でも会社で座ったままというのもしんどそうだから適当に外に出られて・・・。

薬学関係では無理です。スッパリ、そちら方面はやめました。
じゃぁ何ならいけるかって、マスコミ関係かなぁ、って。なんとなく労務管理がいいかげんそうなイメージがあったから。
あとね、私は子供の頃から読書魔だったので、そのせいか国語の成績よかったし。
だからなんとかなるんじゃないかなぁと。

それに情報産業にいたら私のこのわけのわからない状態の解決の手がかりもみつかりやすいんじゃないかと思って。

と、いうのは自分への言い訳の理由。
ほんとはそっちの仕事の方がおもしろそうだったから(笑)。
どっちにしろギリギリのところでかせがなきゃいけないのだったら、楽しい方がいいもーん。

求人情報誌に「残業はありません」と書いてあった広告代理店に行って、何しろバブル期のこと、あっさり採用で、まぁここでいいっかって。


入社後はいちお企画担当ということで。
何してたかわからないのですけど。
業界事情やら、コピーライティングやら、パソコンまで覚えて。

ワープロもまだ珍しい時代だったけど「パソコンほしー」っていったら「好きなの買っていいよ」っていうんだもん。
本を見ながらポチポチ勉強し、疲れたら「図書館にいってきまーす」と家に帰ってお昼寝。
いろんなセミナーとかも行かせてもらい放題だったし。

ありなんかなぁ。

良心がとがめるのでいっぺん部長に聞いてみたら、ありでいいっていうし。
ほんとに言ったのよ。ありでいいって。


3年ほどして、なんだかな? と思って今度は雑誌出版社に転職し、雑誌の編集の仕事を覚え。

この会社も、のんきでした。
休日出勤なし、残業もほとんどなし。しかも自主的にかなりフレックス。
有給休暇は当然全部消化。
それでも足りなくて、直行直帰のズル休みしてました。
後で計算してみたのですけど、祝日を入れると週4日弱くらいしか働いてないようでした。

同僚も、さばけた人ばかりで。
よく会社の机でつっぷして爆睡してましたけど、起きると「折り返しTEL」のメモがいっぱい貼ってあるんです。
携帯電話のない時代、かかってきた電話にみんな私が寝てるもんだから、外出中って言ってくれてたわけです。
「戻りですか? えー、たぶん2時間後くらい・・・」
って。
編集長まで(笑)。

そんなんでも、許容してもらえる時代だったんでしょうね。
今の時代では、こうはいかないのでしょうね。


病院は何件か行きました。

仕方ないものだと思ってたけど、そうは言ってもおかしすぎる、何かがおかしいと病院に行く。
でも検査してもまったく異常がありません。

「異常ないです」
「じゃぁ、この延々と下がらない微熱はなんなんですか?」
「さぁぁぁ」
・・・ガルル。

やっぱり仕方がないのかと思いました。
そういう体質なのか、根性が足りないのか、みんな辛いのにがんばってるのに、私はなんて情けないのだとか。

それでもおかしい、と思って別の病院に行ってもやっぱり・・・という繰り返しでした。
毎年の健康診断でも、まったく異常はありませんでした。大学生の時はあんなに異常だらけだったのに。

自分でも半ば諦めていたので、病院もあまり積極的には行きませんでした。
病院って、診察と結果で2日休まないといけないんですよね。ただでさえ休んでばっかりで、休みは貴重なんですもん。