今さら、なにも。
いつかは、あなたと一緒になると思っていた。
歩み寄れないあたしたちが、どうなっていくのかが楽しみだった。
今ではもう、消え入りそうな願いにも似て。
ただいたづらに過ぎるときが、もどかしい。
ぶっきらぼうな言葉遣いと仕草。
その裏に見え隠れするお互いの好意。
少しでも素直になったら歩み寄れていた?
もう少し素直な言葉ならつなぎとめられた?
一緒にいて。
行かないで。
そばにいて。
頭の中では反芻できるのに、
心の中では縋れるのに、
口からは出てこなかった言葉たち。
必要な言葉は、必要な分だけ伝えなければならない。
それを知っていたのに、
知らないふりをしていた日。
後で悔やむことほど、ココロが痛むことはないかもしれない。
あおい空、どこまでも続いて。
浅い眠り。
一瞬の覚醒。
そしてまた浅い眠り。
それを繰り返して目覚めた朝は気分が晴れない。
アタマもマブタもカラダも重い。
そしてまた足取りも、重い。
味気ない日々。
新鮮味も感じられないままで単調な日を過ごすこと。
なにもかもがどうでもよくなってきて、
生返事をするばかり。
キミが僕に気づかなくても、僕はココで低迷してる。
自分が落ち続けているときに、なぜ他人は輝いて見えるのだろう。
そうやって羨ましく思っているうちに、
僕はどんどん自分を蹴落としている。
そんな事実を知りながら。
昇降を繰り返す。
でもきっと誰しもそうだから、僕だけじゃないから。
だからまだ生きていられる。
生活を続けられる。
どこまでも続く青い空と、晴れやかな笑顔のキミを想う日々。
決して無駄なことなんてないと、言い放つキミ。
僕はどれだけキミの言葉に背中を押されたんだろう。
キミは、今どこでなにを考えている?
僕が見えるのは窓に切り抜かれたような狭い狭い空だけれど、
この空はキミの頭上までずっとずっと続いている。
その事実を信じてやまない。
現状維持で。
彼と一緒に歩くとき。
つきあってるわけじゃないから手はつながない。
でも彼は、先を歩いては時々歩幅を狭めて振り返る。
あたしのため。
あたしは少し大股で速く足を動かして、
彼に追いつく。
ぶつかる腕。
伝わる振動と、動く鼓動。
目は合わせない。
彼とは連絡を滅多にとらない。
お互いに特別な人がいるから、なんてそんなわけじゃない。
彼とその先を望むことで、
今の形が崩れることが怖いから。
電話もメールも、
少し時間を空けてからしか返してあげない。
彼は、そんなあたしに気づいているだろうか?
彼と偶然街中で出逢いたくない。
少し気合を入れて、
気に入った服、化粧を選んでいるのは彼のため。
気の抜けたあたしは見せたくない。
これが恋だろうか。
でも。
今を壊したくはない。
スロープ。
あのひとはいつもこの道を通る。
クラブハウス棟の窓から見下ろせるスロープ。
授業が終わった後、もう古くて使われていない旧校舎へ続くこのスロープを、
彼女は渡っていく。
なにをしに行くのかわからなかった。
旧校舎はもうすぐ取り壊されて新しい校舎が建設予定だ。
そんな場所になぜ行くのだろう。
私は彼女が通るのを見るのが好きだった。
長い黒髪が揺れる。
長身で細長い身体。
綺麗だと思う。
彼女は足早にそのスロープを往来する。
上るときも下るときも。
これを恋とは言わないはずで、
でもなにか存在が気になる女の人。
大学構内でもいればすぐに目が行く。
近づきたいような気もするけれど、
突然声をかけたら驚かれるに違いない。
ただ見ているだけのひと。
いつか近づくことができるだろうか。
いつか。
終
サクラサク?
気がつけばさくらのつぼみが2,3開いていた。
次に気づいたとき、
さくらの花は木を覆うように咲き綻んでいた。
あのヒトと出逢ったのはこんな時期。
満開を追い越して、
強い風に舞い上がる花びらと、
静かに木の下でたたずんでいる彼。
下駄箱に入れられた短い手紙と、
筆跡から差出人を必死に定めようとするあたし。
真面目そうな眼鏡と黒髪を認めた瞬間、
あたしは嬉しくて頬の筋肉が歪みそうになるのを抑える。
返事ならもう決まっている。
あたしは黒い筒を握り締めてゆっくり、
彼に近づいていく。
彼があたしに気づいたら、
とりあえず微笑(わら)ってあげよう。
彼はあたしに、どんな言葉をくれるだろうか。
Lily Rose Gardenリニューアル。
アメブロのリニュついでにこのブログもリニュしました。
管理人ナツメはもう居ません。
本来裏ブログとして運営しておりましたが、
そういう暗くなることはもうやめました。
今後は小説やら詩やらを書いてみようかなぁと。
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こちらからの読者登録は全て解除させていただきました。
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