Lily Rose Garden-別館- -19ページ目
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今さら、なにも。

いつかは、あなたと一緒になると思っていた。

歩み寄れないあたしたちが、どうなっていくのかが楽しみだった。

 

今ではもう、消え入りそうな願いにも似て。

ただいたづらに過ぎるときが、もどかしい。

 

ぶっきらぼうな言葉遣いと仕草。

その裏に見え隠れするお互いの好意。

 

少しでも素直になったら歩み寄れていた?

もう少し素直な言葉ならつなぎとめられた?

 

一緒にいて。

行かないで。

そばにいて。

 

頭の中では反芻できるのに、

心の中では縋れるのに、

口からは出てこなかった言葉たち。

 

必要な言葉は、必要な分だけ伝えなければならない。

 

それを知っていたのに、

知らないふりをしていた日。

 

後で悔やむことほど、ココロが痛むことはないかもしれない。

あおい空、どこまでも続いて。

浅い眠り。

一瞬の覚醒。

そしてまた浅い眠り。

 

それを繰り返して目覚めた朝は気分が晴れない。

アタマもマブタもカラダも重い。

そしてまた足取りも、重い。

 

味気ない日々。

新鮮味も感じられないままで単調な日を過ごすこと。

 

なにもかもがどうでもよくなってきて、

生返事をするばかり。

キミが僕に気づかなくても、僕はココで低迷してる。

自分が落ち続けているときに、なぜ他人は輝いて見えるのだろう。

そうやって羨ましく思っているうちに、

僕はどんどん自分を蹴落としている。

 

そんな事実を知りながら。

昇降を繰り返す。

でもきっと誰しもそうだから、僕だけじゃないから。

だからまだ生きていられる。

生活を続けられる。

 

どこまでも続く青い空と、晴れやかな笑顔のキミを想う日々。

決して無駄なことなんてないと、言い放つキミ。

僕はどれだけキミの言葉に背中を押されたんだろう。

キミは、今どこでなにを考えている?

僕が見えるのは窓に切り抜かれたような狭い狭い空だけれど、

この空はキミの頭上までずっとずっと続いている。

 

その事実を信じてやまない。

現状維持で。

彼と一緒に歩くとき。

つきあってるわけじゃないから手はつながない。

でも彼は、先を歩いては時々歩幅を狭めて振り返る。

あたしのため。

 

あたしは少し大股で速く足を動かして、

彼に追いつく。

ぶつかる腕。

伝わる振動と、動く鼓動。

目は合わせない。

 

彼とは連絡を滅多にとらない。

お互いに特別な人がいるから、なんてそんなわけじゃない。

彼とその先を望むことで、

今の形が崩れることが怖いから。

 

電話もメールも、

少し時間を空けてからしか返してあげない。

 

彼は、そんなあたしに気づいているだろうか?

 

 

彼と偶然街中で出逢いたくない。

少し気合を入れて、

気に入った服、化粧を選んでいるのは彼のため。

気の抜けたあたしは見せたくない。

 

 

これが恋だろうか。

でも。

今を壊したくはない。

スロープ。

あのひとはいつもこの道を通る。

クラブハウス棟の窓から見下ろせるスロープ。

授業が終わった後、もう古くて使われていない旧校舎へ続くこのスロープを、

彼女は渡っていく。

 

なにをしに行くのかわからなかった。

旧校舎はもうすぐ取り壊されて新しい校舎が建設予定だ。

そんな場所になぜ行くのだろう。

 

 

私は彼女が通るのを見るのが好きだった。

長い黒髪が揺れる。

長身で細長い身体。

 

綺麗だと思う。

 

 

彼女は足早にそのスロープを往来する。

上るときも下るときも。

 

これを恋とは言わないはずで、

でもなにか存在が気になる女の人。

 

大学構内でもいればすぐに目が行く。

 

近づきたいような気もするけれど、

突然声をかけたら驚かれるに違いない。

ただ見ているだけのひと。

 

いつか近づくことができるだろうか。

いつか。

 

 

 

 

サクラサク?

気がつけばさくらのつぼみが2,3開いていた。

 

次に気づいたとき、

さくらの花は木を覆うように咲き綻んでいた。

 

 

あのヒトと出逢ったのはこんな時期。

満開を追い越して、

強い風に舞い上がる花びらと、

静かに木の下でたたずんでいる彼。

 

下駄箱に入れられた短い手紙と、

筆跡から差出人を必死に定めようとするあたし。

 

 

 

真面目そうな眼鏡と黒髪を認めた瞬間、

あたしは嬉しくて頬の筋肉が歪みそうになるのを抑える。

 

 

返事ならもう決まっている。

あたしは黒い筒を握り締めてゆっくり、

彼に近づいていく。

 

彼があたしに気づいたら、

とりあえず微笑(わら)ってあげよう。

 

彼はあたしに、どんな言葉をくれるだろうか。

Lily Rose Gardenリニューアル。

アメブロのリニュついでにこのブログもリニュしました。

管理人ナツメはもう居ません。

本来裏ブログとして運営しておりましたが、

そういう暗くなることはもうやめました。

今後は小説やら詩やらを書いてみようかなぁと。

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今までのご声援ありがとうございました。

興味があるようでしたら、引き続きよろしくお願い致します。

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