雨と風が流れて

雨と風が流れて

ルルルルル

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ある深い森の入り口近くに若い王様と


眠れる森の美女がいました。


若い王様はその眠れる美女を起こしたばかりでした。





深い森の入り口前には


それはそれは美しい湖が光に照らされて輝いていました。


透き通った水の上を白鳥がスイスイと泳いでいたり


木々の間からは美しい鳥の声がその場を奏でていました。






若い王様は眠れる美女と見つめ合いながら


優しく微笑んでいました。





若い王様は腰につけた鞄の中から赤いリンゴを取り出しました。


若い王様はその赤いリンゴを眠れる美女に渡しました。



眠れる森の美女はその赤いリンゴを一口かじりました。




リンゴの実は皮だけでなく実も赤く


とても甘くどこか不気味でした。




空には夜の闇が深く星が空一面に輝いていました。


だけど空の下は光に包まれていました。




眠れる美女はその赤いリンゴを半分ほど平らげると


首から上だけが山羊に変わりました。




若い王様は腰に刺していた剣を取り出し


眠れる美女の首を刎ねてしまいました。


眠れる美女の胴体と首はその場に崩れおち


血の海の上に赤いリンゴも転がりました。





すると深い森の奥から一羽のフクロウが飛んできました。


フクロウは眠れる美女の胴体の胸の上にちょこんと止まりました。


フクロウはその胴体の中に静かに沈んでいきました。


やがてフクロウは胴体の中へ消えてしまいました。






首のない眠れる美女の胴体はやがて立ち上がり


その深い森の中をゆらゆらと奥へ奥へと消えていきました。






若い王様は眠れる美女のヤギに変わった首を拾い


美しい湖の中へ投げ捨てました。




ザブーンという音が響き白鳥達は翼を広げ


真っ暗な空へと飛び立ちました。




そして眠れる美女の血のついたリンゴを拾い


ムシャムシャと食べてしまいました。


口元には赤い血がべっとりと


若い王様の青ひげを隠しました。