くすだま日記  ~映画「朝日のあたる家」応援中!~



いよいよ、いよいよです。



超満員の会場の中ほどの席で鑑賞しました。


シナリオは読ませていただいていたし


ロケ現場にも立ち会わせていただいていたので


映画の内容はある程度知ってはいるものの


編集され音楽が入るとどんなふうに変わるのか


とても楽しみでした。


それに、エキストラ出演もしているので


変なおばさんが写っていて物語の妨げにはなっていないか


ちょっと気になってもいました。



冒頭の、先日世界文化遺産入りした富士山


これはこの映画の始まりにふさわしいな、と思いました。


そして自然が豊かな湖西市の美しい四季の風景も素晴らしく


そこに折り重なるあかね(平沢いずみ)のモノローグがまたとってもいいのです。


この四季の風景撮りのエピソードなどを知っているせいか


ここで早くもうるうるしてきました。


そして平田家の朝の様子。


ここはどこにでもあるごく平凡な家庭の微笑ましいシーンが続くのです。


あかねがちょっと意地悪そうな目でイチゴを食べてしまうところが


とても好きです。


場内ではクスクスっと笑う声が聞こえます。


ブルース(ブルドック)の登場になるとかなりの反応。


隣に座っていたおばあさんは「あらあら、素敵なワンちゃんだこと」と


ニコニコしながら愛おしそうな雰囲気でした。


もちろん私もブルースが可愛くて可愛くて


とてもいい演技をしていたので嬉しくなってしまいました。



でも、そんな微笑ましいシーンは地震発生からなくなり


あとはハラハラ、ドキドキで重苦しいシーンの連続です。


詳しく書くとネタバレになってしまうのでやめておきますが


この映画の中で起きたことはそのまま福島で起きたことであって


当時の首相や官房長官や学者や役人たちの言ってきたことや


テレビ・新聞の報道も同じです。


映画を観ていて、そうだ、そうだ!あの当時これと同じだ!


怒りがこみ上げてきました。


そしてどうやっても放射能には負けてしまう現実が沢山あって


どうにもならないやるせなさで辛くて悲しくなります。


でもそこに一筋の光が見えます。


光太郎おじさん(山本太郎)が入院中の舞(橋本わかな)を


見舞うシーンでいうセリフです。


ここのシーンは本当にいいです。


山本太郎さんのセリフは自身の心の声だと思います。


それくらい信憑性があり説得力があるのです。


でも、とても悲しい。


涙があとからあとから流れ出ました。


内容とは前後しますが、お母さん(斉藤とも子)が


避難所から一時帰宅したときに気が狂わんばかりのあかねに対して


大声で叱るシーンでは体中に電気が走るような衝撃をおぼえました。


子を思う母親として同じ気持ちになりました。


そこからはこれでもか、これでもかと辛いこと続きでした。


冒頭の楽しくおかしい場面で起きていた笑い声もすっかり消え


会場のあちこちから鼻水をすする音がきこえてきます。


ラストシーンではもう嗚咽の声が出そうでした。



2時間のあっという間の映画でしたが


反原発を前面にだした過激な映画ではなく


原発事故によって、平凡な一家が生活や土地を奪われ


それまでの何気ない日常がどれほど幸せであったかと気づく物語です。


この映画を通して、私自身も変わりばえしない毎日の生活が


とても幸せなんだと気付かされました。


とても心に残るいい映画でした。


まだまだふるさとへ帰れず、未だに避難生活を強いられている


福島の人たちのことを忘れてはいけないと思います。



この映画を多くの人に観ていただき


これからの日本の原発の在り方を考えてほしいです。





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