藤沢周平の隠し剣シリーズ、映画『必死剣鳥刺し』をDVDで鑑賞。


江戸時代、東北の小藩でのこと。 妾との愛に溺れ、藩政を疎かにする藩主。 しかも妾の讒言により悪政はエスカレートしていく。 藩の行く末を案じた近習頭取の兼見三左エ門(豊川悦司)・剣豪(天心独名流)は、殿中で能物見のあと妾の殺害に及ぶ。


処分は一年間の蟄居閉門と軽く、中老の津田民部(岸部一徳)の取り成しによって、もとの職務に復帰する。 妻の姪(池脇千鶴)は献身的に三左ェ門を支える。 ある日、中老・津田民部より、藩主の弟が藩政に意見しに参内したとき、この直心流の剣の達人を討つことを命じられる。 その裏には、剣の達人同士を相打ちにし、藩政に意見する弟と愛妾を亡き者にした三左エ門を同時に始末する目論見が。


藩主の弟を殺害したとして、三左ェ門は殿中で藩士に取り囲まれ、いくら剣の使い手とはいえ、手負いで多勢に無勢、壮絶な斬り合いの末、遂に力尽きる。 そして歩み寄る中老・津田民部に必死剣・鳥刺しを使う。


映画で観るとやや平面的な感じ。 というか原作の中に詰まっている程には、各々の感情が十分に映像から読み取れない。 原作が偉大すぎる。 けっして映画がNGなのではない。 文字である原作の放つ熱を、はたまた感情の機微を約120分の映像に封じ込め、再現する、または脚本で新たな切り口で見せるというのは実に難しい作業であると思った。

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