村上さん肺水腫で下山(シシャパンマ到着まであと18日) | 栗城史多オフィシャルブログ Powered by Ameba

村上さん肺水腫で下山(シシャパンマ到着まであと18日)

ナマステ。

今、標高5100mのベースキャンプにいます。
酸素飽和度(SpO2)は76%と病院だと悪い数字ですが、
高所ではそんなに悪くない数字です。

頭が痛いとか色々とありますが、
ゆっくり高所順応をしていきたいと思います。

昨日はシシャパンマ南西壁の偵察に標高5500mまで向かう。
山自体はベースキャンプから見えていても、肝心なのはルートの状況。
コンクリート並に固いブルーアイスや雪の状態、
また落石が多く、そのルートの状況によっては
登山すらできない場合もある。

だから山が見えて一瞬興奮しても、
本当の喜びはやはり登頂するまでお預けだ。

ルートを確認後、一つ心配してたことがあった。
今回2度目の参加となる発電担当の村上さんの体調が
良くなかったことだ。

村上さんは南極観測隊の経験があり、
極地の生活・建築についての研究者。
昨年のエベレストで知り合い、今回は発電担当で参加してもらった。

高性能ソーラーパネル3枚、ジェネレーター2台。
なぜ、そんなに電力がいるのか。
それはまだ言えないが、我々にとって電気は重要なパートである。 

その村上さんの調子が悪くなったのは、
ニュエラム村(3800m)を出発した時だった。

SpO2は80を越えており、出発するには絶好の体調だ。

しかし、歩き始めてからしばらくして息切れをおこし、2日間付きっきりで登ってきた。
ベースキャンプに着いてからは、朝まで「ウ~」とうなされていたほど。

ちなみに僕は昨夜、突然テントの中で「ミャ~」という
猫の声が聞こえ、焦って起きて猫を探すが、
それは猫の声ではなく自分の鼻が詰まった音だった。

朝、村上さんの体調が悪化。
咳をして横になって寝られない状況だった。

これは明らかに肺水腫の兆候である。
一刻も早い下山が必要だった。

ちなみに僕も肺水腫を2度経験している。
アコンカグアのポーランド氷河取り付き近くで
一人で2日間、腹式呼吸で無理矢理治したことがある。
でもそれは奇跡的なもので、本当は早く下山することが一番だった。

村上さんに衛星電話を持たせ、
ロメスという若いシェルパを一人つけて下山させた。

しかし2時間後に、そのロメスが一人ベースキャンプに戻ってきた。

何があったのかと聞くと、道を間違えて
村上さんが動けなくなったとのことだった。

そして村上さんから本のしおりのようなものに
GPSの数字が書かれていた。「肺から血が出た」とも書かれていた。

村上さんはヒマラヤに慣れていない。
天気も悪く、だいぶ精神的にもきている。

そこでサーダーとカメラマンの石井さん、シェルパのカミさんが
医療用の酸素ボンベを持って向かった。

向かう時、一緒にいた門谷君(通称ジャンボ、体が大きくご飯を食べる量がはんぱじゃない)が「これでいっぱいご飯が食べられる」と不謹慎なジャンボ冗談が飛び出す。

現在、村上さんはシェルパ2名と共に
ニュエラム村付近まで下りている。
天気が悪く心配だが、今日中に標高4500mの中間キャンプまで
降りられれば、大丈夫。 

ゆっくり体調を整えて戻ってきて欲しい。

ナマステ。



写真1 村上さん下山。ニュエラム村まで歩いて2日。
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写真2 村上さんからの伝言メモ。GPS情報が書いてあるが、村上さん以外、誰もGPSを持っていない。全員地図派だった。
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写真3  現在も下山中です。
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