意外と知らない!?鉄分のとり方 | 暮らしに虹をかける会

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こんにちは、吉冨です。


現代生活では特に鉄分不足が指摘されています。国民栄養調査によると日本人の鉄分の摂取量が終戦直後に比べ約6分の1まで下がっていそうです。(当時の調査がどこまで信憑性があるかはわかりませんが)





そこで貧血のとり方について簡単にまとめていきます。(あくまで参考に。詳細は信頼のある医師の指示に従ってください。)



鉄分をとる前に気をつけたいこと


貧血の大半のケースはいわゆる鉄欠乏性貧血であることが多いです。他にも、ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血、ヘモグロビンの生成ができなくなって起こる鉄芽球性貧血、慢性腎不全患者に発症する貧血などなど、貧血はさまざまな原因でおこります。





ここでは原因が鉄分不足の場合を考慮していきます。


まず、安易に鉄分不足のせいにしてすぐに鉄分を摂取するのは、かえって危険だったりします


ソマリアの難民キャンプにおいて、貧血の患者が多い地域で鉄のサプリを与えたところ、貧血はすぐに治ったのですが、その後40%の人が深刻な結核・マラリアなどの感染症にかかってしまったというようなデータがあります。このようなパターンは、これだけでなく他にも多々あります。


実は、病原菌は人体に貯蔵される鉄を奪うことで繁殖しやすくなり、人の体を病気にかかりやすくします。人は鉄を必要最小限しか持たないことによって、病原菌の感染から身を守っているのです


特に女性の場合は病原菌が子宮から侵入してきて感染しやすくなります。体は貧血になってでも鉄を不足にしておく方が病原菌に対する防御機能がつき、まだそういう意味では貧血の方がマシだという、体の仕組みを発達させたのです。





それでも病原菌は体内で生き残りをかけ鉄を奪い取ろうとします。ここで、体内にあるトランスフェリンという物質が鉄と協力に結合することで、病原菌に鉄を奪われないようにし、さらには鉄を必要としている細胞に鉄を運ぶことさえできます


しかし、病原菌も負けじとさらに攻撃してきます。病原菌が自分の細胞内にこのトランスフェリンに対抗する機能であるシデロフォアという物質を生成し、鉄と結合させ、細胞内に鉄の輸送をさせていきます。

このような鉄の争奪戦が、今でも私たちの体内で繰り広げられているわけです。

そうして、結局、人体は死なない程度に鉄を減らしていきます


私たちの体では40~50mgの鉄を摂取しても、腸にはわずか1~8mg程度しか吸収されません。これは単に鉄が人体にとって吸収しにくい性質を持っているからだというわけではないのです。病原菌の繁殖を促さないよう、ヘプシジンという物質を使って、腸における鉄の吸収をわざわざ制限させているのです。


病原菌に感染しておらず貧血がおきた時には、ヘプシジンが作られなくなり腸での鉄の吸収は増加されます。しかし、ヘプシジンによってある程度は吸収にブレーキがかかることがあり、これが多くの女性に貧血をもたらす原因になっています。


以上から、貧血が起きたからといって、安易に鉄分を摂取すると、感染症になってしまうことがあるわけです






貧血が起きやすい人は鉄分を摂取する必要が当然ありますが、その前に、まず病原菌を寄せ付けないよう自らの栄養状態を取り戻し、食生活をよりよく改善し、腸内バランスや免疫を整える必要があるのです。そのためには、糖質の過剰摂取、添加物などの化学物質を体内に取り込まないようまず食事改善をする必要があるのです。




どんな鉄分をとった方がよいの?


摂取する鉄分は2種類あります。肉・魚などの動物性食品に含まれるヘム鉄、野菜・海藻などの植物性食品に含まれる非ヘム鉄があります。吸収率をみると、ヘム鉄のほうが数倍も吸収されやすいのです。(ヘム鉄で約10~20%、非ヘム鉄で約2~5%)


まず、鉄分のほとんどは小腸から吸収されることを知っておきましょう。


ヘム鉄は二価鉄という構造で、タンパク質にくるまれていることがほとんどです。有機鉄に分類されます。胃酸にかかってもすぐに全部が溶けてしまいませんので、ある程度たんぱく質にくるまった状態で小腸まで届きます。このヘム鉄はイオン化しやすいので小腸に入るとゆっくり消化吸収されていきます。


非ヘム鉄は三価鉄という構造で、無機鉄の鉄イオンで消化吸収されにくい構造になっています。
さらに、非ヘム鉄は腸から吸収される前に食物繊維、フィチン酸、タンニンなどから吸収の阻害を受けやすいのです。非ヘム鉄をとる場合は吸収促進させるビタミンCや動物性タンパク質(消化酵素)と一緒にとると、非ヘム鉄の三価鉄(酸化鉄)が還元され、二価鉄(ヘム鉄)になり、ようやく吸収できるのです。胃酸によっても還元されます。


※ヘム鉄は鉄ポルフィリン複合体に囲まれていますので、食物繊維、フィチン酸、タンニンなどの吸収阻害を受けずにしっかりと吸収できます。



サプリや鉄剤については?


がん患者の中で、がんが進行すると貧血になる人がほとんどだそうです。こうなると一般の病院では鉄剤の注射をすることがありますが、病院で処方される鉄剤はほとんど無機鉄(三価鉄)です。


鉄剤(無機鉄)を摂取すると活性酸素が発生するため、胃腸に糜爛(びらん)が作られることがあり、胃が痛んだり、吐き気がしたり、活性酸素により倦怠感を訴えることがよくあるようです。ヘム鉄では活性酸素の発生はありません。





サプリメントですが、やはり非ヘム鉄を原料とするものがほとんどです。たまにヘム鉄サプリもありますが、安いものであれば虚偽の表示をしている疑いが強いです。ヘム鉄はわずかな量で、無機鉄の含有量の方が多かったりすることもあるようです。


緊急時はサプリまたは鉄剤の併用も考慮しなければなりませんが、日頃の摂取はやはり食品からのヘム鉄をとるべきでしょう。




以上、簡単にまとめてみました。鉄分についてはまだまだたくさんいいたいことがありますが、現代の日本人の三大栄養不足のひとつ(?)鉄分はしっかり意識してとっていきたいですね。