これで合点がいった | 数多久遠のブログ シミュレーション小説と防衛雑感

これで合点がいった

ボーイングがF-15SEなるF-15の新型を発表したそうです。
http://toyotei.blog65.fc2.com/blog-entry-1537.html


ステルス性を高めたF-15であるとのことですが、詳細はリンク先の他、その先のボーイングのサイトなどを確認下さい。
かなり大幅な改造がなされているようで、F-15Kのような、輸出先に合わせた単なるカスタマイズの域にあるようには思えません。


さて、私が書きたいのは、このF-15SEがカッコイイとか言う話ではありません。(ネットではこれで盛り上がっている)
この発表で、最近報じられていたFX選定における防衛省の変心ぶり(の理由)が理解できたということです。


今回発表になったF-15SEは、米軍主導の開発ではありません。つまりは、ボーイングの自主開発ということです。
IFV程度でしたらメーカーの自主開発は今までにも聞いたことのある話です。
ですが、既存機の改造とは言え、これほど大掛かりな改造機を、自国の軍隊が顧客になるはずがないことが分かっていながら開発するというのは、企業行動として普通であればなかなか考えにくいことです。
少なくとも、見込みの販売先に対して、有力な対抗馬がないことが分かっていなければ、そんなリスキーな選択はしません。


つまりボーイングは、ロビー活動によりF-22の禁輸を解かせない確信があるということです。
今までF-22の外国への販売は、アメリカ議会が止めてきました。

一部には輸出解禁を主張する議員もいますが、あくまで少数派です。
ボーイングほどの企業になれば、議会や政府内にも相当に強いパイプがあります。

ロビー活動の中で、ライバル会社であるロッキード・マーチンのF-22の販売を封じることが可能だと見ていなければ、社内的にF-15SEの開発にゴーをかけるとは到底思えないのです。


そして、このことを踏まえれば、ここ最近になって、防衛省がFXの候補にタイフーンを真剣に考え出したなどという情報が出てきている理由が理解できます。
防衛省としては、なにを置いてもFXにはF-22が欲しいのでしょう。

ですが、このF-15SEの情報を聞き、F-22を断念せざるを得ないと判断したのではないかと思われるのです。
FXの候補には、F-15FXも入っています。選定に向けた情報収集の中で、ボーイングからF-15SEについて情報開示があったのではないでしょうか。


私は決してスペック厨ではありません。むしろ「寡兵敵せず」という考えですので、質を落としてもある程度の数が必要だと思っています。
ですが、ことFX選定ではF-22がベストだと思っています。理由は、近い将来に蓋然性の高い尖閣諸島などの島嶼防衛戦では、双方ともに政治的な判断で策源地攻撃などができず、紛争地域周辺での局地戦にならざるを得ないだろうと考えているからです。
そのため、防衛省と同様に、今回のF-15SEの情報は、残念なニュースです。


これからFX選定がどのような方向に行くかはまだ分かりません。

ですが、このニュースはFX選定にとって非常に大きなトピックであることは間違いありません。