④美容整形における美の基準について-2 | Kunoクリニック 院長ブログ

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アンチエイジング゙手術で世界最多のデザインパターンを有する経験と実績から広くて深い美容の世界をご紹介します。あなたのキレイの参考になれば幸いです。

具体的に、まずVASER超音波を用いて平均的な身長・体重の日本人女性のウエストの括れをデザインする際、ウエストの位置を下方に下げない方がいいのか、最大限の括れを創るべきなのか施術者のセンスと患者様御本人の具体的な理想を聞き出すコミュニケーション能力が問われます。括れを最大にすることは元の体型よりもウエストの位置が下がることを意味していて、西洋人と比べると胴長短足に見えてしまうことがあるからです。一方で最近筆者は、美容整形外科医になって15年目で初めて「ヒップラインが全く無い臀部を形成して欲しい」と或る女性患者に要望されました。ヒップラインをリフトする術式とヒップラインそのものを無くす術式には天と地程の差があります。それ以前に個別の骨格・筋肉・皮下組織、手術瘢痕下の線維性組織や(腹部なら)腹壁のヘルニアの有無、運動時の皺や括れの位置や程度に至るまで、術前デザイン時に経験に裏打ちされた透視能力の様な洞察や予測能力が不可欠です。即ち、技術とは一貫して予後まで見極める力を含みます。

 

次に、バストの理想的な美しさは一般的に①左右対称であること②谷間が一直線であること③両鎖骨中点と両乳頭を結ぶ三角形が正三角形であること④下垂していないこと⑤乳輪・乳頭が肥大・陥没・下垂・色素沈着していないこと⑥機能不全がないこと⑦乳がんや皮膚疾患が無いこと⑧仰臥位で乳房が乳輪乳頭を中心とした類円形を描くこと⑨お椀型でもなく釣り鐘型でもなく乳房の下半球が丸く、乳頭がやや上方を向いていること⑩骨格・筋肉・乳腺の形状にも左右差がないこと・・・などが挙げられます。Cup数においては大きければ大きいほど良しとする時代もありましたが、F Cup以上の大きさになると下垂傾向となるため、長期間の形状保持は困難になるでしょう。やはり美乳を保つE Cupまでが個体の美しさも保てるのですが、本来の乳房の機能はもちろん授乳です。妊娠中には乳房は一般的に発達傾向にあり、授乳が終了すると多くの場合萎縮または下垂してしまいます。豊胸手術を担当する美容整形外科医は、上記の基準を考慮に入れつつ被手術者の年齢・授乳経験の有無・骨格や筋肉および乳腺の形状と異常・皮膚疾患の有無・豊胸手術歴の有無・そして乳房皮膚の伸展度を診察し、ご本人様のご希望に沿いながらも術式を選択し、なおかつインプラントなら最適な容量・形状・挿入層を検討しなければなりません。脂肪や幹細胞なら注入量や注入手技を吸引の事前または術中に常に考慮に入れながら仰臥位でも立位・座位での形状をデザインできなければなりません。血腫や感染、しこりや傷跡等の合併症を生じさせないことは勿論のこと、美しさを追求しなければならないのが美容整形外科医の宿命です。実際には術者の美の基準もマチマチですがそれ以上に困難な要素は個体差や左右差を改善させる技術でしょう。そして、上記を全て満たした理想的な形状になったとしても全員が全員とも同じバストにはならないのです。それこそが個性の美です。