潰瘍性大腸炎(UC)患者は、入院するとほとんどが “IVH”というものをして、絶食しながら腸を休めます。
“IVH”とは中心静脈栄養点滴。
ココから24時間エンドレスで栄養を入れるものです。
これを止める時は、お風呂に入る時などの、ごく短時間に限られます。(お風呂も貧血などの心配がなくなってから、やっと入れるようになるんです…)
この“IVH”の挿入場所は、だいたいが鎖骨下です。
それが入らない場合は、首やごくまれにモモの付け根(大腿部)などになります。

私が九州で初めてUC入院した時は、主治医のお腹が大きすぎて、体が曲がらないのを理由に“外科部長”がやってきました。
この処置自体が2度目の経験とあって、私もそれほど緊張していませんでしたが、顔に布を掛けられると、なにも見ることができない分、少々不安ではありました。
私って不安になると、やたらにしゃべりたくなるんです。
しゃべって緊張をごまかしたいのだけれど、“外科部長”と言われると、冗談も言いにくい(笑)
これは黙って、針が入るのを待つしかない…と覚悟を決めます。
まずは、麻酔の注射…こちらが痛い(涙)
そして、その部分に太い針を刺すのですが、体にグッグッと押される感じがするんです。
『この感覚イヤだな~』
と思っていたら、急に“外科部長”が

【10分止血!】

と言い、鎖骨下をギューッと痛いくらい押さえつけます。
この時、ちょっと考えた…

『ねえ?まさか、もしかして、動脈刺した?』

心の中は思いっきり動揺…
心臓バクバクです!!

ところが、しばらくして、“外科部長は”何事もなかったかのように、首の方に刺していきました。

結局あの10分間の“止血”の意味はなんだったのか、いまだに不明ですが、この時
「子ども達、元気に大きくなるんだよー」
と本気で思ったのは、うそではありません。

さてさてこの後、九州での2回目(通算3回目)に、入院した時のIVH担当は、若い外科医。
この先生は前回の入院中、前のベッドにいたおばあちゃんの担当医で、2人のやり取りが面白く、いつしか私も話題に加わっていた、顔見知りの先生です。
外科医ですから、安心してIVH処置を受けられると思い、
「とにかく、首だけはやめてくださいねっ!」
とだけ強くお願いする私…
なぜ首はやめて欲しいかというと、前回針を抜いた痕が “怪しげ”な感じになってしまったから…(どんな怪しさかは、ご想像にお任せします。笑)
そんなことを冗談のように言いながら、始めた処置ですが、どうやら悪戦苦闘している様子です。
何度も刺し直しているみたいなんですよ~(涙)

【刺す方は焦るは、刺される方は疲れるは…】

先生の方から
「ちょっと休憩しましょう」
と言ってきた時には、私もグッタリです。

で、結局“鎖骨下”は、無理でした…
『首って、退院後は隠して歩かないといけないんだよな~』
と思いながら処置が終わった先生に
「実は私に“うらみ”があるんでしょう?」
と、イヤミっぽく言ってみた(爆)
「えっ、そんな事ないって!!」
焦り気味に答える真面目な先生です。

『冗談を言ったりできる』そんな雰囲気が、この病院の好きな理由の一つでもありました。
(死にかけたことは忘れよう!)
看護師さんとは、点滴が終わっている事に気づかずに散歩してたら、ケンカになったりして…
お互い言い合った後には仲良くなるなど、本音も言える、とても人間味あふれる雰囲気の入院生活だったと、懐かしく思っています。

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