妄想ストーリー☆ユチョン編 第12話~雨~
ユチョン編 第12話です☆
うむむ・・・
そろそろアメ限近し・・
どっちが先かww
(どっちもあるの)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
“ちゃんと守っとけよ―”
そう言って無愛想に僕に言うと、
その彼は挨拶も交わさずに
去っていった。
さっきまで、彼女に見せていた
笑顔とはうってかわって、
僕を見る挑戦的な
その彼の視線―
わかりやすいその態度に、
そして同じ男として、
何も言わなくても―
彼も、彼女に何かしら
想いがあるのだと、
僕は気づいた・・・
・・じゃあ、めぐちゃんは・・?
“お兄ちゃんの友達”と、
軽く言った彼女は。
あの彼の姿が、
少しでも“男”として、
その瞳に映ったことが
あるのだろうか・・?
街中を、
繋いで歩く彼女の手を
僕は思わず、
ギュッと強く握りしめた―
「チャンミン・・・?」
さっきまで晴れていた空は、
今にも雨が降り出しそうに、
街が灰色に染まりはじめる。
「・・天気が悪くなってきたね。。」
めぐちゃん、今日は―・・
雨も降りそうだし・・・
今日は、僕の―
「僕の部屋に、行かないか・・?」
・
・
・
ポツポツと降り出した雨が、
乾いた路上を濡らし出す。
俺は、二人と別れ、
もと来た道をあてもなくただ
歩き続ける―
・・・めぐの恋人の、顔を見た途端。
俺の胸に湧き上がった
どうしようもない苛立ち―
これが、“嫉妬”だと、
俺には充分わかっていた。
知っていた。
・・・空を見上げた俺に、
冷たい雨がその頬を打つ。
(・・・ほんっと・・バッカみてえ・・)
このまま家路に着く気にもなれず、
ふと、目に入った映画館へと、
その足を運んだ。
特に観たいものもなく、
上映が始まったばかりの
映画のチケットを買い、
暗い映画館の中、
スクリーンの明かりに照らされた
シートへと、その身を沈ませた―
・
・
・
・・・耳元で、俺に囁く声がする。
その声は、切なく甘く、
そしてどこか、懐かしい―
“もっと私を愛して・・・”
俺は、その声に
ハッと目を覚ました。
・・・いつのまにか眠りに誘われ、
俺は夢を見ていたのか。
スクリーンからは、
その映画のヒロインらしき女性が、
男性に向ってそのセリフを
喋っている。
“もっと私を愛してよ”
夢の中で、
めぐが、
俺に言った同じセリフ―
映画のヒロインと、
彼女が重なって、
夢の中まで俺を翻弄するのか。
・・・俺はどこまで。
めぐを、
彼女を求めているのだろうか・・
映画館を出ると、
降り続く雨に、街並みは
夕暮れ時にも似た薄暗さに
包まれていた。
俺は時計に目をやった。
めぐ達と別れてから―
数時間。
結局俺は、
特に何もすることなく、
出掛ける前よりも
感じるこの虚しさを胸に、
1人、家路へと
その足を歩ませた―
・・パシャっ・・
傘の花に咲く街並みの中、
前から1人、その身を雨に
さらしながら歩いてくる人が
目に入った。
・・うつむきながら歩く
その人の目の前に、
俺は黙って立ちふさがった―
「・・・めぐ。」
見上げた彼女は、
全身を雨に濡らし、
少し驚いた顔をして、
俺の顔を見つめた―
「・・ユチョン。まだ街にいたの?」
「お前こそ―・・何でまた会うんだよ。」
あの、彼氏は―
・・どうしたんだよ?
俺の問いに
答える間もなく、
彼女は自分の肩を抱き、
その冷えた身体を
震わせた。
「・・・お前、いつから雨に濡れてた?」
その肩に触れると、
彼女の身体は芯から冷えて、
ピンクの唇は、
青ざめるように色あせていた。
「お前―・・傘くらいさせよ!」
寒さで震える彼女の肩を
抱きながら、
車の停めてある駐車場へと
足を急がせる。
・・彼女の家はここから遠い。
俺の家なら―
すぐそこだ。
―俺は、彼女を助手席に乗せると、
何も言わず、
その車を走らせた―
(つづく・・)