妄想ストーリー☆チャンミン編 第33話~親心~
チャンミン編 第33話です☆
また予想外なこと!!
深いわ~(自分で言うかww)
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僕達の前に立ちふさがる
シュリとその父親に、
固く手を握り合ったまま
僕とみゆさんは
慎重な面持ちで向い合った。
「・・・チャンミン君。」
「―社長・・・。」
会話も進まないうちに、
シュリが罵倒を浴びせる。
「チャンミン、どういうことよ!?
その指輪は、
私のものでしょう!!」
睨まれるみゆさんをかばう様に
その前に立つと、
僕は彼女に言った。
「君に話しているんじゃない。
社長と話しているんだ。」
「なっ・・・!」
僕は社長の前に進むと、
深くその頭を下げた。
「・・・申し訳ありません。」
社長―
僕はどうしても。
・・・シュリさんを、
彼女を愛することは、
出来ません―
だけどこの方法で、
本当に良かったのかと―
「チャンミン、今さら・・!」
怒鳴るシュリの前に、
スッと手を出し、
「やめないか、シュリ。」
その声を父親が黙らせる。
「だって、パパ・・・!!」
「もう、やめなさい。」
そうたしなめると、
社長は僕に向って、言った。
「チャンミン君。
・・こちらこそ私の我ままに、
付き合わせて悪かったね。」
・・こんな偽りの
パーティーまで開いて―
そうしなければ、
この愚かな娘は・・・
自分のしようとしている過ちに
気づきもしないだろう・・・
「パパ・・・!?」
「シュリ。
・・・このパーティは最初から、
ただの茶番にしか
過ぎなかったんだよ。」
驚きで、
言葉さえ失うシュリに、
父親が淡々と、
話を続ける。
―それはあの日に。
僕が1人、社長に
呼び出されたあの日に
話してくれた、
切ない親心―・・
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―社長室で、
緊張する僕に、
社長が笑って言った。
「心配はいらないよ。」
事実を知った今―
たとえ娘の頼みであろうと、
無理矢理君達を
どうこうするつもりはない。
ただ―
君には。
・・一芝居打ってもらいたい―
困惑する僕に、
社長はゆっくりと立ち上がると、
窓の景色を見ながら
話を続けた。
シュリの母親は、
彼女が幼い頃に死んだ。
私は妻を、
彼女を愛していて、
嫌がる彼女をその権力で
無理矢理に結婚させたんだ―
・・・だけど妻は。
結婚してからも
どうしても私の愛を、
受け入れられず、
・・・家に籠もるようになり。
心病むようになり。
仕事が忙しい私は
気づくこともできないまま。
幼いシュリを残して、
・・・逝ってしまった―
僕は、机に飾られた
親子の写真に、その視線を移す。
笑顔で映るその少女は。
シュリの幼い頃のものだろう。
「・・娘は。
可哀想な子だったのだよ。」
たとえ裕福でも。
―周りにはいつも
おべっかを使う大人達ばかり。
心から、
愛を知ることなく、
ただ甘やかされ、
今の彼女に成長してしまった。
「私の父親としての
不徳の致すところだ・・・」
本音を言えば、
彼女のわがままで
会社を去った人間も
少なくない。
娘のことが見えていなかった
私は、父親として失格だ。
だからこそ、今この時に。
―愛する娘だからこそ。
シュリに悟らせたい。
私の妻のように、
愛する人を
哀しませてはいけないと―・・
そう言って、社長は
憂いを帯びた目で、
僕の肩を、叩いた。。
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集まった招待客が
社長の言葉に、
ただその息を飲む。
「シュリ。
お前のその我ままで。
こんなに多くの人間が
動いたんだ。」
だけどそれでも。
無理矢理に
その求める愛を、
手に入れることはできないと―
わかっただろう?
わかってくれただろう?
愛することよりも。
―愛される人になりなさい。
・・お前が愛するその人を。
ママのようには
してほしくないんだよ・・・
「パパ・・・・。」
そう言って、父親は
シュリをゆっくり抱き締めた。
固く唇を噛んでいたシュリの、
その瞳から、
一筋の涙が頬をつたっていく―
「ママ・・・。」
ぽつりと彼女はつぶやくと、
顔を覆い、泣き出した。
「・・知らなかった。
ママが、そんな・・・っ」
その背中をポンポンと優しく
叩く、父親の胸の中で―・・
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私は、
チャンミンの手を握り締め、
社長の話を
ただ静かに聞いていた。
突然のことに困惑して、
まだ心が落ち着かなかったが、
・・・彼が私を心から信じ、
全てを秘密にして
今日のこの日を迎えたことを、
理解することが出来た―・・
チャンミンが、グッと握るその手に
力を入れる。
「・・行きましょうか、みゆさん。」
「え・・・?」
そう言うと、
会場の人達をそこに残したまま、
「きゃっ!!・・・チャンミン!」
手を引っ張り駈け出した。
―気づけば、
傍らにいたジェジュンの姿は
すでになかった。
息を切らして彼と二人
走りながら、
(ジェジュン・・・。ありがとう―)
彼に心からお礼を言った・・・
―きっとその想いは。
同じだと確信を持ちながら・・・
(最終話につづく・・)