貫気別山-リビラ山(平取町)ー2019.3.23
貫気別山は日高主稜線から西側にある1300m級の山。
前週登った右左府山頂からは非常に目立ち、魅力的な山塊に見えた。
時期的には今がベストと予想し、早速登る計画を立てる。
旭地区より貫気別川沿いの林道に入り、取水施設の先に車を置く。
林道は積雪しており一安心、スキーを装着して歩き出す。
積雪状況や雪質など全く読めないため、どんな状況にも対応できるように、スキーアイゼン、アイゼン、ワカンなど、全て持参。重さよりも安心が優先だ。
調子よく進んでいると、リビラ沢に入っている誤りに気付く。
350二股の左股に入る林道は橋が無くなっていて、気づかずに直進したようだ。
左股に入り直して沢沿いを進むと、正面にド迫力の岩山が聳え立つ。
これが貫気別山山頂の南西にある大ガンケだ。
林道は昨今の大雨により壊滅していて、渡渉を余儀なくされる箇所もある。
いよいよ荒れた沢をスキーで進むことが不可能になり、Co500でシーデポを決断。
ルートは様々考えられたが、雪の付きを考えると北斜面からのアプローチが良いはずだ。
604二股まで沢を詰めてから尾根に取り付いた。
北斜面は雪が良い代わりに、踏み抜きも多い。
何度も何度も抜かってイライラする。精神的にも肉体的にも辛い時間が続いた。
Co790で支尾根の稜線に乗ると、雪も締まって落ち着き、断然歩きやすくなる。
主稜線が近づくと、右手にはリビラ山が見えてきた。
Co1000から上部は完全に冬景色で、ポカポカ陽気の下界からは想像つかない。
稜線は広い雪庇が続き、雰囲気が抜群に良い。
小さなアップダウンを繰り返して山頂へ向かう。
貫気別山山頂。
晴れていれば日高山脈の山並みがズラッと見えているハズ。
生憎の天候で遠望は利かないのは残念だ。
時間はまだまだある。
なかなか来れない山塊、がめつくリビラ山へ向かう。
稜線は安定した雪庇が続き、アイゼンが良く軋んでスピーディに行動できた。
リビラ山山頂。
山頂部には東と西に小さなコブがあり、標高点のある東コブが10m程高い。
山頂から延びる北西尾根を下りに使った。
踏み抜きは相変わらずで、途中でアイゼンからワカンに交換すると多少はマシになった。
山行中に結構な降雪があり、登りのトレースは消えていた。
滅茶苦茶滑る岩に注意しながら慎重に渡渉し、スキーデポ地点へ戻る。
記録が薄いのは毎度のこととしても、様々な不安要素を抱えていた今回の山行。
しかし終わってみれば、全てが上手く事運び、二山縦走という最高の形で終えることができた。
下山後、麓から山塊を振り返る。
天候が回復し、貫気別山(左)からリビラ山(右)への稜線が、見事に見えていた。
清風山(占冠村)ー2019.3.21
清風山(占冠村)ー2019.3.21 (単独)
清風山は占冠村にある717mの低山。
以前、三角山に登った際に眺めた山容は、地味で魅力に欠ける印象だった。
しかし夕張山地主稜線の南端付近に位置するため無視はできない。
今回、パンケニニウ川沿いの林道を使う南ルートから登る計画を立ててみた。
赤岩青巖峡から鵡川沿いの道道に入ると、道東自動車道を潜ってすぐにゲートとなる。
上手くいけば、石勝線まで車で入れると期待していたが、全然手前でシャットアウトだった。
シートラで舗装された硬い道道をテクテクと歩く。
恐らく石勝線管理のために除雪されているのだろう。
早々にスキーを装着したかったが、パンケニニウ川沿いの林道に入っても除雪されていてガッカリだった。
やがて左手に石勝線が現れる。
清風山といえば、特急スーパーおおぞら脱線炎上事故が記憶に新しい。(その時の事故報告書はこちら)
清風山という山は知られていないが、清風山信号所という名は、世の中に知れ渡った。
人っ子一人いない、こんなド田舎で、恐ろしい事故が起きていたとは。
死者が出なかったのが、本当に信じられないと言うか、幸いというか・・・・。
事故ったのは確かこの辺りだなー、などと考えながら歩いているうちに、橋脚が現れた。
除雪は第三ニニウトンネル出口の橋脚下までだった。
車からここまで約3kmのシートラを強いられた。
橋脚を潜ると、ついに積雪した林道になる。
待ってましたと、これまでの鬱憤を晴らすように、スキーでガンガン飛ばしまくる。
狭い道路ながらも道道のため、1kmごとに標識が現れる。
登山道にも良くある「山頂まで~km」という標識が、自分はどうも好きにならない。
地形図を見ずとも進捗状況が分かってしまい、面白みに欠けるからだ。
Co400で林道を離れると、小沢を渡渉して665コブへの尾根に取り付いた。
歩き出して8.3km地点で、ようやく山登りとなった。
それでも標高差250mを登り切ると、あっという間に稜線に乗ってしまう。
積雪量が足りないのか、何度も笹を踏み抜いた。
東に見える三角山まで、さほど距離は無いように見える。
当初は三角山までの縦走も考えていたが、ベタつき始めた雪質にイマイチやる気が出ない。
天気が下り坂との理由もあって、いとも簡単にあきらめた。
真北には白い屏風山。
2週連続で頂を踏んだ山行が懐かしい。(三角山-屏風山、屏風山-夕張岳)
木立に囲まれた清風山山頂。
山頂から望む、南に連なる稜線。
地形図に山名は無いが、851m峰/点名・村界を始めとした山並みは、清風山よりも優に高い。
下りは一本南の尾根を使って林道に出ると、再び平坦な道を引き返す。
車からピークまでの往復距離20kmのうち、結局はその大部分が林道歩きとなる山行だった。
ルートはこんな感じです
932m峰/点名・右左府(日高町)ー2019.3.17
932m峰/点名・右左府(日高町)ー2019.3.17 (2名)
国道237号線で占冠村から日高町に抜ける時に、右手に見える三本槍のような山容が気になっていた。
地形図で確認するとそれらはホロカウシャップ川の左岸にある山々だ。
いずれも山名は無いが、932m峰だけに三角点があり、点名は右左府(ウシャップ)である。
「右左府」でネット検索すると、地図がガイドの山歩きのHPだけが引っ掛かかった。
記録によればヤブ漕ぎで登られているようだ。(その記録)
それにしても、さすがはsaijyo氏、感じるところは同じである(笑)。
今回我々は積雪期にチャレンジしてみることにした。
ホロカウシャップ川沿いの林道を入り、しばらくして現れる取水施設から歩き出す。
尾根はいずれも急峻でルート取りが難しいが、できる限り沢形を詰めるプランである。
天候にも恵まれ最高の山日和だ。
地形図にある林道終点を過ぎて、更に奥に進む。
積雪期らしく沢は完全に埋まっていて、苦労することなく稜線近くまで達した。
やがてスキー登坂では限界の斜度となり、スキーデポしてアイゼンピッケル装備に代える。
稜線には巨大な雪庇が出ていて、上手く弱点を見つけて稜線に攀じ登った。
尾根は細く狭い。植生が無ければ恐怖感を味わうだろう。
932m峰(点名・右左府)山頂。
足元の雪が崩れたら一巻の終わりだ。
自分も冷や冷や、他人を見ていても冷や冷や。これほど落ち着かない山頂は久しぶりだった。
高度感ある山頂からの展望は抜群だ。
北側の展望。909m峰(点名・三千尺)の平べったい山の向こうに夕張山地主稜線が良く見える。
南側の展望。
シキシャナイの向こうに見える貫別山-リビラ山の稜線が一際高く魅惑的で、そのうちやらねばならないだろう。
東の展望。
二週間前に歩いた糠平山から北日高岳までの稜線が手に取るように分かる。(その記録)
何て平坦!(笑)
折角なので南峰にも足を延ばすことにした。
じっくり観察すると、ピークまで植生がしっかりあるので問題はなさそうだ。
南峰基部までの稜線上には岩が立ち塞がり、急斜面のトラバースを強いられた。
降雪直後であれば雪崩れる傾斜で注意が必要だろう。
基部にザック類をデポし、空荷でアタックをかける。
山頂直下はほぼ垂直となり、木にしがみついて攀じ登った。
南峰山頂から見る932m峰。
南峰は植生豊富で高度感はさほど感じなかった。
スキーデポ地点からは沢を一気に滑り降りる。
これで気になっていた課題をまた一つ克服できた。
特に積雪期に達成したことは、自分にとって意義が大きいものだ。
同行いただいたSたろう君に感謝!
浜益・幌内山(石狩市浜益)ー2019.3.16
浜益・幌内山(石狩市浜益)ー2019.3.16 (2名)
道内はどこも天候が芳しくない予報。
比較的短時間で登れそうな山として、濃昼岳に決めて現地に向かう。
新十津川から降雪が強まり、中止とも思える程だったが、浜益に着く頃には多少回復。
気を取り直して濃昼地区の国道ヘアピンに着くと、林道入口になんと車が5台も!
山岳会の山行なのか、大勢パーティが今これから出発しようとしているところだった。
コリャダメだ。濃昼岳は諦め、代替候補に準備していた浜益・幌内山とした。
浜益区実田より逆川沿いの道路に入ると、1km程度で除雪終点となる。
雪は止んだり降ったりを繰り返す。目指す山並みは見えない。
予報では一日同じ調子らしいので、展望を期待することもなく林道を進む。
今朝だけで新雪が積ったようで、踝程度のラッセルとなった。
林道を2.5km進んだ後、175から553へ続く尾根に取り付く。
初っ端だけは分かり辛い地形だったが、一段上がると落ち着いた。
Co430で疎林地形に変わる。
降雪も落ち着いてテンションが上がってきた。
右手には浜益・幌内山の姿を初めて確認。
地形図で想像していたよりも立派な山容だ。
553を巻いて稜線に乗る。
東側に張り出した雪庇は最近の高温で崩壊気味だ。
足元に僅かな隙間があったのでストックで突いてみると、みるみる雪が崩れ落ち、深さ5m程のクレバスとなっていた。ハングしているため、万が一落ちたなら二度と上がれないだろう。
山頂まで雪庇の尾根が続いている。
雪庇を巻いてヤブ気味の斜面を歩いたので時間を費やした。
浜益・幌内山山頂。
視界が良ければ、樺戸や増毛の山塊が一望できるのかもしれない。
山頂から南に続く稜線だけは、ぼんやり見えた。
下りは往路を引き返す。
553基部から林道までは新雪パウダーで、望外の喜びだった。
悪天予報の日に未踏の一山を終えて十分満足。
奥徳富岳(石狩市浜益)ー2019.3.10
奥徳富岳(石狩市浜益)ー2019.3.10 (2名)
約3年ぶりとなる奥徳富岳へ。(3年前の記録)
時間と体力が許せば、奥徳富-群別-幌天狗の縦走も視野に入れ、車一台を幌集落の果樹園にデポしておく。
出発地点となる群別川沿いの林道は、国道からすぐの浜益斎場で積雪していた。
予想通り、林道終点まで丸々8.5kmの歩きとなる。
出発時に写真を撮ろうと思ったら、カメラにSDカードが入っていないことが発覚(涙)。
素晴らしい天候が予想されているのに、何て馬鹿な奴!
(写真は全て同行者のノリタマ君に提供いただきました。ありがとうございます。)
固い雪面の林道歩きはスピーディ。気温が上がる前にガツガツ進む。
途中から雪質が変わってモナカ気味となった。
熊の平からの景観は三方が山に囲まれて感動的だ。
まだ三月。GWとは違って雪に汚れは無く、純白の山並みが素晴らしい。
雪に埋まった群別川本流を渡り、緩い沢形から1069ポコを目指す。
気温が上がってベタベタ雪のラッセルに消耗する。
1069ポコで稜線に出ると、斜面は硬くなって断然登りやすくなった。
左に群別岳、右手に目指す奥徳富岳。
目を凝らしてみると、群別岳に単独登山者が登っているのが見えた。
奥徳富岳山頂。
腐った雪により、思いのほか体力と時間を奪われた。
群別岳ー幌天狗縦走は不可能ではないが、余裕のない行動で楽しむことはできないだろう。
協議の結果、奥徳富岳山頂で引き返しと決める。
山頂から見る南の稜線。遠くに黄金山。
最高のロケーション!幌天狗に向かって、ドロップ!!
ノリタマ君の提案により、復路は尾根を使わずに群別川を下ってみることにする。
川の開いているGW頃では考えられない発想だが、三月なら十分可能と予想して実行。
途中まで調子良かったが、所どころ怪しい部分も出てくる。ズリ落ちドボンは厳禁だ。
狭い場所が何度か現れ、回避するのに登り返したりと時間がかかった。
結果的には往路を引き返した方が断然早かったのだが、時にはこんな冒険的な山行も刺激があって面白い。
沢を離れて林道に上がり、後はまた長い距離を戻る。
懸念していた雪質は意外に悪くなく、スキーがまずまず滑って助けられた。
ルートはこんな感じです