ナレーションに左右される番組 | アナウンサーの続けかた!

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アナウンサー熊谷章洋オフィシャルブログ

ナレーションが話題になっているので、
ひとこと、書き留めておこうと思います。


今年のNHK大河ドラマ「軍師 黒田官兵衛」、
初回視聴率は過去10年で2番目に低いスタートだったとのこと。

初回の視聴率って、
話題性よりむしろ、
前作の視聴習慣によるところが大きいですよね。

戦国時代もの、
しかも信長~秀吉という、戦国ものの中でも、ど真ん中ですから、
登場人物とエピソードは超メジャー。

今後、
それなりに視聴率を伸ばしていくことは、間違いないでしょうね。



そして、
ある意味、話題をさらっているのが、
ナレーション。

担当するのは、
往年の大映の看板女優
藤村志保さん(75)なのですが、

ネットでの評価は、

おどろおどろしい、
聞き取りにくい、との声が多く、

中には、
(このナレーションが嫌なので)もう見ない、
という人まで。

賛否どちらにも受け取れる意見としては、

20年前の大河のよう、
(これが大河の)王道、
という意見。

なるほど、
僕もちょろっと見ましたけど、
同様の感想を持ちましたね。

でも、また見たいと思いましたけどね。


テレビ番組において、
ナレーションが話題になることは、
意外に多いものです。

例えば、
ナレーションの口調を、子供が真似をする、とか。
お決まりのフレーズが、流行語になる、とか。


番組側としては、
意図している演出を、ダイレクトに表すことができるから、

それが、ときに、視聴者にとっては
奇異に映ることも多い、ということでしょう。

視聴者が
おどろおどろしい、20年前の大河、
という感想を持ったわけですから、

おそらくそれが演出意図なのだろうと思います。



演出家や脚本家は、
ナレーション原稿を作るときに、
過去の作品やナレーターを想定することが多いようです。

あの番組の時の、誰々のナレーション、みたいな。

僕はドラマのナレーションはしたことがありませんが、
ナレーションを収録する前に、
ディレクターさんなどに、「どういうイメージですかね?」と聞くと、

即座にそういう答が返ってくることがあります。



特に大河ドラマという、
ある意味、国民の一大関心事においては、
衆目をひく「戦略」が、高度に練られていることは間違いなく、

このナレーションが、
後々、ボディーブロウのように、
じわじわ効いてくる可能性は、大いにあるだろうし、

演出側も、それを狙っているのでしょう。



でもなぁ、
ナレーションも仕事にしている者が言うのもなんだけど、

ナレーションに左右される番組が
多すぎるのも、気になるところ。

字幕による説明が多いのも同様。

視聴者は
過剰な説明に慣れちゃっているから、
ちょっと聞き取れないと、ストレスを感じるんだろうね。

昔は
わかんなくてもなんとなく楽しめたのに。

歌舞伎だって浪曲だって、
ほとんど何言ってるか、わからんけど、

そこはもう、見る側の理解に委ねられている、というか、
こういうもんだ!あとはよろしく、と、投げっぱなしだったよね~

そういう意味では、テレビドラマも
情報番組化してきているんだろうね。


さて、
今週はどんな感じだろうな・・