米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)」の配備を決めた韓国に対し、中国の「報復5カ条」が浮上した。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)でも韓国人副総裁を更迭、習近平政権と朴槿恵(パク・クネ)政権は亀裂を深めている。

 「THAADは(配備に反対する)中国やロシアの攻撃対象になる」-。韓国のソウル駅前で21日、THAADの配備先に決まった南部の慶尚北道星州の住民ら約2000人が配備に反対するデモを行った。

 韓国がTHAAD配備を正式決定した今月8日以降、中国外務省や国防省が相次いで対抗措置に言及。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は社説で「THAADへの5つの対抗策」として、(1)THAAD配備に関与した韓国政府や企業の取引の禁止(2)韓国政治家の入国禁止(3)人民解放軍による対THAAD技術の研究(4)北朝鮮への制裁の見直し(5)中国とロシアによる米韓共同行動の検討-を中国政府に訴えた。

 韓国のハンギョレ新聞は5カ条について「大胆に要約すれば『北朝鮮制裁』から抜け出し『韓国制裁』へと政策の重点を移すべきだという提案だ」と警戒する。

 貿易の約2割を占め、最大の取引先である中国が実際に経済制裁を発動すれば、韓国経済に大打撃となる懸念もある。

 ジャーナリストの室谷克実氏は「THAAD配備は以前から事実上決まっていたのにいまになって報復の話が出てきたのは、中国が怒っていることを示して、韓国国内を動揺させること自体が目的ではないか」とみる。

 AIIBでも中国による韓国外しは露骨だった。韓国が送り込んだ洪起沢(ホン・ギテク)副総裁が事実上更迭され、韓国は副総裁ポストを失う見通しだ。新たにフランス出身者が副総裁に就くとみられる。

 韓国たたきの背景に、中国外交の焦りがあるとみるのは、週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏だ。

 「中国はTHAAD配備も止められず、南シナ海問題をめぐるハーグ裁定でも孤立化が進むなど、米国による包囲網が狭まっている。中国は、米国に追従する韓国を見捨てようとしているのではないか」

 前出の室谷氏は、韓国の外交スタンスは相変わらずだという。

 「韓国にとってはTHAADも米中間の“コウモリ外交”の一環に過ぎない。中国としても、制裁を持ち出して韓国をじわじわと痛めつけて、再びすり寄って来るのを待っているというところだろう」と指摘している。

http://news.livedoor.com/lite/article_detail/11799549/










高みの見物と決め込むかな。