現在の日本経済は「円安」でもなければ「株高」でもない | 雑記帳

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【毎日新聞社説:安倍政権と経済 「世界の中の日本」自覚を】
http://mainichi.jp/opinion/news/20121228k0000m070132000c.html



 はいはーい、皆さんちゅうもーく。
 毎日新聞が社説でまた馬鹿なことを言い出しましたよー。

 この社説、毎日新聞社の言いたいことを要約すると以下の感じでしょうか。


1.財政健全化しろ。現状では株式市場は値上がりしているが、これは借金頼みのバブル経済であるので、早晩、行き詰まるだろう。

2.あからさまな円安誘導をするな。為替相場に政府が口を出すな。

3.「一部の国」に配慮しろ。


 ああうんもうダメだこの新聞社。
 というかですね、経済のことよく解らないなら「そこでまず注文しておきたいのは~」なんて偉そうな書き出しでこんな頓珍漢な社説書かないでください。読んでいるこちらが恥ずかしいので。
 
 まず一番目の財政健全化については、国債について先日さんざん語ったので割愛。
 というか現状の日本のデフレ不景気を「バブル」と断言してしまう見識には恐れ入ります。おまえバブルって何のことか解ってるのか。
 
 二番目、三番目が毎日の一番言いたかったことでしょうから、今回は為替と株の値動きについて。
 
 
 まず最初に結論から書きますが、「現在の日本経済は別に円安でもなければ株高でもない」ということです。
 確かにドル/円の為替相場は80円台割れの常態化した状態から6円以上も値を上げていますし、株価は11月半ばに底を突いてから2千円近く上がり続けています。ですがこれらの値動きは単に「過去に比べて」そうだというだけで、現時点の日本経済から見ればまだまだ円高ですし株価も安過ぎます。
 現状の為替と株の値動きは、単に「今までが極端過ぎたものが適正値に近づきつつある」というだけのことなのです。
 ここでは多くを語りませんが、興味のある方は「実質実効為替レートと交易条件」あたりで調べてみると面白いかもしれません。

 さて、毎日新聞の言うところの「あからさまな円安誘導」とは何でしょうか?
 一般的に言うなら、政府によるあからさまな円安誘導は市場介入のことを指します。
 これは毎日の言う「一部の国」である韓国が常態的にやっていたことですね。基軸通貨ではないウォンの安値を維持するために韓国政府はかなりムチャをしていました。
 政府が介入してウォン安に振れ、それをヘッジファンド(禿鷹)がちゅーちゅー吸ってウォン高に振れ、また政府が介入してウォン安に振れ、それをヘッジファンドがちゅーちゅーしてウォン高に触れ――を延々繰り返し、チャートがアルファベットの「WWWW」みたいな状態になっていました。(これを2ちゃんでは「ワロス曲線」と呼んで楽しんでいた)
 ですが先日、遂にそれがあまりに目に余ったため米国のオバマ大統領に「てめぇいい加減にしとけよ」と怒られました。
 こうして以前ほどあからさまにウォン安誘導を目的とした為替介入ができなくなった結果、ウォンはここ一ヶ月ほど日本の円安振れ幅に迫る勢いでウォン高が進行しています。
 もう一つの「一部の国」である中国に至っては、そも変動相場制ではありません。中国共産党のペン先一つで為替が決まる国ですから、誘導とかそういうレベルですらありません。

 翻って、日本はどうか。
 安倍首相の物価目標発言など、口先介入しかしていない状況です。
 現状の為替や株の値動きはそれに市場が健全に反応しているに過ぎません。今までの重し(民主党政権)が取れて市場原理がやっと機能し始め、適正なレートへと振れ始めたに過ぎないのです。
 大体からいまの経済政策を「あからさまな円安誘導」と呼ぶなら、アメリカやEUを始めとした先進国の経済政策すべてが「あからさま」になってしまいます。
 先も書いたとおり、あからさまな市場介入というのは韓国がやっているようなことを指すのであり、中国なんてそも自由な市場すら無い状態なんですよ? そんな「一部の国」に何を配慮しろと、毎日新聞社様は仰るのでしょうか?
 
 
 毎日新聞社や朝日新聞社(ここの社説も論外)は、もういっそのこと「中国や韓国のために日本は不景気のままでいろ!」とぶっちゃけちゃえばいいのに。
 解りもしないのに下手に現状の日本経済に絡めて取り繕おうとするから、突っ込まれるんですよ。