スグルット達は山頂付近までたどり着いた。
「この辺りからは気をつけないと・・・何が出てくるか分かりませんから」
「そうだな!気合を入れないと、な」
スグルットは周囲を警戒しながら、辺りを調べだした。
「どうした?」
「何かありそうなんで・・・あった!」
スグルットはそう言って、そう言って先に進んでいった。
「あ・・・」
「おいおい、なにがあったんだ?」
二人はスグルットの後をついて行くと、その先には、人為的に隠された遺跡の入り口があった。
「な・・・」
「おい!こりゃ一体なんだ?」
「さぁ?・・・ただ、この先に僕の求めている”もの”がありそうな気がして」
「なんだそりゃ?ドラゴンパピーじゃないのか?」
「それともう一つ、師匠となる人から出されたテストで、勇気と言うのがあって、この先にその勇気が手に入りそうだな?って思ったんです」
「勇気?・・・ですか?」
「なんかよく分からんが、行ってみようぜ!」
そう言ってリッツは、バックパックからランタンを取り出していた。
スグルット達は遺跡を進んでいくと、何度か魔物に襲われたがそれらを退け、大きな広間までやってきた。
「でっけぇ~!」
「凄いですね……この遺跡は」
スグルットは無言で辺りを調べだし、何かを探し始めた。
「ん?何かあるのか?」
「・・・多分」
スグルットはそう言うと、床や壁を丹念に指で確認しながら、何かを探していた。
「ほほぅ・・・こんな所に人間が現れるとは、珍しい」
「だ・・・誰だ?!」
「私か?・・・私はルディック・・・人間が言うところの悪魔だ」
「な!?・・・悪魔ですって!!!」
リッツよりも先にジェニスが怒声を発した。
「ほほぅ・・・神に仕える者が居るのか?・・・これは面白い」
「ジェニス?」
「自分達の住処へ帰るが良い!」
ジェニスはアンクを片手に持ち、ルディックになにかを唱え始めた。
「これは・・・愉快だ」
「き・・・効かない!?」
「その程度の祝詞で、私がたじろぐとでも思っていたのか?」
「あ~!!!鬱陶しいな~!!!なんかよく分からんが、敵なんだろ?」
「リッツ・・・危ない!」
「あ?」
リッツがそう言った瞬間に、きりもみ状態で、後方に飛ばされた。
「ぐへっ・・・」
リッツはかなりのダメージを受けたが、なんとか片膝をついて身体を起こした。
「よ・・・よくもリッツを!」
「は?だったらどうする?神に仕える者よ・・・私の力は分かったであろう?」
「ぐ・・・神よ!」
ジェニスはそう叫ぶと、両腕を前に突き出し、両の掌から炎の塊を何発も出した。
「・・・効かぬ・・・効かぬのだよ、か弱き者よ」
ルディックがそう言って、片手を振り上げた時、背後からスグルットが姿を現した。
「・・・くらえ!」
スグルットはそう言って、背後から短剣を突き立てた。
「ぐぬ!・・・きさまぁ!よ~くもやってくれたな~」
次の瞬間、スグルットもリッツ同様に、きりもみ状態で、後方に飛ばされた。
ただ、スグルットは身を翻して、着地すると、そのまま前方に駆け出し、ルディックに切りかかっていった。
「あ!・・・☆〇#блдЯθαβЩ・・Αλληλούια」
スグルットの攻撃を片手で止めたルディックに、リッツは飛び蹴りをHITさせた。
「ふざけるな!」
リッツはそう叫ぶと、ルディックの顔面を何度も殴り始めた。
「僕だって!」
スグルットもそう言うと、ルディックの背後に回り、何度も短剣で斬りつけていく。
「き・・・きさまらぁ~!!!よ・・・よくも~・・・」
最後に、リッツの拳がルディックの顔面を捉えた時、鈍い光がルディックを包み込んで消えていった。
「た・・・倒した・・・のか?」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・た・・・多分・・・」
「リッツとスグルットのおかげで、悪魔を退治する事が出来ました・・・本当に有難う」
ジェニスはそう言うと、ふらふらになりながらリッツとスグルットの傍まで来て、へたり込んだ。
「スグルット・・・おまえ、本当に凄いな」
「そんな事ないですよ・・・」
「いいえ、あなたはとても素晴らしい勇気の持ち主ですわ」
「あぁ・・・俺もそう思う」
「・・・ありがとう」
スグルットはテストの一つを手に入れれたのであろうか?
また、この遺跡の先に何が待ち構えているのか?
それは次回の講釈で・・・。