最新長編が発売になっています。

 

文藝春秋

¥2,200

「あんた、ゴミサトシって知ってるか?」
元刑事の河辺のもとに、ある日かかってきた電話。その瞬間、封印していた記憶があふれ出す。真っ白な雪と、死体――。あの日、本当は何があったのか?
友が遺した暗号に導かれ、40年前の事件を洗いはじめた河辺とチンピラの茂田はやがて、隠されてきた真実へとたどり着く。
『スワン』で日本推理作家協会賞、吉川英治文学新人賞を受賞。圧倒的実力を誇る著者が、迸る想いで書き上げた大人のための大河ミステリー。

 

 

 

前作の『スワン』から一年以上かけ、これまでになくのたうち回りながらようやく完成に漕ぎつけました。

執筆中、特に新型コロナの第一波が到来していた4月のころ、「なぜおれはこんな時代に2019年を舞台にした小説を書いているんだ?」と自問自答し、無気力に囚われもしましたが、そこを抜けてみると今だからこそこの作品は書くべきだったし、書いて良かったなと思えました。

 

分厚いですが、そのぶんの読みごたえはあるはずです。

 

 

どうぞ手に取ってみてください。

 

 

 

 

 

 

 

今年もこのブログはほぼ放置のまま終わってしまいました。

きっと来年も似たような感じでしょう。

 

 

新型コロナで世界中がてんやわんやするなか、運よく健康に過ごすことができたのですが、むしろ深刻だったのは身体より心のダメージでした。さまざまな報道に触れるうちどんどん気が滅入ってしまい、半月ほど一文字も有意義な執筆ができないありさまだったのです。自分も世界もこのまま終わっていくのではないかという情けない憂鬱にまとわりつかれ、ほんとうに何をする気にもなれなかった。ああいう経験は初めてで、ふだん自分がいかにのほほんと過ごしているか、それがいかにありがたいかが身に染みました。

 

そのせいとは申しませんが、今年はついに新刊を出せず。

物書きとしてこの体たらくはどうなのかと自省しつつ、

幸い『スワン』のおかげで定期的に生存報告はできたかな。

 

1月、直木賞落選

3月、吉川賞受賞

7月、推協賞受賞

 

こんな幸せは人生で一度きりでしょう。

 

ちなみに2020年のわたし的ベスト新刊は

『蟬かえる』(櫻田智也・東京創元)

でした。

すでにたくさんの読者や同業者が褒めたたえている素敵な短編集ですが、悔しいのでわたしも刊行のだいぶ初期から褒めたたえていたことを強く主張しておきます。

とても練られたミステリーであると同時に抜群の読み心地にやられました。

ぜひいつか、作者の長編を読んでみたいと願っております。

 

 

かくいうわたし自身は、たぶん来年2月に新刊が出るはず。

『おれたちの歌をうたえ』(文芸春秋)

主人公とその仲間たちの人生を昭和、平成、令和にわたって描く大河ミステリーです。

取りかかったときはまさかこんな大仕事になるとは露知らず、年内には出せるだろうと高をくくっていましたが、けっきょく一年間、のたうち回ってようやっと完成に漕ぎつけました。

とにかく力こぶはいってます。

ぜひご一読を。

 

 

2021年がどんな年になるのか想像もつきませんが、

自分は物書きとして粛々と、ウキウキと、おのれの物語を綴るほかないと思っております。

 

 

 

みなさま良いお年を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月9日、第73回推理作家協会賞の選考が行われ、

長編および連作短編部門に『スワン』が選ばれました。

 

 

いやー、とてもうれしい。

推理作家になるために小説を書きはじめたといっても過言でない男にとって、

この賞はとてもうれしいものなのです。

なので髭も生えるしピースもします。

 

(謎の未確定フライング帯付)

 

 

世の中がたいへんな状況で、わたしも心が暗くなる時期があったのですが、

まあなんとか進んでいけよと背中を押された気分です。

 

選考委員をはじめ、賞の運営にかかわったみなさまに感謝申し上げます。

ほんとうにありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

やったぜ!

 

 

 

 

 

 

 

うれしいなあ。

落ちるバージョンと獲るバージョン、

どちらもイメトレして臨みましたが、

結果を聞いて想像以上にほっとし、

びっくりするほどうれしかったです。

 

(受賞を祈念し用意してもらった仮帯)

(記者会見がないゆえのだらしない面)

 

 

選考委員の先生方、賞に関わる関係各所のみなさま、ほんとうにありがとうございました。

 

 

※同時受賞作は今村翔吾さん『八本目の槍』です。

 

 

 

 

 

というわけで、『スワン』の受賞はなりませんでした。

 

残念ではありますが、候補の発表があってからの約一ヵ月間、これまでになくたくさんの人に作品を読んでいただき、

さまざまな感想をもらえたことはうれしかったし楽しかったです。

強がるならばこの結果は、祭りに参加する資格を奪われなかったといえなくもないので、まあ今後もしぶとくやっていこうと思います。

 

 

関係者のみなさまに感謝します。

 

そして『熱源』で受賞された川越さん、おめでとうございます。