野菜ラーメン | エキセントリックギャラクシーハードボイルドロマンス         

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〜文学、お笑い、オートバイを愛する気高く孤独な三十路独身男の魂の軌跡〜 by久留米の爪切り

ブログを始めて間もない頃、何の因果か矢鱈と長いコメントを送ってくれる人がいた。どうやって僕のページに辿り着いたのか全く不明だった。一体彼は何者だろう。よっぽど暇なのか。僕は取り敢えず、自分の書いたものをしっかり読んでくれている人がいる事を知り、嬉しかったのだ。少し面倒くさかったけど。


彼の名前は「野菜ラーメン 」だった。で、僕は彼を想いながら「野菜ラーメン」650円を食べた。




頂きに緑色の葱が盛られた小高い山は、キャベツと玉葱、それにモヤシが生い茂る森だった。キャベツも玉葱もほんのりと甘い。モヤシは特に味はせず油が効いている。人参と蒲鉾がまるで紅葉のように山に鮮やかな色味を加えていた。搔き分けても掻き分けても森はどこまでも深く、その先に姿を隠す「山奥に湧き出る泉」と称される「純豚骨スープ」はなかなか姿を表しては呉れない。常に野菜を挟んでいる箸が重く、右手は腱鞘炎寸前である。指をもがれそうな激痛が走る。なんと峻嶮たる山だろうか。最早これまで、もうここらへんでよか、と諦めかけた時、やっと僕は目に捉える。辿り着く。その泉に。つまり「純豚骨スープ」に。


ワイルドだ。ガツンとストレートに野性味溢れる豚野郎のべとついた臭いが鼻腔を刺激し、凝縮されたエキスが喉元を通り過ぎる。うめえ、と唸る。がなる。束になった麺は細く白っぽく、適度な歯応えで小麦の旨味が良く出ている。



昭和61年創業「みっちゃんラーメン」さんは筑紫野市二日市中央4-10-10にあり、コントの舞台になりそうな昔ながらの食堂然とした雰囲気のラーメン店だ。カウンター席のみの店内は、赤い丸椅子が破れていたり、全体に古びているが、清掃がきちんと行き届いている様子が窺える。ひっきりなしに電話注文が入り、近隣のマンションへ御主人が忙しく配達に出掛けていたようだった。


この店は西鉄二日市駅西口を出て、そのまま西方向に進むとすぐの場所だ。西口には「ナデーシコ」なぞ扇情的に訴えかけてくる垂れ幕の下がった怪しげなビルディングがあったが、勿論僕は目もくれなかったのだ。

みっちゃんラーメンラーメン / 西鉄二日市駅紫駅二日市駅
昼総合点★★★★ 4.0