ラストナイツ

■作品説明※映画.comより
「CASSHERN」「GOEMON」の紀里谷和明監督ハリウッド進出作品で、クライブ・オーウェンとモーガン・フリーマンが主演。「忠臣蔵」をベースに、よこしまな政治が幅を利かせる封建的な帝国での騎士たちの物語が描かれる。大臣への賄賂を断り、反逆罪を勧告されたバルトーク卿に死罪が下された。最も残忍な処刑方法によるその死罪は、愛弟子ライデンの手による斬首だった。バルトーク卿の首を自身の刀で落とすこととなったライデンと仲間の騎士たちは、無念の思いで復讐の時を待ち続けた。そして1年後、ライデン率いる気高い騎士たちは、主君バルトーク卿の不当な死に報復する戦いをはじめる。伊原剛志がライデンの最大のライバル・イトー役で出演。


■「ラストナイツ」の感想

僕は恥ずかしながら紀里谷和明監督の前2作、「CASSHERN」「GOEMON」は観たことがありません。とはいっても、予告編で映像は見たり、レビュー等はある程度は読んだり聴いたりしてるので、なんとなくどんな作風で、どんな評価だったのかは理解しているつもりです。

あと、紀里谷監督が日本映画業界から嫌われていた(今もか?)ことも知っています(笑)。「しくじり先生」とかも出てましたしね。

まぁ、そんな紀里谷監督がどんな人物かというのは別にしても、日本人監督がハリウッド作品!?しかも、クライブ・オーウェン、モーガン・フリーマン主演!?って、聞いただけで「マジか!?」となりますし、これってサラッとやってますけど、かなり凄いことだよなと思いました。

紀里谷監督に思い入れがあるわけじゃないですが、単純に日本人監督がハリウッドでどんな作品を撮るのか、そこは非常に楽しみにしながら、今回、鑑賞に臨みました。

結論から言いますと、なんていうか、とても、とても普通な作品でした。いろんな意味で(笑)。

「ド・普通」と言いますか、びっくりするほど、可も無く、不可も無くっていうラインを言ってる作品だなと思います。

ストーリー、映像、演出、どこを取ってもショボいっていう印象はまったく無く、むしろ、しっかりハリウッドスケールの作品だなって思うくらい、良い感じに仕上がってると思います。パッと見は…。

ただ、だからと言って、これはっていう目を引くような映像・演出があるわけではなく、「忠臣蔵」を題材にしたストーリーに関しても、目新しさはないしグッとくる感じもしませんでした。

もちろん、ストーリーに目新しさが無くても面白い作品はいっぱいあると思いますが、本作がスケール感の割に普通に感じた最大の理由は、登場人物の誰にも感情移入できなかった点だなと思っております。

それどころか、主演の2人、クライブ・オーウェン演じる主人公ライデンと、モーガン・フリーマン演じるバルトーク卿以外は、人と成りすら良く分からないという状態です。

一緒に力を合わせて戦う仲間や、本作のストーリー上で重要な役目である悪役側の描写が弱すぎるわけですよ。なので、戦闘などで仲間がヤラレてしまっても、「ふ~ん」って感じですし、悪役も悪いのかどうかもしっかり描けてないから小物感ハンパなくて、「こんな奴、倒すために命かけるんですか?」って気持ちが鑑賞中、ずっと抜けませんでした。

主演2人の人と成りが分かるというのも、あくまで、この作品で出てきた人物の中ではという感じですから、普通に観るとイマイチだと思います。とても、君主とそれに忠誠を誓う騎士という、絆が強いって印象は、作中の演出では持てませんね。もう少し、ライデンがバルトーク卿に忠誠を誓うことになった経緯等を盛り込む必要があったように感じました。

そもそも、このバルトーク卿の行動等が感情移入できない最大原因だなと思っていて、この方、悪徳大臣のせいで裁かれるというか、最終的には命を落とすことになるわけなんですが、どう見ても自分から悪徳大臣にケンカ売りにいってるようにしか見えないんですよ。

悪徳大臣が卑怯なことをやってるというのは分かるのですが、それによって被ってる被害とか悲劇みたいなことも描かれないので、何にそんなに困ってたのか良く分からないし、更に良く分からないうちにモーガン・フリーマンがブリブリとそいつにキレ出すわけです。観てるこっちは、ポカーン状態です(笑)。

悪に染まらない、って精神は大変立派なんですが、策も無しでゴリゴリに反骨した結果、自分が命を失うことになってしまって、挙句の果てにバルトーク一族は領土を追われてしまうという…。ハッキリ言ってアホかと(笑)。

ライデンさん、本当にこの人に忠誠を誓ってるんですか?って感じです。

しかも、正論らしいことをモーガン・フリーマンが、持ち前のオーラで発信しまくるからですね、威厳はあるんですよ。でも、その雰囲気と実際の行動のギャップに観てるこっちはムカつくという、ダメな構図になっております。

一事が万事ではないけど、本作のストーリーで一番大切な発端の部分がこれなので、最後まで乗れませんでしたね。

もちろん、良かった部分もあります。ラストの城への潜入シーンなんかは、ちょっとしたスパイ映画風で、なかなか面白いなぁと思いました。あと、ドラマの「ゲーム・オブ・スローンズ」テイストな風景とか映像は、スケール感もあるし綺麗だなと思いました。

ただ、やっぱり、「面白くなりそう!」と思ったら、そうでもないって感じが全体的に続くので、盛り上がりには大いに欠けると思いました。ぶっちゃけ、日本人監督っていうのが無ければ、特に印象に残らず終わりそうな内容だなと思いました。

そんな感じで、作品そのものの評価は普通なのですが、日本人監督がハリウッドで作品を撮った、しかも、多くの人が知ってるであろうメジャー俳優さんをキャスティングして、っていう事実自体が意味あるものだと思います。日本映画が評価される、っていうのとはまた違った凄さだと思います。

作風や言ってることには賛否両論ある紀里谷監督ですが、なんだかんだここまでやった次がどんなアプローチになるのかは気になりますし、これに続いてハリウッド作品を手掛ける日本人監督もどんどん出てくれば面白いなぁと思ったりもしました。そういった意味では、観とくのも悪くない作品だと思います♪





2016年6月第1週目★映画レビュー候補作品!

遅れに遅れまくってるので、まだ、6月第1週目分をやってま~す(笑)。あと、今回から告知記事をやめて、レビューの最後に次回作を決めようと思います。

ひとまず、次回の候補作品は以下の通りです。

1.ディーン、君がいた瞬間
2.ブリッジ・オブ・スパイ
3.クリムゾン・ピーク
4.杉原千畝
5.ストレイト・アウタ・コンプトン
6.オデッセイ


以上の6作品です。

6月になって、また、新作がたくさんリリースされてますね。では、サイコロを振って決まった次回の作品はどれでしょうか。

次回の作品はこちら!

映画レビュー候補作品

「ブリッジ・オブ・スパイ」



スピルバーグ監督とトム・ハンクスのタッグ作品きました。なかなか評判も良いみたいなので、楽しみです。では、次回もお楽しみに~。