作品説明 ※映画.comより
ジョージ・クルーニーが監督・製作・脚本・主演を務め、第2次世界大戦中の実話を映画化したサスペンス。ヨーロッパ各国に侵攻したナチスドイツが歴史的に重要な美術品の略奪を繰り返していた第2次世界大戦下、ルーズベルト大統領から建造物や美術品を保護する任務を託された美術館館長フランク・ストークスは、7人の美術専門家で構成される特殊チーム「モニュメンツ・メン」を結成し、危険な状況下で美術品保護のための作戦を遂行していく。主演のクルーニーほか、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダン、ケイト・ブランシェットら豪華キャストが出演。



4月の第4週目にサイコロで当たったのは、「ミケランジェロ・プロジェクト」です。ちなみに原題は「THE MONUMENTS MAN」。

「モニュメンツ・メン」というのは、第二次大戦下の1943年から戦後の51年まで、連合軍の「記念建造物・美術品・古文書」部に所属していた兵士たちの呼称だそうです。彼らの当初の任務は、教会など歴史的建造物に対する戦闘被害を少なくすることで、ドイツ軍の前線が破られるにつれ、ナチの狂信者たちが略奪した美術品・文化財を探し出すことに移っていったとのことです。

「ナチ略奪美術品を救え 特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争」という原作が元になっていて、上の説明も、アマゾン紹介サイトからそのまんま持ってきてます。

by カエレバ


本作は、事実を元にかなり脚色して映画化しているみたいです。本作では、少数精鋭のチームで最初から最後まで描かれてますが、実際は1951年までで計350名が活動していたそうです。ただ、最初の6週間に全線で活動していたのが7名だったということで、本作もその人数のチームの話になってます。まぁ、この辺は公式サイトでも説明があるので、あくまで分かりやすくするための改変かなと思います。

美術系のスペシャリストで隠された貴重な名画等を探し出す!ということで、一瞬、「オーシャンズ・シリーズ」とかそういう雰囲気をイメージする人も多いかなと思います。実際、ジョージ・クルーニーとマット・デイモンがメインキャストですしね。

ただ、「オーシャンズ・シリーズ」みたいにエンターテインメント色強めのノリノリの作品ではないので、そこはお気をつけ下さい。コミカルなシーンもちょこちょこありますけど、どちらかというと地味な雰囲気の作品です。

…というか、けっこうダラダラとはストーリーが展開していくので、ハッキリ言って概ねつまらなかったですね。あっ、安心して欲しい点は、戦争中の話ですが、目を背けたくなるような描写とかそういうのはないです。

ただ、その変わりというとなんですが、戦時中の話なのに緊張感がまったく感じられなかったですね。もちろん、主人公達が危険な目にあうシーンもあるのですが、どのシーンも起伏がなくて大して怖くもない感じでしたね。

緊張感がないといけないってわけではないけど、本作で美術品を守るチームである主人公達は、周りからは「こんな戦争中に、壊して良い物かどうか判断しながら戦えるわけがない!」と煙たがられたりするんですよ。

美術品を守ってる最中に人が死ぬ可能性もあるからですね、命を懸けてる兵士からしたらその通り。でも、歴史的文化は違った意味で価値があるから、命を懸けても残していかなきゃいけないっていう主人公達の心意気も分かるんですね。

しかし、あまりにも緊張感なくダラダラ展開していくので、ほんとに命を懸けて守る意味あるのかなと感じてしまうんですよ。あっ、映画として観た場合のことですからね。さすがにど素人でも、価値ある美術品を守ることが無意味だなんて思ってませんので!

もうちょっと、美術品を守る意味だとか、壊されたり、奪われたりの部分を映画的に面白くできてたらなぁとか思ったりしました。どうせ、脚色してるんだからエンターテインメント性を強調しても良かったような気がします。

ストーリーも後半になると、「お、いいね♪」ってシーンもあるので全然ダメってことはないけど、キレ味がない作品だとは思います。

それでもキャストが豪華だし、醸し出す雰囲気は最高級なので絵的には楽しめます。それでも、各キャラクター掘り下げ方も中途半端で、ちょっともったいない使い方だなぁと思いました。

あと、数々の美術品はレプリカでしょうけど、出来栄えが凄いですね。全然知らない僕が観ても、なんとなく圧倒される雰囲気はあって、そこは美術品ど素人の方も楽しめる要素かなと思います。

作品的には残念な出来なんですが、戦時中に美術品の強奪が行われていたこと、メインの歴史の裏で「モニュメンツ・メン」と呼ばれる人が、それらを守ろうと活動していたことを知れたという意味では観て良かったかなと思いました。

作中で、「歴史的な文化財が無くなったら、そこに居た人達もまるで居なかったことになる」と言ったセリフがあり印象に残っています。たかが、絵や彫刻だっていう見方は出来るけど、そこに生きた人々が居たっていう証を守ることによって、次の世代に繋げられる何かがあるように感じました。

今までの人が残してきた文化に触れることによって、自分達も生きて何かを残そうという生きる活力になるって側面もあると思ったし、物の価値だけでは計れない部分があるっていうのは、なんとなく感じました。

ともかく、今、当たり前に見れる物だって決して当たり前ではない、ってことに気付かせてくれるし、何より歴史の参考にはなる作品だと思います。面白いとは言い難いですが、これキッカケに戦時中のことや美術品に興味を広げたりすることもあるかなと思いますので、そういう意味ではオススメしときます。

by カエレバ