今回のブログを担当しますDr.Reikoですニコニコ

白癬(水虫)の有病率は、21.6%、約5人に1というくらい日常にありふれた疾患です。

爪白癬(爪の水虫)の有病率も10.0%と推定されており、意外に高いなと思いました。




日本の真菌(カビ)のスペシャリストの先生方が診療ガイドラインを定期的に改訂してくださることで、カビ診療の精度を高めていけることは本当に有難いことです。

「日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019」が昨年末に改訂されました。

これにより、爪の水虫(爪白癬)の内服療法と外用療法の効果の差がより明確化されました。



治療の推奨度として、内服薬がA(行うように強く勧める)、外用薬がB(行うよう勧める)で、内服薬のほうが推奨度が高くなっています。

治癒率に関してのデータは、臨床所見の差、何をもって治癒とするかの差、症例数の差、プラセボ(何もしない治療)や他薬剤との差などで、比べるのが難しいところもありますが、とってもざっくり結果だけ抜粋させていただくと以下の通りでした。
(詳細はガイドラインをご参照ください)


エフィコナゾール(クレナフィン外用液):
・完全治癒率(臨床的治癒かつ菌学的治癒)が17.8%と 15.2%,真菌学的治癒率(直接鏡検陰性かつ培養陰性) は55.2%と53.4
・完全治癒率22.2%,真菌学的治癒率83.3
・完全治癒率34.5%,真菌学的治癒率66.9

ルリコナゾール(ルリコン外用液):
・完全治癒率14.9%,真菌学的治癒率45.4

テルビナフィン(ラミシール錠):
・臨床的治癒率48%,菌学的治癒率58.5
・臨床所見の改善率88.1%,菌学的治癒率83.3
・臨床的有効率74.2%,菌学的治癒率62.1

イトラコナゾール(イトリゾールカプセル):
・臨床的治癒率30.5% 菌学的治癒率34.8
・臨床的改善率77% 菌学的治癒率73

ホスラブコナゾール(ネイリンカプセル):
・完全治癒率59.4


要するに、効果では内服薬が外用薬に勝っているということです。

ただし、内服薬は肝機能障害などの副作用や併用できない薬があったり、表在型や範囲の少ない症例には外用薬も効果を見込めるので、

「肝機能障害等で内服が困難,あるいは内服薬を希望しない中等症以下の爪白癬患者に外用療法を行うよう勧める」

とされていおり、外用薬の需要もまだまだありそうです。



ということで、当院では内服できない患者さん以外は、積極的に内服を行うようにしています。

水虫の飲み薬、ネイリンカプセルを3か月内服した患者様の経過です。

ネイリンカプセルは3か月内服すれば、治療は終了です。爪は生え変わるのに半年以上かかるので、3か月内服した後に伸び変わるのを待ちます。

順調に下側から正常な爪が伸びてきています。
早く良くなれ~爆  笑


最近、爪の水虫の内服薬を飲み始めた患者さんの臨床写真です。

爪の水虫は、こんな風に爪が白濁したり、がさがさになったり、分厚くなったりします。

分厚くなりすぎてご自身で爪が切れない方は、当院で爪切りします。
これから治っていくのが楽しみです照れ

水虫以外にも、爪の変形を起こす疾患は多々あるので、爪の水虫だと自己判断しないで、必ず皮膚科で真菌検査をして診断をつけてもらってください。

爪の水虫の内服薬にも種類があり、治療期間や副作用、併用禁忌薬など違いがあるので、最適な薬を選択し、治療していきましょう。

皆様が健やかな皮膚で笑顔で過ごせますように。

Dr.Reikoでしたニコニコ