平成23年度税制改正 消費税編 | 税理士 K-nosuke の言いたい放題

平成23年度税制改正 消費税編

消費税の税率を2010年代半ばごろまでに、5%から10%へ段階的に

引き上げると言われてはおりますが、、、

いわゆる消費税は増税傾向にあります。

しかし単純に税率をあげるとなると、かなりの反発が予想されるでしょう。


そんな中、先日6/22に成立した、平成23年度税制改正の中に、

消費税について重要な改正が行われています。

これは消費者サイドではなく、事業者にとって「地味に」増税となります。


1.仕入税額控除の取り扱いについて

  現行では、総売上のうちの消費税の課税売上の割合(課税売上割合)が

 95%以上の場合は、課税仕入にかかる消費税額の全額を控除することが

 できましたが、今回の改正では、課税売上高が5億円超の事業者は、

 課税売上割合が95%以上であっても、全額を控除することができなくなります。


 この場合は、課税売上割合が95%未満の場合と同様、課税仕入のうち

 課税売上に対するもの、非課税売上に対するもの、共通のものに

 分類する必要があります。これにより消費税額の控除ができるのは、

 「課税売上に対するものと、共通のもの×課税売上割合の合計」か、

 「課税仕入の全額×課税売上割合」 のどちらかとなります。


 この規定は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度から適用になります。



2.消費税の免税事業者の取り扱い

  現行では、2年前の課税売上高(基準期間の課税売上高)が1千万円以下の場合は、

 消費税を納める義務のない免税事業者となっていました。

 また設立後2年間は、基準期間が存在しないため、この期間も免税事業者と

 なっていました。(ただしこの設立後2年間の資本金が1千万円以上であれば、

 課税事業者となります。)

  今後は、年度の前半6か月の課税売上高が1千万円を超える事業者については、

 その翌事業年度については、基準期間の課税売上高が1千万円以下であっても、

 消費税を納める義務のある課税事業者になります。


  したがって、今回の改正により、年度の前半の売上高が、翌事業年度の免税と課税の分かれ道となります。

 この規定は平成24年10月1日以後に開始する事業年度から開始になります。

 

しかし、消費税の増税が反発されるからといって、地味にこういうところから

課税するというのもいかがなものかと思いますね。


1.仕入れ税額控除の取り扱いについては、

課税売上割合が95%以上の事業者は、無条件に課税仕入の全額を控除できたので、

今までは、どの売上に対応するものかは意識する必要はありませんでしたが、

今回の改正で課税仕入を3種類に分けなければならないという手間が増え、

しかも増税となるのです。

手間をかけさせて増税。。。どうでしょうかね。。。


2.免税事業者の取り扱いについては、

たとえば、

2年前は、事業が伸び悩み、1年前くらいから事業がようやく軌道に乗り、

それが今年度は半年までで売上倍増 → 即課税(翌事業年度より)。。。。


どうでしょうかね。。。影響受ける事業者は相当いると思います。

2年前まで事業が伸び悩んでいて、ようやく軌道に乗ったんだから、

今後も、継続して伸ばしていくためには、国に消費税を納めるのではなく、

そのお金を事業に費やしていくことが、最善の方法だと思いますし、

さらには経済活性にもつながっていくと思うので、

即課税による増税はいかがなものかと思いますね。


また、年度の前半の売上で納税義務を判断するので、

今後は、前半と後半のの期ずれの調査が間違いなく行われることとなるでしょう。


消費税と言うと、5%から10%への増税ばかり目がいきますが、

事業者にとっては、重要な改正ですので、注意しておく必要があります。




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