Munich
ずっと待ち望んでいた”Munich"が先週から公開になりました
アラブ国でイスラエルとパレスチナの報復合戦の映画が公開されるのか、
かなりやきもきしていたのです。(↓以下ネタバレありです。)
1972年ミュンヘンオリンピックの選手村で起きたパレスチナゲリラ”黒い9月”によるイスラエル選手11人の惨殺事件を発端に、イスラエルは諜報機関モサドを絡ませパレスチナ側の幹部殺害を企てます。
イスラエル側が用意したチームはアブナル(エリック・バナ)をリーダーにした5名。情報屋を使って標的をひとりずつ消していきますが、次第に自らも敵に狙われるようになる。国のため、大儀のための報復合戦は終わりがないと気付いたアブナルが選んだ道は・・・。
映画としては、どこか食いつき足りなさを感じてしまいました。
テーマが大きすぎるからか、
どの立場の者も自らが正義だと信じていて永久に交わることのない徒労感からか。
いわゆる”感動超大作”でないのは確か。
泣くかと思って臨んだのですが、涙はまったく出てきませんでした。
映像と歴史的事実とを照らし合わせるのに忙しかったから・・・かな?
事前に読んだモサドの本に比べて時代を遡るにしても
アブナルたちの殺害行動が原始的で洗練されてないことに驚きました。
そんなに固まって動いていたら目立つよ~!とハラハラ。
通信手段が発達してないあの時代に、
尋ね人がどの国のどの都市にいるかの情報を確保できて
それを敵味方両陣営どちらにも金次第で売る情報屋ルイ。
パレスチナがCIAと組んでいたり、ロシアが絡んでいたり、
アラブ国レバノンのキリスト教徒によってイスラエルが潜入しやすい土壌が作られていたり
国も民族も組織も宗教も、なんだかより一層わからなくなってしまいました。
どれだけ標的を倒しても、すぐに誰かがそのポジションにつく。
何かが変わるわけではない。
自分たちも大きなプロジェクトの歯車でしかないことも思い知らされる。
何のために命をかけて人を殺すのか。
アブナルは苦悩します。
隠れ家でのメンバー揃っての食事のシーン、
シリアスな会話や彼らの心うちとは対照的に豪華だったりして
妙に印象に残りました。
平日夕方5時の回でしたが、お客は15人くらい。
地元のアラブ服の方々もちらほら。何を思ってみているのでしょう。
イスラエルを知る友人曰く
「イスラエル人はいつかアラブ人と仲良くできると思っているのよね。
嫌われているのはわかっているんだけど、不思議なくらいそう思っているのよ。」
アラブもそう思っていてほしいものです。