Antwone Fisher －アントワン・Ｑ・フィッシャー・ストーリー－

Cast.

Derek Luke, Denzel Washington, Joy Bryant

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　生まれる前に父を亡くし、女子刑務所の中で産声をあげたアントワン・Ｑ・フィッシャー。

青年に成長した彼は、アメリカ海軍に在籍し、兵曹として戦艦に乗艦していたが、艦内で喧嘩を起こしてしてしまったことから、下船禁止などの懲罰に加え、精神分析医による診療を命じられる。

そこで出会った精神分析医ダヴェンポートに、次第に心を許し、閉ざされた過去を明かし始めたアントワン。　　何度か挫折を繰り返しながらも、ようやく完治を目前にした彼だったが、まだやらなければならないことが残っていた。

ダヴェンポートや彼女に支えられながら、“心の中の怒りや憎しみを捨てるため”　“悲しみから自由になり、自分自身の人生を生きるため”　アントワンは歩き出す・・・

　デンゼル・ワシントンの監督デビュー作。　　作品には、きっと彼自身が役者として普段から心掛けていることを、他の役者にも求めたのだろうと思われるようなことが、たくさん詰まっています。　　まじめな一本、しかし素直に観れる。

デンゼルのイイところは、役が役じゃないところですね、すごく自然。　　一方、アントワンを演じるのは、それまで無名の俳優だった、デレク・ルーク。　　日本語を勉強しているなど、少し親近感の持てるアントワンを演じている彼もまた、自然で素晴らしい演技を見せてくれています。　　カウンセリングの途中で、２人が恋愛話をする場面があるのですが、ちょっとしたシーンなのに温かくて、忘れられない、とても好きなシーンです。

カウンセリングの難しさや、形を変えて今も根強く残る人種差別、そして人生の再出発、と深いテーマ盛りだくさんながら、巧くまとまっていると思います。　　派手な演出、展開はありません。　　しかし、アントワンの心が少しずつキレイになっていくのを観ながら、次第に自分の心も温かくなっていきます。　　細部にまでこだわって作られた、傑作だと言えるでしょう。

アントワン・Ｑ・フィッシャーが書いた自身の回顧録は、アメリカで２００１年の大ベストセラーにもなっているそうです。　　今回の作品が、彼と同じように、人には話せないような過去を背負って生きている、多くの人達の支えになることを願います。

＊　特典映像には、アントワン本人やデンゼル・ワシントンのインタビューがあります。　そちらも是非♪