前回 << >>次回

「うみねこのなく頃に Episode1 Legend of the golden wicth(下)」

竜騎士07 著 出版社:講談社 ISBN:9784062837217 値段:1300円(税別)


神太郎のRPG+α-うみねこEpi1(下)


あらすじ:「1986年10月、伊豆諸島に浮かぶ小さな孤島“六軒島”。余命あとわずかと宣告された当主・金蔵の遺産問題のために集まった大富豪“右代宮家”の人々。だが、島が不吉な暗雲に包まれた時、魔女“ベアトリーチェ”を名乗る者から届いた一通の不審な手紙が、黄金の“伝説”を人々の記憶から蘇らせる。そしてそれは、忌まわしき“六軒島大量殺人事件”の幕開けだった――。」(裏表紙あらすじより)


と言う事で、2巻続けての紹介になります。今回この二つを昨日今日と続けたのは物語の舞台の日にちが10月4日、5日だったからなんですね。なんというか「10月のここまでにはひぐらし終えてうみねこを紹介したいな~」と思っていたので叶ってちょいとハッピーだったりするわけですが・・・。


さて、あらすじにもありますように今回から惨劇が、それも大量殺人が行われていきます。犯人はこの島に住むと言われる魔女の名前を冠して「ベアトリーチェの肖像画の前にある魔女の碑文を解かないと全員殺す」とし、親族は戦々恐々とします。そして、殺人はまるで魔女の碑文にそったかの如く犠牲者は次々と魔女復活の為の「生贄」として殺されていくのです。


さて、登場人物は全部で18人。ちょいと紹介していきましょうか。

まず、当主が金蔵、そしてその長男が蔵臼(くらうす)、その妻が夏妃(なつひ)、娘が朱志香(じぇしか)。

つづいて長女が、絵羽(えば)、夫が秀吉(ひでよし)、その息子が譲治(じょうじ)。

次男坊が留弗夫(るどるふ)、現妻が霧江(きりえ)、留弗夫の息子が戦人(ばとら)。

次女が楼座(ろうざ)、娘が真里亞(まりあ)。

使用人にとして源次、紗音、嘉音、郷田、熊沢。そして金蔵の専門医である南條。

計18人になります。


金蔵には息子が2人(蔵臼、留弗夫)と娘が2人(絵羽、楼座)がいてそれぞれ旦那なり嫁がいて息子がいるという感じです。主人公は留弗夫の息子である戦人が務め、なんとか人間犯人説を構築していきますが・・・。通常考えうるのは「この中の誰かが犯人!」と言う事で戦人も最初はその推理を推し進めていくのですが・・・。


戦人は探偵としてはいささか不十分であり事件に怒りを持つのですが積極的に考えようとはしません。考えてはいるのですが爪が甘いと言えば良いのでしょうか・・・。そして「うみねこがなく頃にはだれも・・・生き残れぬまま・・・」。という形で幕はとじるのです。そしてひぐらし同様「どうかこの事件の真相を暴いてください、それだけが私の望みです」という真里亞の手紙が数年後見つかり事件は終わります。


多分事件の概要として一番事実に一番近いのがこのEpisodeだと思います。その分情報量があまりに乏しい為、人間犯人説が有力ですが、人間犯人説では不可能な殺人もあるため完全に人間犯人説として言う事が出来ません。


また本編終了後にはお茶会というものがあります。「ひぐらし」の時の様なお疲れさま会とは違い本編の延長線上に位置する物語であり、Aパート、Bパート後のCパートと考えていただければと思います。そこで遂に魔女「ベアトリーチェ」が姿を現し「これは私による犯行であり、決して人間がおこなったものではない」というたぐいの事を言います。


しかし、皆が信じても戦人だけはそんな理不尽は許せず、宣戦布告をします。こうして「魔女VS人間」による“六軒島大量殺人事件”の真実を巡る闘いが始まるのです。


このCパートでいう戦人やベアトリーチェの存在はなかなかごちゃごちゃになりそうなので簡単に言うと、物語と読者の関係と考えれば。戦人が実際に事件に遭遇する「お話」に対して、それを追体験する読者の戦人がいる。言葉で説明すると難しいですが。


つまり、戦人は特別「神の目線」を手に入れたわけです。彼は世界を俯瞰して見る事が出来る。そして、その中には人生ゲームの駒のようにして動く自分がいてそれすらも俯瞰しているという感じです。要は自分が主人公の物語を自分が読んでいるというそういう作りなわけですね。メタという考えが強いですよね。要は。


そしてその物語の自分を度外視して読者の自分は自分の意見とは全く対立する相手と論争を始めるわけです。ただ戦人はどうもこの闘いになれていないようなので前作の登場人物の一人、梨花に似たベルンカステルという魔女が登場し戦人(というか我々読者に対して)ヒントを提示します。まぁ、糞の役にも立たないヒントですが。


さて、誰もがEpisode1を読んだ時点では「人間犯人説」を疑いません。しかし次はそれを「魔女犯人説」にする為にベアトリーチェが色々な手を使い我々の思考をがんじがらめにしていきます。さて、未読の方はきっと次のEpisodeで屈服一歩手前、あるいは屈服してしまうのではないでしょうかね。


それでは、今回はここまで。