ハッサンと僕とラクダの旅・22日目 | 写真家・小澤太一の『logbook』

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小澤太一のなんでもない毎日の記録集

22日間に渡るハッサンとラクダと歩き続けた旅から戻ってきました。

Wi-Fiどころか電気があるところも予定通り3回しか通過せず……1回は学校で、1回はオーベルジュで、1回は普通の民家で……その時に持っていった23個すべてのバッテリーを充電しながら撮影旅を続ける、という生活でした。

 

夜明け前から撮影を始め、日の出の撮影が終わったらハッサンが作ってくれたベルベル朝ごはんを食べて、テントを畳んでラクダに乗せたら昼間はひたすら移動しながらラクダに遅れないようについていきつつ撮影し、午後にはその日の宿泊地を決めたらまずはラクダから荷物をおろして遅めのランチ替わりに干し葡萄とベルベルティーを飲んで一息ついたら、僕は夕方の撮影に向かいながら太陽と格闘し、ほぼ真っ暗くなってからテントに戻るとご飯ができていて、周りには灯りがなにひとつ無い環境の中で小さな懐中電灯かケータイのライトをつけながらご飯を食べて、そして僕はまた星の撮影に向かって撮影しながら、ちょっとだけ寒さに震えながら寝袋で寝る……という22日間。

 

夜には毎日きちんと歯磨きできるぐらい水も豊富な旅でした。これはハッサンがよく井戸の場所を知っていたからかもしれないけれど、2~3日ごとには新鮮な井戸水(?)をふんだんに入手しながら移動しました。念のために用意していった水が無くなった時の緊急用としてのオレンジジュースもほとんど手をつけることもなく残ったまま。食事の時にはちゃんと手も綺麗に洗ってご飯を食べられました。ちなみに純粋に飲み水としてはハッサンは井戸水そのままでもちろんOKだけど、外国人の僕はペットボトルの水を飲んでいます。こちらは22日間で2Lのペットボトルを12本ほど。井戸水は料理に使ったり、沸かしてモロッコティーとして飲むのなら僕も大丈夫なようです。水がいっぱいあったおかげで持っていったウェットテッシュはカメラの掃除とたまに顔を拭くぐらいしか使わず、たくさん残ったまま。そういえばホッカイロも1日2個計算として35個くらい持っていったけれども、こちらも途中から寒さに慣れてしまって、使わないことも多くなりました。

 

出発地点に戻ってきて、今年はじめてのシャワー。昨年12月29日にシャワーを浴びて以来、入浴してなかったので……。乾燥もしているのでそんなに匂わないなぁと日々思っていましたが、シャワーを浴びた後に自分が着ていた服の匂いをあらためて嗅いでみたら、それは「匂い」じゃなく「臭い」という類のものになっていて、慌てて洗濯しました。もちろん洗濯機で!電気って素晴らしい。

 

そして砂漠の村で行きつけにしていた床屋にも行ってみたら、3年前と変わらず同じ場所に同じ親父さんがいて、ちゃんと僕のことを覚えていてくれました。当初僕が想像していた以上に髪を大幅に切ってくれちゃって、よく見たらお店の親父さんとほぼ同じ髪型……(笑)。まぁ、それもアラブ的には「インシャ・アッラー」ですかね。切ってもらった後にいくらか聞いたら、「あなたは何度も来て知っているだろう?いくらでもどうぞ!」ということで3年前と同じ値段の20DHを出してみたら、「さすが、よくわかっているね!」と気持ちいい笑顔を返してくれました。

 

今、電気どころか夜にはエアコンまでがついている快適な部屋のベッドの上で……22日間で撮影した約2TBのデータをバックアップをしながら……これを書いています。そして砂漠であったさまざまなことを思い返しています。

 

from nothing make everything.

 

砂漠の徒歩ラクダ旅は、僕にとって何不自由のない充実の旅となりました。少し村でゆっくり休んでから、日本に戻ります。