謎の未承認国家・3日目 | 写真家・小澤太一の『logbook』

写真家・小澤太一の『logbook』

小澤太一のなんでもない毎日の記録集

この小さな街をフラフラするようになって3日目。自分が今、だいだいどのあたりにいるのかも、そして街中で声をかけてくる人への対応の仕方も、だいぶわかってきたつもりだ。

 

今日は朝から市場まで出かけ、昨日「明日、朝7時また来たら魚があるぜ!」と言っていた魚売り場に行くと見事に早すぎたのか閉まっていて、近くの野菜売り場で写真を撮ろうとすると小さな柑橘類みたいなのを投げられ、中国製の雑貨を大量に売っているお店のお兄さんに声をかけられネコと一緒に日向ぼっこし、生地を売っているお店のイケメン店員には「オレを撮れ!」と売り込みされ、肉市場を案内してくれるやんちゃなお兄さんに着いて回りながら撮影していると周りの女性からは非難轟々の声をかけられ…

 

そうやって市場での撮影を終えた後、一杯のミルクティーを飲みながらホッとする。

 

それから1時間歩いて小学校まで行き、授業に潜り込んで子どもたちを撮影し、授業後に素敵な女性の先生に声をかけ、なんとか口説いて撮影に成功。そしてまたもや1時間かけて軽やかに帰る。

 

お腹が空いたので、地元のレストラン風の建物があったので中に入ると、当然メニューがないので、試しに「スパゲティ」と頼むと、「アイハブ」と答えてくれた。出てきたのは大量のスパゲティは、周りを見ると手で食べるようだった。試しに「フォーク、プリーズ」と声をかけると、フォークなんて使う人は誰もいないのか、出てまでずいぶんかかった。周りを見ると、何を食べるのにも全員手づかみだった。スパゲティが出てきてしばらく経ってからスープも出てきたが、でかいボールにそのまま大量のスープが入っていた。

 

干上がった川だった場所を歩いていると、「ここは危険だよ」と地元の人に声をかけられる。そして、その直後、人相の悪そうなおっさんが話しかけてきて、突然腕を掴まれた。どこかへ連れて行かれる様子だった。彼が「ポリス」…と言っているのを認識することができ、この人相の悪いおっさんは僕を警察に連れていこうとしているのか…さて、このまま連れていかれるか、はたまたどうやって逃げようか…と思案していたら、どうやらこのおっさん自体がポリスだったのだ。そこからさらに大きな警察署まで連行され…と言っても、自分の足でそのポリスと一緒に並んで30分ほど歩いていくのだが…当然ビザやパスポートを見せた瞬間、なんのおとがめもなく解放された。

 

こうやって多少痛い思いをしながらも、大事故は免れて、なにをやってもいいのか、なにをやったらいけないのか…どこまで立ち入ることができるのかの雰囲気をつかんでいく。

夕方、ホテルの近くの床屋に髪を切りに行った。「プロフェッショナルバーバーショップ」と書いてあった。およそ未承認国家とは思えないほど丁寧にカットしてくれて、そして髪にも顔にもヘンテコなクリームを塗ってマッサージまでしてくれた。バケツの水だったけれども髪も洗ってくれて、ワックスなどもつけるか?…と聞いてきた。これはまさに「プロフェッショナル」にふさわしいお店だった。値段は日本円にしておよそ1000円。

 

【業務連絡】

・ネットはかなり遅いけれども、ホテルにいる時はギリギリ繋がります。

・メールもたまにネットがダウンしていますが、チェックできます。

・携帯電話はまったく通じません。

・連絡手段としては、メールもしくはFacebookのメッセンジャーでお願いいたします。