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アウトプットがインプットの質を高めるのでは?



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すっかりこちらへの告知をさぼってしまっていますが、WEBでの連載は隔週で続いています。最新のテーマは「豆とハーブとスパイス」。パクチーブームの背景には何があるのかを考えてみました。
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PRESIDENT Onlineの連載、更新されました。
今回はこの数年注目されているクラフトビールについてです。
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日本マーケティング協会が発行する「マーケティング・ホライズン」。2015年の9号の編集責任者を務めましたが、特集テーマは「カジュアル・リッチ」としました。その提唱者であるゼットンの稲本健一さんにインタビューしました。
※協会の許可を得て、全文を転載します。

※「カジュアル・リッチ」とは何かについてはこちら。

*****

ーまずはゼットンという会社について教えてください。

稲本:創業から今年でちょうど20年になります が、「店づくりは街づくり」という理念のもとに飲食事業を展開しています。直近の売上が約96億円です。店舗数は期間限定でオープンしている店舗もありますので流動的ですが、現在88店舗です。2006年には名証セントレックスに上場しました。

ー展開している業態の特徴などについてお話しいただけますか。

稲本:原則として「チェーンレストランはやらない」というスタンスです。5~6年ほど前からは「アロハテーブル」など、広がりが見込める業態はチェーン展開をはじめています。それからもう1つの特徴としては、路面店や商業施設など普通の立地以外に、庭園や美術館あるいは横浜マリンタワ ーなどいわゆる「公共施設」にも出店しています。売上比率はおおよそ商業6に対して公共4くらいです。

ー今回の特集テーマである「カジュアル・リッチ」ですが、数年前に稲本さんが口にしているのを聞いて、非常に印象に残ったキーワードでし た。この言葉はどのような意味を込めて使っていたのでしょうか。

稲本:「カジュアル・リッチ」の対極にある言葉は「リッチ・プア」ですが、こちらの方がまずイメージしやすいと思います。「リッチ・プア」とは要するに、身なりはリッチだけれど心が貧しい人のことです。派手な身なりをして超高級なレス トランで食事をしていても、実は金の工面に追われていたり、他人の目ばかり気にしてまったく気持ちに余裕がない人っていますよね。逆に服装はTシャツにビーチサンダルと、ものすごくカジュアルかもしれないけれど、内面はすごく満たされているというスタイルもあって、それを「カジュアル・リッチ」と呼んだわけです。

ーいつ頃からそのキーワードを意識していたんでしょうか。

稲本:いや、すっかり忘れましたけれど(笑)、ただ愛知万博が開かれた10年前に「アロハテーブル」を出店したときには、そんなことを意識していたのだと思います。

ーハワイアンスタイルのカフェレストランを始めた経緯について教えていただけますか。

稲本:元々ハワイアンコーヒーの事業に少し関わっていたというのもあるのですが、ハワイってすごく人に優しいんですよ。小さな子どもからお年寄りまで、あらゆる人を包み込む懐の深さがあるのです。流れている時間もゆっくりですよね。ハワイアンの店では、働くスタッフも気合いの入った居酒屋のように「いらっしゃいませー!!!」って大声を張り上げる必要もなくて(笑)、ゆったりした素敵な時間をお客さんと共有するという感覚があります。

ーまさにハワイとかハワイアンという存在自体が「カジュアル・リッチ」なんですね。稲本さんは生活の拠点としてもハワイにいる時間が長いそうですね。

稲本:月のうち3 分の1はハワイにいます。別にハワイアンの店をやるためにハワイにいるわけではないのですが、店の作り手・送り手である自分がハワイと密接に関わっていることによって、店舗に滲み出てくるものがあると思います。今の時代って、経営者をはじめ送り手のライフスタイルから生まれてくる商品やサービスじゃないと、お客さんに対する説得力とか納得感は生まれにくいのではないでしょうか。アップルはスティーブ・ ジョブズのライフスタイルがあったからこそ生まれたと思いますし、ユニクロも柳井さんのライフスタイルとすごく関係があるのだと感じます。

ープライベートでトライアスロンやサーフィンをやられていますが、それも店づくりと何か関係がありますか。

稲本:肉を使わないベジバーガーとかアサイーボウルを出すようなヘルシーなレストランを運営していますけれど、その店の経営者である自分が不健康だったらダメですよね。自然と体を動かすようなライフスタイルになっていったのですが、自分のライフスタイルと店づくりは自然とリンクしていきますね。

ーゼットンでは、数年前からおしゃれなビアガーデンも積極的に展開していますよね。これはどのような意図があるんでしょうか。

稲本:今、外食の大事な価値って「自宅では味わえないこと」です。焼肉を家でやると部屋が臭くなって大変ですよね。だったら焼肉屋で存分に楽しんだ方がいい。あるいは焼き鳥だって、家で炭火ではなかなか焼けません。最近串カツが注目されていたりしますけれど、自宅で揚げ物をしなくなっていますから、これも外食ならではの強みです。そうやって考えたときに、ビアガーデンは要するに「青空レストラン」ですが、自宅でやろうとしたらなかなか準備が大変です。

ーでも、外で飲むビールは本当においしいですよね。

稲本:一年中エアコンの効いたところで生活していると、季節感ってなくなっていくじゃないです か。でもビアガーデンとなると、その暑さも含めて季節というものを強く感じられるんです。そこで得られるのは、まさに気持ちのリッチさです。

ー飲食店を経営していく上で、そしてこれから大事にしていきたいキーワードのようなものはありますか。

稲本:ベースにあるのはやはり「カジュアル・リッチ」です。ただ、その上にこれから乗せていきたいのが「ヘルシー × ハイテンション」です。

ー「ヘルシー」と「ハイテンション」の融合ですか?

稲本:そうです。「ヘルシー」というのは確かに今の時代の大事な価値観なんですが、ともすると地味だったり保守的だったりして、つまらない表現になりがちです。

ー確かに食べ物でヘルシーっていうと、どうしても禁欲的だったり静的だったりして、食欲とか本能からは遠くなりますね。

稲本:そうなんです。そこにあえて「ハイテンション」というニュアンスをぶつけたいんです。「アロハテーブル」の派生業態というわけではないですが、最近「アロハアミーゴ」という店を出店しています。これはハワイアンとメキシカンをあわせたものです。メキシカンって「ハイテンション」 を表現するにはとてもいい料理です。タコスとかテキーラとかって陽気な感じがしますよね。でも、タコスには野菜をたっぷりはさんであったりして、実はすごくヘルシーな料理です。ハワイアンだけでは描けなかった「ヘルシー × ハイテンション」という世界に、アロハアミーゴではトライしています。

ーゼットンが経営している飲食店は、カジュアル・リッチな価値観に大きく依拠していますが、世の中の高級レストランについてはどう思いますか。

稲本:例えばミシュランガイドで三つ星を獲得している「ジョエル・ロブション」というフレンチレストランがありますけれども、やはりすごくいいですよ。「リッチ・リッチ」のスタイル、つまり、確かにスタイルは極めてゴージャスだけれど、実際に精神的にもリッチな気分にさせてくれます。「グランメゾン」と呼ばれるようなそういう立派なレストランがあるからこそ、僕らがやっているような「カジュアル・リッチ」も活きてくるのだと思います。

ー稲本さんが思う「今の時代のレストラン」とはどういうものですか。

稲本: 今、全世界的にチェーンレストランに対する逆風が吹いていますけれど、この流れが元に戻るということはないと思います。レストランに限らず小さな個人経営のカフェまで「イートローカ ル(イートローカリー)」と言っていますからね。それはチェーンレストランがこれまで大々的に推し進めてきた価値とはまったく異なるものです。

ー「東京」の飲食店でも変化が見られますか。

稲本:そもそも昔のように「東京で一花咲かす」 とか「一旗揚げる」というようなことを求める人が少なくなりましたね。今、地方にいる起業家は東京を見ていないですよ。例えばフレンチとかイタリアンの料理人は、日本の地方からそのまま現地に修行にいって、帰国すると地元で店を開きます。仮に外国ではなく東京で修行をしたとしても、 東京ではなく故郷に店を出すという人が多いですね。そういう店は自分がやっていることに対して魂がこもっているから、行くとドキっとさせられます。飲食業界の最先端は今や東京だけではありません。

ー他に業界的に注目すべき動きはありますか。

稲本:ファッション業界の人たちが最近飲食業に参入するケースが増えています。ベースには、飲食自体がかつてないほど「ファッション化」している側面があると思います。インスタグラムとか見ていると、アップされている写真って大体「風景」と「飲食」だったりします。きれいな夕日なんかはやたら多いですよね。夕日もおいしい食べ 物も消えてなくなる瞬間的なもので、そこには「はかなさ」があるんです。そういう感覚がまさに今の時代の「ファッション」なんだと感じます。

ー以前提唱していた「カジュアル・リッチ」は、 時代とともに変わってきましたか。

稲本:昔はまだ細かった「カジュアル・リッチ」という流れはずいぶん太くなったと感じます。と同時に、気持ちのリッチという部分については、より深くなったり、細分化したりしていると思います。ただ「心地よい」というだけではなくて、 例えば食べ物であれば安全とか安心とかを求める声は強まっていますけれど、これに応えることも「リッチ」の1つのあり方です。人々が「この洋服は誰がどこでどんな風につくっているのか」とか「この本を書いている人は実はどんな人?」とか、その背景に至るまでを知りたがっていますし、そういう深掘りができるようになってきました。背景を知ること自体が気持ちのリッチさに繋がっているわけです。こういった大きな流れもすべて「カジュアル・リッチ」から続いているものだと思います。ただし、そうだとするならば、当時の自分が「リッチ・プア」の対極として捉えていたニュアンスとは少し変わってきたようにも感じます。 そもそも、人々が求めている精神的な価値に対して「リッチ」という言葉が本当にふさわしいかどうかは、少々微妙になってきたかもしれません。

ー逆に今、ダメだと感じる価値とか言葉ってありますか。

稲本:この時代に「チープ」っていうのは、絶対にやってはいけないことですね。スタイルが高級だろうがカジュアルだろうが、「心のリッチ」という要件は外せないはずです。ところがチープは その真逆にあります。チープとカジュアルはまったく違う概念ですから、ここは気をつけないといけません。

ーチープという言葉から僕が連想するのは「ファストファッション」です。ファストファッションは今も一定の支持は集めているんだと思いますが、それは「カジュアル・リッチ」ではないと思います。あれは「コスパ」の話であって、多くの人が心のリッチをそこから感じているとは思えないんですよね。

稲本:人は何だかんだ言っても個性を欲していると思います。以前はファストファッションをあえて選んでいる自分自身を、ある意味「個性的」と思えたかもしれませんけれど、今はみんなが着すぎていて「制服」みたいになってしまいましたよね。今の時代を表す別のキーワードが「自由」だとするならば、制服的なものを感じさせるファストファッションは時代とは合っていないのかもしれません。

ーこの「カジュアル・リッチ」という価値観は今後もまだ続いていくと思いますか。

稲本:カジュアル・リッチとかスローライフとか、こういう感覚はこれからもずっと続いていくと思いますよ。でもそういう精神的に豊かな暮らしを可能にしているのが、インターネットをはじめとする最先端のテクノロジーがあってこそというの は、ある意味皮肉というか不思議なものですね。
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日本マーケティング協会が発行する「マーケティング・ホライズン」。2015年の9号の編集責任者を務めましたが、特集テーマは「カジュアル・リッチ」としました。耳慣れない言葉だと思いますが、こちらは巻頭言として書いた文章です。
※協会の許可を得て全文を転載します。

*****

「カジュアル・リッチ」、おそらく耳慣れない言葉であろう。一種の造語であるから、それも当然だ。ファッションの世界では、高級服をカジュアルに品良く着こなすスタイルのことを「リッチ・カジュアル」と表現することがあるが、ここではそうした意味合いで使用しているのではない。「カジュアル・リッチ」を端的に説明するならば、「入り口はカジュアルに、けれども、その先に広がっている世界は精神的にとても豊かなもの」というニュアンスである。

わかりやすい例として、「フランス料理とワインを楽しみたい」というケースを考えてみよう。かつては、記念日で重宝するような超高級フレンチレストランはとても人気があり、人々の憧れであった。もちろん、今もそうしたレストランで繁盛している店はある。しかし、この数年、もっと気軽にワインと料理を楽しめるビストロ(フランス料理の食堂)やバルと呼ばれるような店が急増した。高級レストランとビストロでは、支払い価格に大きな差があるのは言うまでもなく、生活者の懐事情がビストロ人気に繋がっているのは間違いない。

しかし、その理由は決してお金の問題だけではないはずだ。たとえ評価が高かったとしても自身に緊張感を強いるような超高級レストランに行くよりも、己の価値観と合うような気軽なビストロの方がむしろ好ましいという感覚を持つ人が増えているのではないだろうか。自分のフィーリングに合うカジュアルなビストロで、大切な人や気心の知れたスタッフと過ごす時間は、心を満たしてくれるはずだ。それはある種、権威的だったり、記号的だったりする高級レストランでは得られない時間と体験なのではないか。

ここで挙げたレストランのケースに限らず、世の中のあちこちでこうした「気配」を感じるのだ。安易に「車離れ」のような言葉は使いたくないが、車よりも自転車を選びたいという感覚。あるいは住まいを選ぶ際にも、高級住宅地や高級レジデンスよりも、好きな街の雰囲気の良い中古物件を、自分の手でリノベーションをしたいというニーズ。あるいは、海外の高級ブランドの服やアクセサリーではなく、作り手の顔が見えるハンドメイドの作品を買いたいという気分。そんな空気の高まりが感じられるのだが、そのような一連のスタイルをここでは「カジュアル・リッチ」と呼んでいる。

ここで気をつけたいのは、「コストパフォーマンス」の話をしているわけではないという点だ。例えば、ファストファッションは価格的にはとてもカジュアルだが、「ファストファッションが大好きで、それを着ると心が満たされる」ということではないだろう。そうではなく、「ファストファッションで十分」という感覚だと思われる。これはここで言う「カジュアル・リッチ」ではなく、「コストパフォーマンスが良い」という話にすぎない。あるいは、若い世代でよく言われる、「お金がなくたって幸せ」という話とも関係ない。

あえてお金について言うならば、「高級レストランに行ったり、自動車を買ったりするお金はあるのだけれど、そうではなくてむしろ、自分が自分らしくいられるような使い方をしたい」というのが、ここで言うカジュアル・リッチの本質だ。他者や世間の評価(ブランドや絶対的な価格)ではなく、リラックスして心から楽しめるようものを選ぶ傾向が強まっているように感じられるのだが、今号ではそうした事例を取り上げてみたいと思う。

※ゼットン稲本健一氏へのインタビューはこちら。
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PRESIDENT Onlineの連載2回目が先日アップされました。
タイトルは、「俺のフレンチ」が原価率90%でも儲かる理由。
まあ本文ではそこまで書いていないんですが、
編集者としては引きの強い見出しを付けたい気持ちもわかります。
こちらからどうぞ。
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