Teratology関係の情報といえば、以前は虎ノ門病院の独壇場だった気がし松。
最近は国立成育医療研究センター
母性医療診療部 妊娠と薬情報センターもとてもヨイ感じです。
同センターで2005年から2011年5月までに確認されたMTX暴露例の妊娠転帰について、昨年のJCRで報告がありました。
結果判明した８例中、
生産3例、流産5例、先天奇形なしという結果でした。
MTXは、人工妊娠中絶に使用される薬であり（20mg/日を５日間連日投与、50mgをワンショットなど）、受精の時期とMTX服用日の関係、その投与量などの組み合わせで「全か無」になってしまうのであろう、といったお話しだったと思います。
Multinational evidence-based recommendations for the use of MTX in RA.(Ann Rheum Dis 2009)によれば、
MTX暴露妊娠101例中、
生産62例、流産20例、先天奇形5例（内反足、血管腫など）。
これらのほとんどが人工妊娠中絶目的に使用された例→投与量が非常に多い。
ちなみに、
先天奇形の自然発生率（重篤なモノも軽度なモノも含む）は、約3%と言われています。
James L.Schardein：CHEMICALLY INDUCED BIRTH DEFECTS Third Edition,Revised and Expanded
さらに流産の自然発生率は約15%。
以上から、症例数は限られていますが、
1)RAで使用される程度の量だと「生産（奇形なし）」or「流産」になる
2)多量に使用すれば、先天奇形が若干増える
となれば、MTX服用中の妊娠について「中絶をおすすめします」とまでいうのは言い過ぎだと、最近は考えております。
MTXで胎児になにかあれば、おそらく流産になってしまうのであろー。
ですが、
動物実験での催奇形性ははっきりしています。
そこで、最近の妊娠希望者のMTX使用方法については、
1) 休薬後月経1周期見送ってから妊娠すべし
2) 服用中に妊娠判明した場合は即中止。中絶はせずにそのまま様子をみる。
としております。
次は、妊娠中のRA活動性コントロールはどーするよ。