1年半ほど前、故郷に佐賀競馬の外馬券売場新設計画が持ち上がっていたが、その計画は中止されていたらしいです。中央競馬でクラブオーナーをやっている身としてはなんとも悲しいことです。年間20億の売上を見込んでいたらしいのですが、第3者の調べで12億円程度との予測が出たのがひとつの理由だというけれど、おそらく第一の原因はそれではないでしょう。何せ、計画を立てていた企業は県下有数の企業「植村グループ」傘下企業でした。それを考えるとやり方ひとつで十分何とでもなったのに、と思っていたら、やはり問題はそこだけではなかったようです。


 住民の中には、「町の活性化につながるのでは」という期待の声がありましたが、日本共産党の井上勝博市議会議員は、場外馬券売り場は山梨県旧石和町(合併して笛吹市)の事例に見られるように地域振興に役立たないこと、設置予定場所のグリーンランド市比野の敷地は、小中学校に近く、中学生の通学路のそばにあり、敷地内は温泉施設があることから馬券場に未成年者が容易に近づくことができることなど教育環境面で問題は多いこと、車の渋滞や交通事故が増える心配があることなどを指摘し、誘致計画を批判していました。


やっぱり。未成年が容易に近づくことができることなど教育環境面で問題が多い? 馬鹿を言うなと言いたいですね。私の故郷は人口10万人ちょっとなのですが、非常に恥ずかしいことに17店舗もパチンコ屋が有ります。ちなみに、もう少し人口の多い大阪府松原市は7店舗、人口12万人の奈良県橿原市でも10店舗です。明らかに多過ぎるパチンコ屋を前にして、よくこんな事が言えたものだと思います。


もはやいっそのこと競輪場外「サテライト阿久根」のようにパチンコ店を運営する某グループが小型店舗を潰して国道3号沿いに作ってしまってはいかがかと思います。確かサテライト阿久根も売上予想20億円だったはずですが、正月に見た限りその運営は順調のようです。


そもそも、ドリーム競馬すら放送されはじめて数年しか経っていない県ですから県民自身が疎いのかもしれませんが、鹿児島県といえば競馬ととても深いつながりがあります。


有名馬主

(冠:テイエム、キリシマ、オースミ、ツルマル 等)

鹿児島県出身騎手

 岡冨俊一(栗東・引退)=GI級2勝

  84年優駿牝馬・オークス

  88年中山大障害※グレード制前

 四位洋文(栗東)=GI級14勝

  96年皐月賞、96年エリザベス女王杯、98年高松宮記念、

  01年南部杯※地方、01年天皇賞・秋、01年香港カップ※海外、

  02年フェブラリーS、03年安田記念、03年阪神JF、

  06年阪神JF(ウオッカ)、

  07年東京優駿・日本ダービー(ウオッカ)

  07年菊花賞(アサクサキングス)この時点でクラシック制覇達成

  08年NHKマイル(ディープスカイ)

  08年東京優駿・日本ダービー(ディープスカイ)

  (先日の桜花賞は2着)

 松田大作(栗東)

 幸英明(栗東)=GI級11勝

  03年桜花賞/優駿牝馬・オークス/秋華賞の牝馬3冠達成

  05年JBCスプリント/06年南部杯/JBCマイル/東京大賞典※地方

  07年かしわ記念/07年南部杯※地方

  08年高松宮記念(ファイングレイン)

  08年南部杯(ブルーコンコルド)※地方

 小牧太(栗東)=GI級1勝

  08年桜花賞(レジネッタ)

   08年東京優駿・日本ダービーは2着。

   四位騎手とのダービー鹿児島出身騎手ワンツーを決めた。  

鹿児島県出身調教師

  池添兼雄(栗東) 岩元市三(栗東) 梅内忍(栗東)

 北橋修二(栗東・定年) 崎山博樹(栗東) 

 鮫島一歩(栗東) 新川恵(栗東) 瀬戸口勉(栗東・定年)
 田島良保(栗東) 鶴留明雄(栗東) 古川平(栗東)

 西園正都(栗東) 湯窪幸雄(栗東) 領家政蔵(栗東)

 前田禎(美浦) 郷原洋行(美浦)  吉永正人(美浦・故人)


なお、武豊・武幸四郎、その父武邦彦氏の祖(武豊からみて曽祖父)は、武彦七といい薩摩藩士であった。池添兼雄の息子に池添健一騎手がいる。


いかがでしょうか。これだけの関係者を出身にもちながら、鹿児島県に場外はひとつとして存在しません。鹿児島市にできそうなものですが、未だにないのが事実です。佐賀競馬ではJRA交流重賞、ダートグレード競走が毎年2回施行され、彼らも来ている訳です。パチンコはギャンブルでしかありませんが、競馬はそうではありません。それにパチンコしか遊ぶところがないからこそ若者が寄りつかないという事実にも目を向けるべきではないでしょうか。

パチンコは朝から夜遅くまで開いていますが、競馬は競馬法によって元々日の出から日没までと決まっています(関東4場がナイター開催しているのは例外ですし、佐賀にナイターをやるだけの体力はありません)。

さて、どちらが地域にとって有益で、地方の活性化、出身者の応援になるでしょうか。パチンコに出身もクソもないと思いますが。

さらに、競馬法によって未成年者は勝馬投票券を購入できませんが、パチンコは18歳から遊戯できます。その指摘が通るなら、市内のパチンコ店全廃あるいは新規出店禁止の条例をつくるべきでしょう。そうでないと筋が通りません。


共産党さんは原発増設に反対されておられるでしょうが、パチンコと競馬場外のどちらが消費電力が少ないかは考えなくともわかるはずです。もっと広い視野で政策主張なさってはいかがでしょうか。これではダブルスタンダード以外の何物でもありません。