「保育園落ちた日本死ね」というツイッターが話題になりました。
政府も自治体も待機児童の解消を目指していますが、そこでネックになるのが保育士不足です。

保母さんという名称が保育士になったのは1999年。男性の「保父さん」が増えるなか男女雇用機会均等法の改正の際に、政令改正により「保育士」に変更になりました。

多くの学生さんが保育士を目指して勉強していますが、その処遇は低く、業務の負担も増えているのが現状です。

・給与が低い: 2015年の月給の平均が月21万9000円。全産業の平均33万3000円と比べて10万円超下まわっている。

・昇級が少ない: 結婚・出産しても続けよう、上を目指そうというモチベーションを損なう。私立保育園では保育士の勤続年数に応じて補助金が加算されるが、10年で頭打ち。

・将来の展望がない: 今後、少子化が益々進むと将来的に保育所は減る。

・長時間労働: 8時間労働ではなく「11時間労働」が標準時間。現場ではサービス残業が常態化。幼稚園に比べて休みも少ないし有給休暇も取れない。

・質的に難しい保育業務が増えている: 0歳児など低年齢児の保育、発達障がいやアレルギーへの対応、虐待対策、保護者への支援など。
             
このような保育士の現状に対して、政府は2013年から「保育士確保プラン」をスタート。
保育士試験回数を年2回に増やすなどの人材確保、離職防止のための研修支援、マッチング強化による再就職支援、職場環境の改善に取り組んでいます。
これに加えて、来年度より毎月1万2000円賃金上乗せなど保育士の処遇アップを約束しています。
             
しかし、いまの制度のまま多少手を加えても根本的な解決にはつながりません。大きな質的な転換を検討する必要があるのです。

まずは大幅な賃上げが必要です。
例えばマイナンバーの有効活用と歳入庁設置で歳入を18兆円増やすことが可能だと我々元気会は試算しています。また後期高齢者医療費を3割負担に改めれば4兆3000億円の財源が生まれます。
保育士給与の平均を全産業平均なみに毎月10万円アップするにはこのうち4800億円を充てればよいのです。

そ して、保育士のキャリアアップに向けて、幼稚園教諭との資格の統合と多層化をはかることも検討すべきです。例えばニュージーランドでは1980年代に全て の保育所と幼稚園が教育省所管の教育施設へと位置づけられ、保育者の資格も幼児教育教員に一元化されました。経験年数や技能に応じてキャリアアップと賃上げの枠組みが根付いています。
             
社会が大きく変わる中、保育所や保育士をめぐる制度も大きな改革を余儀なくされています。
子どもたちや幼い子どもたちを抱える親御さんたちが満足できる保育サービスを受けられるよう、我々は「待機児童ゼロ」に向けて、これからも政策提言をしていきたいと思います。