今年の夏に再び衆院選が行われるかもしれない…。こんな見方が弁護士・憲法学者を中心に広がっています。






昨年12月の衆院選は一票の格差が最大2.43倍あったため「違憲無効」だと主張して多くの弁護士が全国の高等裁判所に提訴しています。一票の格差とは、有権者の投じる一票の価値が不平等ということ。単純化すると、10人の有権者が1人の議員を選ぶA地区と5人の有権者が1人の議員を選ぶB地区があるとして、B地区の有権者はA地区の2人分の価値がある投票権を持つことになるということです。これは民主主義の根幹である多数決原理にかかわる重要な問題なのです。






この一票の格差をめぐる選挙無効訴訟。実は過去に何度も起こされています。最高裁が違憲判決を出したことも過去何度かありますが、いまだかつて選挙を無効とした判決は出ていません。選挙を無効にすると社会的影響が大きすぎるというのが理由です。






ですが、今回は少し様子が違います。まず、訴訟を起こしている弁護士グループが「100日裁判」を主張している点。公職選挙法213条が、選挙の効力に関する訴訟について「判決は事件を受理した日から100日以内に、これをするように努めなければならない。」と規定していることから100日裁判と呼ばれています。あくまで努力義務規定なのですが、弁護士グループが提訴したのが昨年の12月ですから、最速で3月の終わりには最高裁判決が出る可能性があります。選挙無効訴訟の最高裁判決が出るまでに数年かかるのが通常であったので、これは異例のスピードです。






実は今の格差を生じさせている選挙区割りは2009年の衆院選の時と変わっていないのですが、2009年の衆院選は一票の格差がひどいので「違憲状態にある」と最高裁から判示されているのです(2011年3月23日大法廷判決)。しかも最高裁は、格差の原因が「一人別枠方式」(衆議院の小選挙区300議席うち、47議席を各都道府県に1議席ずつ配分し、残りの253議席を人口に応じて比例配分する仕組み)にあると具体的に指摘しています。それにもかかわらず、一人別枠方式を廃止しないまま1年半以上放置し、「0増5減」定数削減でお茶を濁したばかりか、その「0増5減」の区割りすら衆院選には間に合わない始末。最高裁は顔に泥を塗られた状態です。これまで様々な憲法訴訟で立法府の裁量を尊重してきた最高裁もさすがに伝家の宝刀を抜くのではないかとの考えが広がっているのです。






政治の責任が問われるだけではなく、日本の三権分立の意義も問われている今回の選挙無効訴訟。みなさんはどう思われますか?