今年創業100周年を迎えるシャープが発表した台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業グループとの資本業務提携。鴻海がシャープの株式の一割を取得し、さらにはパネル生産を担う堺工場の運営会社の株式46.48%を鴻海の会長(個人)に660億円で譲渡とのこと。これは、事実上、台湾メーカーによる救済策です。



経営難により、海外資本が入ることは他国でも日常茶飯事。この件が数年前に発表されたならば大騒ぎとなったでしょうが、今の日本では、誰も驚かなくなりました。


しかし、この流れが加速し、資本の過半数を握られる企業が一気に増えてしまえば、日本から本社の撤退と産業の空洞化は更に進むでしょうし、法人税収の減少や経常収支の赤字化も否めません。



また、鴻海は、傘下に液晶パネル会社を持っています。「競合関係は継続」とシャープの奥田次期社長は否定していますが、日本の技術流出についても懸念されます。



日本で唯一、情報を記憶する半導体メモリーの「DRAM」を生産するエルピーダの倒産、シャープをはじめとする日本を代表するエレクトロニクス企業の巨額の赤字など、日本の電子産業が衰退していくようなニュースばかり目立ちますが、円高、高い法人税、電力の独占による電気代の高止まり、非合理な労働のあり方など、プロビジネスの政策が行われてこなかった為、企業が育つ「土壌」が耕されていないのが原因と言わざるをえないのです。



成長重視の政策へ大きく舵を切るには、強い理念を持った政党が操舵室に乗り込むしかありません。



民主党が、消費税増税の議論に計8日間45時間と報道されましたが、今すべきことは増税議論ではなく、もっと自国の企業が運営しやすい環境、成長できる政策を議論することです。