東日本大震災の1周年追悼式典に出席した際に感じた違和感が二つありました。





一つは、術後間もない天皇陛下のご臨席。誰よりも被災者の事を想う陛下の事ですから、辛くても追悼式に出席したいという事になったのでしょうが、政府が作る式次第にもっと配慮があって良かったのではないかと思います。





元々の予定表を見ると、ご退席の時間が「ご遺族の言葉」の後に記されていますので、当初、陛下は最後まで残られるお気持ちだったと思います。しかし、宮内庁と担当医の判断で、途中のご退席に変更されたのでしょう。





しかし、それならば、なぜ野田総理の長い(中身のあまり無い)式辞を天皇陛下のお言葉の前に持ってきたのか。


内閣府に確認したところ、「前例で…」と「被災地の人達から総理の話を聞きたいとの要望があったので…」という答え。





心臓の大手術をし、退院後たった1週間で公務に戻られるのは、大変な事だと思います。壇上では気丈に振る舞われていましたが、相当な精神力を要されたはずです。




また、同じ時間をその場で過ごすならば、天皇陛下はむしろ、野田総理のスピーチではなく、ご遺族のお話を直接聞きたかったのではないでしょうか。お体が万全でないときくらいは慣例にとらわれない取り組みが必要だと思います。





もう一つは、台湾に対する配慮の無さです。




当日、一番早いグループで会場に到着したため、一般議員の中では最前列の席に座っていました。各国大使の献花の際は、知り合いの大使を一人一人確認していました。ところが、台湾の代表は最後まで呼ばれなかった為、隣席の江口議員と「これは問題なので確認しよう」と話をしていました(江口さんは台湾との親交が深く、昨年も一緒に訪台させて頂き、馬大統領や李登輝さんと交流を深めてきました :2011年9月7日のブログ





先日も自民党の世耕議員が本件を予算委員会で取り上げていましたが、台湾は日本の親友です。東日本大震災の時は、どこの国よりも早く、どこの国よりも多く、援助をしてくれました。それに対する気持ちが全く見えない、恩を仇で返す様な対応だったと思います。





これについても、外務省に確認をしたところ、「台湾はあくまでも民間枠での扱いになる」とのこと。勿論、日中平和友好条約を踏まえてとの理屈は分かりますが、ここはもっと感謝の気持ちを見せるべきだったと思います。例えば、各国大使の献花の後は国際機関代表(国連の関係機関など)が献花を行いましたが、そのトップバッター(つまり最後の大使の次)で名前を呼んで、献花して頂いても良かったのではないかと思います。それであれば、中国も文句を言えないでしょうし、台湾の誇りを傷つけずに済んだと思います。(次回の式典などからそうするようにと、外務省に提案しました。)





この件に関しては、友人である台湾の経営者からも「残念だ」という連絡がありました。





日本政府は台湾人が自分たちの事を好きでいてくれるからと過信して、配慮を忘れてしまっていないでしょうか?確かに、李登輝さんの時代から、年配の方々を中心に、親日派がとても多いのは事実です。しかし、最近感じるのは、台湾の若者たちは、少しずつ日本に対する気持ちが薄らいできているのではないかということ。次の世代の気持ちが日本から離れ、中国とより密接になってしまえば、安全保障上も益々苦境に立たされるのは日本なのです。





上記に提案したような小さな配慮の積みかさねがとても重要だという事を民主党政権は肝に銘じるべきだと思います。