今朝、8:30ごろ、福島第一原発の3、4号機付近から煙が上がっていることが確認され、放射線量も急激に上昇していた事がわかりました。




現在も高濃度の放射能漏れが発生しているため現場に近付けず、冷却作業が開始出来ていません。それどころか、何が起こっているのか、何が問題なのかの確認すら出来ない状態が続いています。




退避命令が出されているエリアの住民は勿論ですが、近隣他県の住民も心配で仕方が無いという声を聞きます。実際、東京から東海・関西方面へ退避し始めている知人も多く出てきています。




私は少しでもより正確な情報を入手し、皆さんに伝えたいと思っていますが、正直言って、マスコミで放映されている以上のものが政府からは出てきません。昨日も経済産業省(原発は同省の管轄)の担当者に数時間に及ぶヒアリングを行いましたが、原発のシステムや構造については明瞭に説明してもらえるものの、詳細な現状分析は出来ていないという印象を持たざるを得ませんでした。




この未曾有の非常事態にリーダーは何をするべきか。




救命、救済、支援、退避命令は当たり前のこと。

しかし、それと同時に国民の不安を取り除く、強いメッセージを発信する必要があると思います。




例えば、「福島原発のベストシナリオ、ワーストシナリオ」を発表する。




私が総理だったら真っ先に科学者・研究者を集めてプロジェクトチームを作り、「最悪なシナリオでは何が起こりうるのか」というシミュレーションを立てさせるでしょう。




そして、それを発表する。




例えば、最悪なシナリオで 『福島第一原発にある核燃料棒がメルトダウンし、放射線を放出してしまう事態になったら半径20キロでは○○○ミリシーベルトの放射線量になる可能性がある。それは人体に△△△のような影響を及ぼす。半径50キロでは○○○ミリシーベルトの放射線量になる可能性がある。それは人体には・・・』という具体的な数値を発表する。




そうすれば、例えば、一都三県の住民はそれほど深刻な被害にならない事を理解し、落ち着き、現在起こっているような食料品や燃料の買い占めなどを止めさせる事が出来るはずです。




そして、「最悪なシナリオ」で人体に悪影響が出る可能性のあるエリアの住民には、しっかりとした対策を打ち出す。政治力を発揮し、現在ガラガラの東北自動車道などを利用して、順次バスなどで安全エリアの指定公共施設に退避させる。上記のアナウンスメントで問題が過小だと分かったエリアの公務員や住民は、ボランティアも含め、万全の受入れ体制を作って避難者を粛々と受け入れる事が出来るはずです。




私が今まで企業のトップとして学んできた事は、何か事件が発生した時はすぐに「ベスト&ワーストシナリオ」を計算し、想定する。そして、極力ワーストを回避する為の戦略を練り、その情報を社員(住民)に開示し、共有・共闘する。



情報を開示したらパニックが起きるなどと言う人が多いですが、不都合な真実もディスクローズして一緒に行動する方が、最終的には一番良い結果を生むのです。




今回の震災直後の状況を見ても証明されましたが、日本人は賢く、冷静です。また、「力を合わせて難局を乗り越える」ことが出来る国民です。最悪なシチュエーションが見えない。底が見えていない時が最も人間を恐怖に落とし入れ、問題を大きくしてしまうのです。




一刻も早く総理には「ベストシナリオ・ワーストシナリオ」を発表して頂きたい。 そして、リーダーシップを持ってリスク回避に動き、一人でも多くの住民を安心させてほしいと思います。