夜中に幼なじみから電話。


少し悩んだ挙句、出てみる。


「おう!」


彼女の酔った声に、


電話に出たことを後悔。


「・・・何?」


「私は、”つみき”がいくら私のこと嫌いでも関係ないから!


関係は絶対切らないからね。


私の幼なじみに生まれたことを恨んでくれ!」


酔っ払いの啖呵。


わけわかんねぇし。


切れた携帯を握りしめたまま。


僕はうつむく。


手を。


君はいつも僕に。


手をさしのべ続ける。


握り返されることのない手をずっと。



なぁ。君は知らないだろう。


一生知ることもないだろう。


僕の人生で唯一の幸運は。


君の幼なじみとして生まれたこと。












「何か不快な思いをさせてたならゴメン。


悪いとこがあったらなおすから、言ってほしい。」


性懲りもなく君が言う。


「そういうとこがウザい。嫌なんだ。」


性懲りもなく僕が言う。


君の悲しい視線を感じながら、僕は逃げる。


ここは嫌だ。


君の隣は嫌だ。


僕は、子供のように泣きそうになる。


なおせない癖に。


自分のことを一番に考えてくれ。


謝るのをやめてくれ。


嘘笑いはやめてくれ。


できないのだろう。


できないのなら。


そんな顔で謝らないで。







僕は救いようのない人間だ。


同じ過ちを繰り返す。


もう嫌だ。


君が、君といる自分が嫌なんだ。


泣きたくなるくらい嫌なんだ。


君の病気はもちろん、その不器用な生き方が。


心配で、切なくて、もどかしくて。


どうしてやることもできない自分にも。


腹が立って、腹が立って。


救いようもない僕は。


また、君を傷つける。


どうして。


僕はこんな人間でしか在り得ないのだろう。


どうして。


君の幼なじみとして生まれたのだろう。