関東に行っていたのは、

次男の引っ越しのためではありません。

聴覚特別支援学校の高校生25名に防災の話をする、

という非常にチャレンジングで大事な仕事で

行っていたのです。

初めていく場所だし、めちゃくちゃ慎重に、

新幹線にのって、在来線に乗り換えて、

バスに乗って、バス停から歩いている時に、

「あれ?わたし、ここ来たことある??」と思いました。

 

そう、そこは11年前に長男が受験した聴覚特別支援学校。

初めていくと思っていたけど、来たことあったわ。

懐かしい。(うちの子は不合格でしたが。)

日本で唯一の国立、

筑波大学附属聴覚特別支援学校でした。

普段は聞こえる人たちに、聞こえにハンディがある人や、

配慮の必要な人に対する話をしているけれど、今回は違う。

初めての体験です。

でも、息子が高校生のとき、

何を伝えたかったかを想像すればきっとできる。

そう思って、引き受けさせていただきました。

担当の講義は19時半からでしたが、

生徒たちの様子を事前に見ておきたくて、

また少しでも馴染んでもらってから

講演できた方がいいと思い、

午後4時のスタート時点から、

クラスごとの話し合いや給水活動、非常食体験など、

一緒に活動させてもらいました。

 

 

学校での宿泊研修は初企画ということで、

先生方が事前に多くの準備をされて、

きめ細やかな配慮の中で運営されている様子。

実際にいろいろ体験することで、

よりリアルに想像することができる。

素晴らしい取り組みだと思う。

 

例えば、非常用トイレの組み立て方を知ったことで、

いざというときに、

地域でお役に立てる側にもまわれることは、

生徒たちにとってもとても勇気づけられることだと思う。

 

支援される人、だけではない。

彼らも支援する側にまわれる人なのだという自覚が

すでに彼らの中にはあって、

自分にできることはなんだろう?という視点があるのも

素晴らしいことでした。

印象的だったのは、体育館での訓練中に

人工内耳の電池がなくなってしまった生徒に対し、

女子生徒が「よかったね!

実際、被災した時もそういう状況はありえるから、

本番さながらの練習になるね」と声かけをしていたこと。

また別の男子生徒は「僕が助けるよ」と言っていました。

私は、すぐに替えの電池をもってこないと!と思ったのですが、

彼らの機転や対応力に感動。

また、聴覚障害は見て分かりにくい障害でもあるけれど、

一方で、補聴器は人工内耳さえしていれば大丈夫なんでしょ?

という誤解も多い、ということに触れていた生徒もいて、

自らその誤解をとかないといけないと発言していました。

講義の最後には、恒例のベビーステップを板書してもらった。

一つ一つの意見が大事な一歩。

 

そして、近所づきあいももちろん大事だけれど、

いつどのような場所で被災するかわからないので、

常日頃から、自分から積極的に

コミュニケーションをとる姿勢を身につけてほしいと願います。

大人になっていく中で、例えば今回ご縁を繋いでくださった

IGB(インフォメーションギャップバスターズ)

のような活動に加わり、発信する側になって、

社会に理解を深め、より安心して暮らせる状況を

自ら作っていける人になってほしい、

ということも伝えました。彼らなら、できる。

生徒たちの貴重な時間を預けていただき、心から感謝です。

事前にいろいろアドバイスくださった、

聴覚障害のある防災士の方にも感謝。

健聴者に、聴覚障害者への配慮を伝えるだけでなく、

聴覚障害者に防災意識を高めてもらう活動も、

今後していきたいと、強く思うきっかけになりました😊

生徒たちは非常に積極的で、

発言を求められた時には誰もがきちんと意見を述べていたし、

「おつかれー」「ありがとう」という声掛けも

頻繁に飛び交っており、

また笑顔でコミュニケーションを活発に交わしている様子に、

真面目さと共に純粋さや誠実さを感じました。

本当にいい子ばかり。

どうか誰もが取り残されることのない社会に。

その願いを胸に、小さいことしかできないけれど、

私にできることをこれからもしていきたい。