高田 明典
世界をよくする現代思想入門

 現代思想っておもしろい。すごい。本書を読んで、そう感じました。それまで僕は、科学を比較的信頼していて、哲学や思想は役に立たない言葉遊びくらいにしか思っていませんでした。役に立たないはずの現代思想が世界をよくするというのは、僕からすると奇妙なことに思われたのです。ところが、現代思想が役に立たないというのは、誤解でした。むしろ、ここまで世界をよくしようと考えている学問、人を僕は知りません。世界をよくするという命題に挑むなんて無謀だなと思っていましたが、著者の言うとおり、よく健闘していると思います。


 僕は現代思想についてまったく何も知らないのですが、比較的読みやすかった。それは、著者が概念を説明するための例を豊富にちりばめたからであり、何のために議論しているのかということがわかりやすいからでしょう。また、前に説明した概念であっても、読者が忘れていそうな場面では、再び説明しなおしてくれる懇切さのおかげでもあります。巻末にはブックガイドもついており、次に進むための道が示されているのもうれしい。正直なところ、本書を読んで、現代思想に興味がかなりわいてきているのでブックガイドはありがたいです。まさか自分がこんなに現代思想に興味を持つとは思っていませんでした。なんていうか現代思想ヤバイですね。とりあえず、ウィトゲンシュタイン、レヴィ=ストロース、デリダ、ローティの著作にはチャレンジしてみます。


 世界をよくする現代思想がどんなものか知りたい方にお薦め。

 評価:★★★★★

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