構成がしっかり作ってあって、ブレがない。
文章に余計な装飾がなく、シャープな文体には好感が持てる。
真面目で一途な故に狂気を帯びた園長の人物像を、第三者的視点から客観的に描く事で表しているのは巧いと思う。
事故か他殺か、という美登里先生の死因も、それには触れずに前後のエピソードを淡々と描く事で、暗に園長の関与を匂わせている。
ラストで、園児に踏み付けられ、クシャクシャになっていく家族写真をクローズアップして終わらせる事で、その結末を暗示しているのも見事だ。

「虫」というテーマをどう料理するかという点では、「虫」自体に重点を置いている人にはこの作品は少々物足りなく感じるかも知れないが、正直なところ、「虫」が「襲う・喰らう」ばかりでは展開に限界がある。
つまりは同じような内容の作品ばかりが並ぶ事になるのである。
そんな中で、「虫」はあくまでアイテムの一つとしてストーリーを展開させ、日常に起こり得る恐怖を描いたのは、私の中でかなり評価が高かった。



 発想 +1 描写 +1 構成 +1 恐怖 +1 





怪集/2009 全ては子供達の為に。