マッキンゼーで身につけなければならない基本動作 | 難しい時代を生き抜くための読むサプリメント

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著者の伊賀泰代さんがふるいをかけることで、将来グローバルリーダ
ーとして活躍できそうな人を採用することになるわけですが、必ずしも
全員が採用時点で十分なレベルに達しているわけではありません。

 新たに採用された社員の大半は、出社初日から数ヶ月間にわたって
強烈なカルチャーショックを受けることになります。

 この間、必要な教育や訓練を受け、リーダーシップを実戦で鍛え身に
つけていきます。

 マッキンゼーには社員として身につけなければならない基本動作が
4つあり、これが新入社員を驚かすことになります。


【基本動作1】 バリューを出す

 マッキンゼーに入社して最初に驚くのは、みんなが呪文のように唱え
る「バリューを出す」という言葉です。

 この言葉を一日に何度も聞くことになります。
 バリューを出せとは何らかの成果(付加価値)を生み出せということ
です。

 たとえば何らかの知識が買われ会議に呼ばれたとします。
 呼ばれた者は、会議が終わると「私はちゃんとバリューを出せました
か?」と主催者側に確認するそうです。

 期待されただけの価値を提供できたか気にしているわけです。


 会議参加者で発言しなかった人はバリューゼロになります。

 たとえ稚拙であっても、何でもいいから発言すれば他の人の思考を
刺激することになったかもしれません。

 少なくとも何も発言しない人よりも価値は出せたはずです。
 バリューゼロはマッキンゼーでもっとも恥ずかしこととです。
 たとえ新人でも許されないことです。

 たとえば2時間かけて資料を読むとします。
 どうだったか問われ、「○○についてよくわかりました」などと答え
たら怒られます。

 2時間かけて資料を読んだら「自分が抱える顧客企業にとって○○が
必要であることがわかった」などと価値を生み出すことが求められるの
です。



【基本動作2 ポジションをとる】

 ポジションをとるとは、
「あなたの意見は何か」
「あなたが意志決定者なら、どう決断するか」
 を、はっきりさせるという意味です。

 新入社員であれば資料を集め、分析し、企画案をいくつかまとめ会議
用の資料に仕上げれば、あとは上の人が資料をもとに会議で決めるのが
普通です。

 しかし、マッキンゼーではたとえ新人でも、「結論は何か、顧客企業
はどのように判断すべきか」問われます。

 問われるのはプロセスではなくあくまで成果です。


 「で?」と聞かれたとき、答えられなければどんなに膨大な資料を
用意してもバリューゼロと評価されます。

 So what? と問われ、首尾よく自分の意見を言えたとします。
 今度は、出された意見をもとに議論が始まります。

 So what?にフォーカスした会議を何度か経験するうちに、その生産性
の高さが身にしみてわかってきます。

 最終結論を左右しないような枝葉末節に時間を使うことがなくなるか
らです。


 100億円投資してリターンが50億円しか見込めないなら「投資すべきで
ない」という結論で終わりです。

 ところが実際の会議では48億円とか52億円など正確な数字を確定させる
ために長い時間をかけたりしているものです。


 結論を出す(ポジションをとる)ことで、周囲からも上司からも様々
なフィードバックが得られます。そこからまた自分の考えを発展させて
いければいいのです。



【基本動作3 自分の仕事のリーダーは自分】

 ふつう、組織図は上司が上、部下が下に書かれます。
 ところがマッキンゼーのチームにはそれが当てはまりません。
 自分を中心に放射線状に広がった組織図が示されます。

 自分の周りをコンサルタント、マネージャー、リサーチャー、シニア
コンサルタント、パートナーなどが囲みます。

 自分を監督とすれば、自分より給料の高いパートナーは主演男優、
マネージャーは主演女優と意識します。

 舞台をつくりあげ、成功させることが自分の責任です。

 上は下がつくった資料をチェックしてくれるという感覚はありません。

 自分がつくった資料をよりよくするために周りからインプットを獲得
し、会議でこれを活用していくことでさらに磨きをかけるといった感覚
に近いでしょう。

 メンバー個々が自分中心にばらばらにやっていたら収集がつかなくな
るのではと心配する向きもあります。

 しかし、マッキンゼーにおいては全員の目的が同じなので混乱するこ
とはないそうです。



【基本動作4 ホワイトボードの前に立つ】

 マッキンゼーではプロセスや作業ではなく、結果(成果)にこだわる
意識が全社員にすり込まれています。

 また、つねに自分の意見を明らかにすることも求められています。

 上司に対してでさえ、上司が持っている知識、判断力、ネットワーク
を、どう活用すべきかという視点をもって向き合うことが要求されるの
です。


 新人コンサルタントでもすぐにホワイトボードの前に立たたされます。
 ホワイトボードの前に立つと言うことは、議論のリーダーシップをと
ることを示す象徴的な行為です。

 こうして新人コンサルタントはディスカッション・リーダーとしての
訓練を積んでいきます。


 入社して誰もが「いつかはリーダーシップを発揮できるようになりた
い」と思うものです。

 マッキンゼーにおいては新入社員はたとえそう心には思っても実際に
口に出せる雰囲気ではありません。

 なぜなら、入社1年目からコンサルタントとしてリーダーシップが求
められるからです。


 もちろん最初からすべてを仕切れというのは無理です。
 できないことは上司に積極的に割り振っていきます。

 先輩がやるのを見ながら学ぶではなく、とりあえずやってみて、ほん
とうにできないところを誰かに助けてもらうというやり方で鍛えられて
いくのです。



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