「幸福実現党、政策はいいがバックが……」 どう考えるべき?
10月20日 01時24分


《本記事のポイント》
・ 「政教分離違反ではない」が政府の公式見解
・ ドイツ与党のキリスト教政党に、無宗教の20%が投票
・ イメージは「修道会の社会貢献活動」

「日本に『保守政党』はない」

ジャーナリストの田原総一郎氏は、13日付日経ビジネスオンラインでこうぼやく。

各党は「自民=保守」「希望=改革保守」「立憲=リベラル」と自称するが、最も右側の自民党でさえ「憲法9条改正」を事実上放棄し、経済政策でも「教育無償化」というリベラル色の強い政策を打ち出している。

この状況を、田原氏は「自民党のみならず、他の政党はいずれもリベラルで、いってみれば自民党の左側に、よりリベラルな政党が連なっている」と評する。

そんな中、極めてストレートな「保守」政策を掲げる政党が注目を集めている。幸福実現党だ。未だ国会議員は輩出していないが、全国に17人の地方議員を持つ。今回の衆院選でも、全国に76人の立候補者を擁立する。

「防衛費倍増」「憲法9条を改正し、防衛軍を組織」「消費増税は中止し、5%に減税」といった政策に、インターネット上では「自民党も真っ青な保守」「政策は、一番まともで、ぶれない」といった声が見られる。

しかし、その声の多くには「留保」がつく。「ただ、バックが宗教だから  」というものだ。

幸福実現党の支持母体は、「幸福の科学」。そのことを懸念する心理は、戦後日本においては"自然"な感情かもしれない。「バックが宗教」である事実を、有権者としてはどのように捉えればいいのだろうか。


(1) 「政教分離」違反ではない
まず、懸念の声として筆頭に挙がるのは、「政教分離に反しているのではないか」というものだ。

ところが、幸福実現党の地方議員や立候補者が、役所に立候補手続きに行った際に、「政教分離により受け付けられません」と拒否されたことはない。訴訟を起こされたこともない。よく考えれば、もし拒否されれば「結社の自由」の侵害となり、それこそ憲法違反となってしまう。

幸福実現党以外にも、全国には、僧侶や神職を務めながら、町長、市長、国会議員を兼ねる政治家も数多い。

では、私たちが学校で習った「政教分離」とは、何だったのだろうか。

1990年に、内閣法制局長官が、政府の公式見解をこう述べている。

「憲法の政教分離の原則とは、信教の自由の保障を実質的なものとするため、国およびその機関が国権行使の場面において宗教に介入し、または関与することを排除する趣旨である。それを超えて、宗教団体が政治的活動をすることをも排除している趣旨ではない」

つまり、アウトになるのは、例えば神社関係者の支持を多く受けている自民党政権が、キリスト教の布教を制限したりするケースだ。

「政教分離」が定められた背景には、戦前の政府が仏教、キリスト教、天理教や大本教などの新興宗教を弾圧したことへの反省がある。宗教の「結社の自由」を禁じれば、それこそ「信教の自由」を侵してしまう。

ちなみに、幸福実現党は「信教の自由」を重視している。同党は独自の憲法案を発表しているが、そこでも「信教の自由」は強調されている。大川隆法・幸福の科学総裁はそれについて、こう述べている。

「宗教に関しては、『「信教の自由」の下、自由マーケット、自由市場のなかで、フェアに競争しましょう』ということを、あえて述べているわけです」(『国を守る宗教の力』所収)

「信仰は心の中のものであり、権力に強制されるものではない」というスタンスだ。仮に公明党が、国権を濫用して他宗を弾圧したり、思想統制を始めたりしても、「信教の自由」が歯止めになる。


(2) 政党支持はあくまで政策への支持
「憲法上の問題はどうあれ、幸福実現党への支持は、特定の宗教団体を支援するようで抵抗がある」という感情もあるかもしれない。

ただそこは、「あくまで政策・主張への賛同」と割り切ってよさそうだ。

現在ドイツの与党である「ドイツキリスト教民主同盟(CDU)」は文字通り宗教政党だ。しかし、例えば1998年の選挙では、国民の無宗教者の20%近くが、CDUに投票している。

そもそも、政治における政党の役割として「利益表出機能」「利益集約機能」が言われる。簡単に言えば、「国民の中にこんな意見がある」ということを社会に明示し、政策として集約する機能だ。

有権者も政党について、「自分はこう思っている」という意見表明をする"道具"くらいに割り切って考えていいだろう。むしろ、意見表明しないことの方が、政治にとってはマイナスだ。

大川総裁も、「『当会が母体である幸福実現党の出している政策に共鳴し、応援してくださる方であれば、当会の信仰や教義を受け入れていなくても、政党のほうでは一緒にやっていける』というスタンスを持っています」(『政治に勇気を』所収)と語っている。


(3) 売名活動ではなくミッション活動
「いくら『政策への支持と、母体の宗教への支持が別だ』といっても、政治進出自体が、宗教の売名行為や利権獲得のためではないか」という懸念もあるかもしれない。

しかしそうであれば、当選者がなかなか出ない中、8年間も活動を継続する理由がない。第一、知名度の向上・勢力拡大を狙うのなら、もう少し"効率的"で"耳障りのいい"政策を掲げるはずだ。例えば、某政党のように、給付金や商品券のバラマキなど  。

それでも幸福実現党が政治活動を行う動機については、「修道会が社会貢献活動を行う」ことをイメージすればいいだろう。

例えばカトリック修道会の一員だったマザー・テレサは、ローマ教皇の認可を得て「神の愛の宣教者会」という女子修道会を設立した。貧困という社会問題に取り組み、医療行為、社会啓蒙活動を行った。これは、「貧しい者のために働く」というキリスト教の徳目を、実践するためのものだ。

この徳目の背景には、キリスト教的な世界観・人間観がある。ただ修道会は、その教義まで受け入れなくても「貧しい者を助けるべきだ」というレベルで共感する人には協力を募りながら、活動を行っている。

幸福実現党も同じだ。同党が、「小さな政府」の実現や減税政策、人権弾圧国家からの「国防強化」といった政策を訴えているのは、「人の人生にとって、自由はとても重要」という信条を強く持っているからだ。

この「自由の哲学」の裏にはスピリチュアルな世界観・人間観や幸福の科学の教えがある。ただ政治活動においては、「自由の尊重」といったレベルで共感できる人たちと協力し、社会変革を行おうとしているわけだ。

いずれにせよ、その政治活動は、純粋に「世の中のためになる」と思ってのことだ。

訴える政策が他党と似通っていても、背景には「宗教的なミッション性」があるため、「信条を曲げる」ことができない。"幸か不幸か"、政党運営をする中で、「選挙に不利かもしれないけれど、これは言わないといけない」という判断が、何度も行われているという。

つまり、幸福実現党が「政策はぶれないけど、バックが  」ではなく、「政策がぶれないのは、バックのせい」という言い方の方が正確だろう。
国難突破解散、幸福実現党が掲げた「国難選挙」のマネ!?



「国難」だと気付くのが、遅すぎたのではないか。

安倍晋三首相は25日、首相官邸で記者会見を行い、28日召集の臨時国会冒頭で衆議院を解散する意向だと表明した。安倍首相は、「この解散は『国難突破解散』であります。(中略)北朝鮮の脅威に対して国民の命と平和な暮らしを守り抜く」と語った。


2009年「核ミサイル阻止」を掲げた幸福党
国難突破解散――。かつて、これに似たフレーズを掲げて、選挙戦を戦った政党がある。民主党が政権を奪取した2009年の衆院選において、新たに立党した幸福実現党だ。

大川隆法・同党創始者兼総裁は、立党に際して、このように語っている。

「今、必要とされているのは政権選択選挙などではありません。今回の選挙は『国難選挙』なのです」(『幸福維新』所収)

当時のマニフェストでも「この国を国難から救い 希望の未来に導きたい」という言葉が、大きな見出しになっている。

ここでいう「国難」とは何か。マニフェストでは、大川総裁のこんな言葉が引用されている。

「既存の政党が卑怯だと思うのは、あれだけ、北朝鮮にミサイルを撃たれ、核実験をされているにもかかわらず、それを選挙の争点に挙げていないことです。それは、『そういう問題を争点にしたら、選挙において不利に働く』と考えるような保身があるからです」

実際に同党はマニフェストで、「核ミサイル阻止」と大きく打ち出した。

当時としては、かなり"過激"に見られたことは否めない。2009年4月に北朝鮮が発射したミサイルが日本列島上空を通過した際、政府もマスコミもそれを「飛翔体」と呼び、"有事"として扱わない――。日本はそんな空気だった。


8年あればミサイル防衛はもっと万全に  
とはいえ、もし8年前に政府が本格的に「核ミサイル阻止」に動いていれば、日本人は今頃、もう少し枕を高くして寝られていただろう。

情勢がさらに緊迫してから、政府は迎撃ミサイルを搭載したイージス艦を4隻から、8隻に増やそうとしている。しかしそれには、2021年度まで待たなければならない。

さらに政府は今年、迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備を急ぎ始めた。しかし、このシステムは発注から配備まで5年もかかる。今から急いで2018年度から整備に向けて動き出したとしても、配備は最速で2023年度になるという。

政府の対応は完全に後手に回っている。北朝鮮のミサイルの危機が最高潮に達しているのは、2017年の今なのだ。安倍首相は、「万全な対応」をアピールするが、それならばイージス・システムの増強を急ぐ必要はないだろう。

日本の政治家が「国難」を認識するのが、あまりにも遅すぎた。


国難において敢えて「内戦」を始める危険性
安倍政権は今、ようやく「国難」を認識し、国民に呼びかけた。しかしながら、その対応には、疑問を抱かざるを得ない。

衆院選というのは、国家が分裂して、激しい舌戦を繰り広げる一種の「内戦」だ。北朝鮮が今にも暴発しかねない今というタイミングを「国難」と呼ぶなら、なぜわざわざ「内戦」を始めるのだろうか。

兵法において、相手国の勢力同士を戦わせて力を弱め、消耗したところに一気に攻め込むというのは常套手段だ。欧米諸国がアフリカなどを植民地化する時は、この兵法がとられた。

明治維新においても、坂本龍馬などの志士が大政奉還を目指し、勝海舟と西郷隆盛が「江戸無血開城」を実現したのも、「西洋列強国が日本に攻め入る隙を与えないためにも、国内で戦争をしている場合ではない」と考えたからだ。

この「内戦状態」を、なぜ安倍政権は自分からつくりだそうとするのだろうか。

中心の争点が「国防強化」であるなら、百歩譲ってまだ許されるかもしれない。明治維新における争いも、「国防」が争点だった。

しかし、安倍首相が掲げた争点の中心は、「消費増税で得た税収を、幼児教育無償化などに振り向ける」というもの。憲法9条改正についても、事実上の現状維持である「加憲」案に後退してしまった。北朝鮮に対しても「圧力をかける」という、漠然としたものに留まっている。防衛体制は、結局前進しそうにない。


さらに争点を撹乱する小池・希望
そんな中、さらに選挙の争点を撹乱する勢力が「内乱」に参入してきた。

小池百合子都知事は25日、安倍首相が衆院解散の意向を表明した数時間前の記者会見で、国政政党の新党「希望の党」を立ち上げ、代表に就任すると発表した。

希望の党の主要政策を見ても、「安全保障」「国防」への問題意識は特に感じられない。憲法改正に関しては、「9条に限らず、幅広く議論する」と訴える。国防問題を争点として薄めようとしているようにさえ見える。

その上、「原発ゼロの社会を目指す」と力強く明言している。「エネルギー安全保障」の観点からも危険な提言であり、潜在的な核抑止力も自ら手放そうとしている。

そもそも、小池氏は国政に進出する前に、ミサイルのターゲットにされる可能性の高い東京の首長として、「国民保護」の強化を急ぐべきではなかったか。核シェルター普及や、避難先の確保、有事に備えた避難訓練の実施徹底などは、待ったなしの課題のはずだ。

マスコミも習性上、「安倍自民」と「小池希望」の対立構造に大きな焦点を当てて報道する可能性は高い。これでさらに選挙の争点は、「国防」「安全保障」からずらされる。

今の日本には、保身や打算を超えて、真に国民の安全を守る意志と行動力がある政党が必要だ。
【緊急再掲】「核」着弾まで3分。その時、何をする? 北ミサイルから家族を守る 生存率を上げる33の行動
8月29日 23時38分


2017年7月号記事 再掲

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「北朝鮮からミサイルが発射された模様です。頑丈な建物や地下に避難して下さい」

29日の午前6時すぎ、全国瞬時警報システム(Jアラート)が発令された。その地域は、ミサイルが上空を通過した北海道を含む12道県の計617市町村。

今回、ミサイルは3つに分かれて落下した他、アメリカの軍事専門家は「北朝鮮には、36発同時に発射できる能力がある」とも分析している。多数のミサイルが同時に発射されれば、自衛隊の迎撃体制は突破され、日本領土に着弾してしまう。

2017年7月号記事「北ミサイルから家族を守る 生存率を上げる33の行動」を改めて紹介したい。

「核」着弾まで3分。その時、何をする?
北ミサイルから家族を守る
生存率を上げる33の行動

「火遊びだ」と思っていた北朝鮮のミサイルの脅威が、ついに日本を脅せる時代に入った。
日本は国防を強化すべきだが、一方で、最悪の事態への備えも考えなければならない。
日本が火の海にならないようにするには。


1 衝撃波から身を守る
爆心地付近の人の約9割は、爆発時の熱線(閃光)と衝撃波で死亡する。
着弾前は「いかに熱線・衝撃波を避けるか」を考える。

 近隣国からミサイルが発射された場合、全国瞬時警報システム(Jアラート)が鳴ることになっているが、鳴り始めてから着弾までは最大で2~3分だ。
 核爆発の瞬間に出る眩しい閃光にさらされれば、致命傷の火傷を負う。上空には、太陽と同じほどの超高温の火球が出現し、コンクリートをも粉砕する衝撃波が人々を襲う。
「ミサイルが発射されたかもしれない」という警報を聞いたら、一刻を争う事態なので、即座に避難を始めよう。正しい知識を持って初期動作を正確に行えば、生存確率は大幅に高まる。下のチェックポイントを読み、いざという時にどう動くかを日頃からイメージしておくことをお勧めしたい。



2 火災・放射線から身を守る
熱線と衝撃波を生き延びることができた後は、「いかに火災と放射線から身を守るか」を考える。

 爆心地付近では熱線によって火災が発生する。また、放射性物質を含んだ核の灰や雨が降る。これらを避けるため、速やかに避難する必要がある。
 地下鉄内の放射線量は、地上の1万分の1以下なので、火災と放射線を避けるには、地下を通って脱出するのがベスト。残留放射線は爆発後約1時間で急速に減衰するので、やむをえず屋外に出る場合でも、火災の気配がなければ、しばらく屋内で待機した方が安全だ。
 避難場所は、食料や水などが手に入る自宅が望ましい。放射線を浴びても、早めに除染することで被害を抑えられる。以下、火災・放射線から身を守る方法や除染について紹介する。



3 化学兵器から身を守る
北朝鮮の脅威は「核兵器」だけではない。
もし化学兵器による攻撃を受けたら、どう対処すべきか。

 北朝鮮は猛毒のサリンやソマン、VXガスなどの化学兵器を持っていると見られる。
 ミサイルが着弾する前には、核兵器なのか化学兵器なのかを見分けることはできない。爆発の規模が小さければ、化学兵器である可能性が高い。国内に入り込んだ工作員による化学兵器のテロもあり得る。
 化学兵器の場合、ガスは低い場所を中心に広がるため、避難の方法は核兵器の場合とは異なる。
 早く治療すれば、重症化を防げる場合もあるため、症状が出たらすぐに警察や消防に通報することが大切だ。化学兵器の被害を防ぐためのポイントと、主な症状を紹介する。




Interview

正しい知識と初期動作が生死を分ける

核放射線防護学の第一人者が語る、核攻撃などの緊急時に気をつけたいポイントとは。

札幌医科大学教授
高田純
(たかだ・じゅん) 理学博士。専門は放射線防護学。世界各地の放射線被害を調査・研究している。著書に『東京に核兵器テロ!』(講談社)、『核爆発災害』(中公新書)など多数。放射線防護情報センターサイト
http://rpic.jp/
 多くの人は「核攻撃で怖いのは放射能だ」と思っています。しかし爆心地近くの約9割の人は最初の熱線(閃光)と衝撃波で死にますので、最初に正しい行動をとれるかどうかが生死を分けます。

 避難するには、「Jアラート」が作動することが前提です。しかし、もし鳴ったとしても「着弾まで最大約3分間しかない」と見られます。発射直後に鳴るのではなく、約5分後、ミサイルの先端の核弾頭が切り離されて放物線を描いた時にようやく着弾場所が推測できるからです。

 政府の課題は、ミサイル発射情報を早く、正確に、確実に、危険区域の国民全員に届けることです。今の体制では不十分です。


核防災の基本は「屋内退避」
 爆心地付近で屋外にいては確実に死にますので、個人としては地下か頑丈な建築物の中に逃げ込む「屋内退避」が基本となります。屋内では、とにかく窓がない場所を見つけて床にうつ伏せになり、目と頭を覆います。これをすれば助かる可能性が大幅に高まります。地下に逃げる余裕がある場合は、閉じ込められる恐れがあるエレベーターではなく、階段を使います。
 電車に乗っている場合もありますが、Jアラートが鳴ってすぐに電車を止めるのではなく、駅まで走らせるべきであり、駅係員の訓練が必要です。
 爆発後、爆心地から人を逃がすには「地下鉄での脱出」が必要です。爆心地付近は、地上が火の海になりますし、地下なら放射線防護もできるからです。私は政府に「自衛隊が地下鉄を運行すること」を提案しています。地下鉄が時速5キロでも動けば、生き残った人を避難させることができます。
 帰宅後は、リアルタイムで情報を得ながら、徹底して除染を行います。私が運営している「放射線防護情報センター」のサイトで24時間の予測線量レベルを公開していますので、参考にしてください。
 最後は精神的な力が試されます。核爆発に遭っても、最後まで生き延びることを諦めないことが肝心です。(談)
(本企画の全文は以下の有料会員限定記事で公開中)


2017年7月号記事 「核」着弾まで3分。その時、何をする? 北ミサイルから家族を守る 生存率を上げる33の行動 Part.1
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13045

2017年7月号 「核」着弾まで3分。その時、何をする? 北ミサイルから家族を守る 生存率を上げる33の行動 Part.2
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13044





タグ: 核弾頭 北朝鮮 自衛隊 迎撃 核ミサイル 化学兵器 高田純 札幌医科大学 テロ Jアラート 著名知識人
転載します
北朝鮮になめられっぱなしの日本 今こそ「核シェアリング」の検討を
8月30日


《本記事のポイント》
・ 北朝鮮のミサイルが日本の上空を通過
・ 「最も強い言葉で非難」することしかできない日本
・ 「核シェアリング」で抑止力を向上させるべき

北朝鮮が29日に発射したミサイルが、北海道上空を通過し、襟裳岬から1180キロの太平洋上に落下した。

政府は、昨年8月からミサイルの破壊措置命令を自衛隊に発令しているが、国内に落下する恐れはないとして迎撃を見送ったという。自衛隊法82条の3で、ミサイルが「落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるとき」などと規定されているためだ。

北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長は、新型中距離弾道ミサイル「火星12」の発射訓練だとし、29日が日韓併合から107年に当たる日であることから、「残虐な日本が仰天する大胆な作戦」と指摘。米韓合同軍事演習「乙支フリーダムガーディアン」への対抗措置であるとも述べ、アメリカへの対抗姿勢を示した。


日本は相変わらず、非難しかできず
読売新聞は社説で「『火星12』をグアムではなく、日本に向けて撃つことで、米国による迎撃を避けようとしたのではないか」との見方を示している。裏を返せば、「日本は反撃してこないから撃ち放題である」と、北朝鮮が判断しているということか。

事実、日本政府は、ミサイルが国土の上空を通過しても、「最も強い言葉で非難」する程度しかできないでいる。報復能力はアメリカ頼みであり、日本が取り得る選択肢は少ない。

ミサイルを迎撃できたとしても、もし核やサリンなどを搭載していれば、国内に被害が及ぶことは避けられない。このままだと、何万人もの人々の命を失うことになりかねない。


そもそもミサイルを撃たせないことが必要
ではどうすれば、国民を守れるだろうか。

最も重要なのは、そもそも「北朝鮮にミサイルを撃たせない」ことだ。そのためには臨時予算を編成し、トマホークミサイルなどを調達し、「敵基地攻撃能力」の確立を急ぐ必要がある。

しかし、巡航ミサイルを配備しても、実戦で使うには時間を要する。隊員の練度の向上や、ミサイルを搭載できるように艦船の改修などが必要になるためだ。

日本独自の報復能力を高めつつも、北朝鮮がアメリカ本土に届く核兵器を完成させる前に、同国の暴走を食い止める抑止力を持たねばならない。そこで有効な手段であるのは、アメリカとの「核シェアリング」だ。これであれば、非核三原則を撤廃すれば、すぐにでも可能であり、抑止力を高められる。

非核三原則や現行憲法を守って、国が滅んではならない。報復能力を確立しつつも、憲法9条の改正や非核三原則を撤廃するなどして、「自分の国は自分で守る体制」を整えなければならない。
(HS政経塾 須藤有紀)

【関連記事】
2017年6月号 「北朝鮮が戦争を起こしたら――日本の大部分はパトリオットの範囲外」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12911

2015年1月19日付本欄 「闇に消えた戦後日本の『核シェアリング構想』を復活させるべき」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9068
国連安保理が北朝鮮制裁決議を採択 もはや北朝鮮に効くのは「制裁」ではなく「軍事行動」
8月7日 18時14分

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《本記事のポイント》
・ 国連安全保障理事会は北朝鮮の石炭などの輸出を全面的に禁止する制裁決議を採択した
・ 有効な対北制裁を行うとともに、北朝鮮への「短期」で「大規模」な攻撃も検討すべき
・ 北朝鮮に手出しできなくなる前に、アメリカが行動を起こせるよう、日本も後押しするべき

国連安全保障理事会はこのほど、北朝鮮による2度の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受け、北朝鮮の外貨収入源となる石炭や海産物の輸出を全面禁止する制裁決議を全会一致で採択した。

各国が決議を厳格に守って実行すれば、北朝鮮の経済にとって大きな打撃となる。しかし、北朝鮮の貿易取引の9割以上を占めている中国は、これまでずっと国連の対北制裁の「抜け穴」としての役割を担っていた。中国が制裁の「抜け穴」であり続ける限り、北朝鮮への制裁はもはや意味がない。

北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)と豪語するミサイルの発射実験を7月に2回行うと、トランプ米大統領は「中国には非常に失望した」とツイッターに書き込み、北朝鮮の核・ミサイル開発の阻止に向けて中国が影響力を行使していないことに不満を表明。トランプ氏は、今後、どのように中国を動かすつもりなのだろうか。


中国にアメリカと北朝鮮を選ばせる「踏み絵」
アジア問題専門の米コラムニスト ゴードン・G. チャン氏は、米テレビ番組のフォックス・ビジネスのインタビューで、アメリカが中国に北朝鮮をコントロールさせるために必要な行動について、次のような趣旨のことを提案した。

「2016年の国連の報告書では、中国銀行が北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)に関わったことが明らかになっています。トランプ氏が『中国銀行(Bank of China)との取引を止める』と言う。これだけで、中国に対して大きな経済的制裁をかけることができるのです」

この方法は、事実上、中国に、アメリカと北朝鮮のどちらを選ぶかという「踏み絵」を迫ることになるため、有効な策といえるだろう。


「短期」で「大規模」な攻撃を
このように、あらゆる手を尽くしてさらに有効な制裁を行うことが求められる。しかし、それでも北朝鮮の金正恩・労働党委員長が核やミサイル開発・実験を止めないようであれば、アメリカは北朝鮮に対して本格的に軍事行動を取る必要がある。

アメリカが北朝鮮を攻撃する場合に重要なのは、北朝鮮に反撃の時間を与えない、「短期」で「大規模」な攻撃を行うことだ。例えば、北朝鮮の主要な軍事施設などに、通常兵器で最大の破壊力を持つと言われる「大規模爆風爆弾(MOAB)」を一斉に落とす、などの手段が考えられる。


「世界正義に照らして正しい国か」という視点
大川隆法・幸福の科学総裁は8月2日、東京ドームで講演し、北朝鮮の核ミサイル問題について次のように述べた。

「国防、国を愛する、国を守るということは、各国の持っている権利ではあるんですけれども、その守るべき国が、世界正義に照らして正しいか。神の心に照らして正しいかという基準が、もう一つあるということを、忘れてはなりません」

北朝鮮は核ミサイル開発を「国防のため」と主張している。しかし、実際には金正恩体制の維持が最大の目的であり、核ミサイル開発は国民の命を危険にさらす以外の何物でもない。「世界正義」や「神の心」に照らしてみても、北朝鮮の現在の体制を変えていかなければならないことは明白だ。

北朝鮮の核ミサイル開発のスピードを見れば、アメリカ本土を核攻撃できるミサイルの実戦配備は、時間の問題であり、米紙ワシントン・ポストでは、「2018年にも実戦配備される」という米国防情報局の分析も報じられている。

アメリカが北朝鮮に対して軍事行動を起こせなくなる前に、トランプ大統領が正しい決断をできるよう、日本も後押しする必要がある。
(小林真由美)

【関連記事】
2017年7月29日付本欄 北ミサイルが米中西部を射程に 今止めなければアメリカは北朝鮮の言いなり
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13333

2017年7月23日付本欄 北朝鮮がもうすぐ「アメリカ本土に王手」 金正恩氏を封じるラストチャンス
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13303

2017年6月5日付本欄 もしアメリカが北朝鮮を攻撃したら日本は? 元自衛隊幹部が語る(前編)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13095





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