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今月1日のある新聞の1面に「0歳からの学び場デビュー」という見出しを発見。


1年前の私ならまったく興味を示しませんでしたが、今はもうそんなことばかり考えています。学びについて。そして考えても結論にはいたらないものだということがわかりはじめてきました。今はまだいろんな引き出しを準備することくらいしかできないなと。


しかし、今回見た新聞は正直、コワッ!て思いました。なんと都会では、0歳から学ばそうとしてるですよ。本格的な洗脳かなんかでしょこれ。って思ってしまうひねくれ坊主ですみません。




記事を読みますと、この教育プログラムの発祥の地はアメリカです・・・なるほどね。あとは、ハーバードのなんたら博士が提唱するなんたら理論をもとにカリキュラムを構成とあり、そしてこういうのに付きものなのが、”脳科学などの最新の研究結果を反映させた・・”とか、”科学手法で・・・”という決まり文句。


例えば、この新聞の記事にも「クラシック音楽に酔う 自立心・個性すくすく」というデカ文字が記事中央にどーんと書かれてますが、


私の世代でもよく知られていると思いますが、「モーツァルトを聴かせると頭がよくなる」「赤ちゃんにクラシック音楽を聴かせると知能が高くなる」というのを聞いたことがあるかと。


これ実は脳にまつわる神話なんです。科学的証拠はまったくないものです。




クラシック音楽が脳に与える影響というのは実は、1993年の科学誌「ネイチャー」に載ったある報告が発端で、それはモーツァルトのソナタを聴くことで大学生の空間推論能力が向上したという内容から始まり、1997年に出版された「モーツァルトで癒す」という本がベストセラーになったことで多くの人に知れ渡る・・・。っていう、実際のところ音楽で赤ちゃんの知能が一生向上するという研究は実は誰もやってないんですって。





でもこれには続きがあって、クラシック音楽を聴くだけじゃだめで、これを自分で演奏させる。すると空間推論能力が高くなる、ということから子供の知能は確かに向上するとしています。




ということで、再び新聞記事に戻ってみますと、生後3ヶ月になった時点で入学の相談に訪れる保護者もいるって書いてます。週3日通学で月額「13マン5セン円」、5日通学で「じゅうはちまんえん」。正気か?





教育雑誌は、生まれる前からモーツァルトを聴かせると知能が高くなるとうたう。親は我が子をきちんとした幼稚園に通わせなければ、いい大学に入れないと心配し、数年おきに新たな専門家が現れては、幼い頃の経験がその後の知能と成功を決めると説いて親の不安を煽る。





グローバル化により英語教育の推進が著しい昨今。今や韓国の小学生の英語のレベルは日本の高校生並。いまさら韓国と肩を並べようったって無理。あちらは超英才教育をして叩き込んでいるから、英語はできるけどその代わりに変な(人間)のが多いって誰かが言ってましたよね。


こんなにも世間でグローバルグローバルって言い始めた時点でもう終わってますから次に行かないと。これからはローカルの時代が来ます。都会よりも地方の時代が・・・たぶん、ていうかムリやり。





英語に関して脳科学でいえば、経験が脳に強く永久的に残る幼少期(発達の「感受期」)に、第二言語をネイティブみたいに話したいのであれば子供の時に学ぶのが一番いいらしい。(でも、海外で活躍している日本のサッカー選手なんかは大人から始めても充分話せてますよね)


今の、というか昔からそうなんでしょうけど、英語教室の実状はというと、ただ英検で”級”を取得するため、だけの教え方ということも少なくないのだとか。級が取れたら保護者も安心するでしょう。だからその辺は硬筆の級も一緒。


もちろん級が上がることが子どもの励みにもなるし、それによって英語に興味が湧いてきて没頭するようになり、後に、例えば翻訳家になりたいとか、ハリウッドスターになるとか、そういった夢に繋がるのならばそれでいい。でも実際そうなる人って級がなくても没頭するはずでしょう。そこに競争原理や市場原理は介入していない。


要するに、目に見える、頭で解釈できる結果(数字)で優劣を決めようとすることに慣れてしまっているという危機状況を省みる必要がある。





例えば、我が子が書いた文字を見て、子どもがどういう状態かを心で観ることも可能なわけです。これは書道教室でしかできない見方で(他の教室でやっているかどうかはわかりませんが)、線の濃さ、太さ、力強さなどのそういったものをトータルして文字そのものの質を観る。そうすると、子どもの心の状態(集中力散漫、情緒不安定など)に気づき、ケアすることも可能なのでは。


まあとにかく、「字は体を表す」ってのは本当で、「身体=心」。


心が病むと体も病む。


姿勢(体)が悪いと字(心)も歪む、そして体にも欠陥が生じる。


実際に学校現場においても、最近は姿勢の悪い子どもがとても多いらしいですからまずはそこから治してみるとよいのかも。


ということで、話が途中からそれてしまいましたがとにかく、0歳からは普通に学んでください。というか自然に学ばさせてあげてください。人間の脳は自然に学べるようにプログラムがきちんとされてますから。大人のエゴで先走ることほど罪なものはない。


と思ったりもするのですが。




”学ぶとはどういうことか。本当に学んでいるときには一生を通して学んでいて、特に教師はいないのです。その時々にあらゆるものが教えてくれている。枯れ葉、飛んでいる鳥、香り、涙、豊かな者と貧しい者、泣いている人、女の微笑み、男の傲り。「生」それ自体が君の恩師である。”   (J・クリシュナムルティ)