『ゴッホ型猫の目時計』 アタゴオルとゴッホのすてきな関係 | 手当たり次第の本棚

『ゴッホ型猫の目時計』 アタゴオルとゴッホのすてきな関係


ますむらひろしというと、宮沢賢治との関係がまっさきに浮かび上がってくるけれども、もうひとつ、深く関わりがあるのが、ゴッホだ。
まことに、ますむらひろし作品には、ゴッホがよく登場する。
だから、当然、
「ますむらひろしは、ゴッホが、ほんとに好きなんだな」
そう思っていたのだけど、どうも違うらしい。
二十歳を越して、はっとある日目覚めるまで、ゴッホはキライだったのだそうだ!

ある日、不思議な猫の目時計を通じて、ゴッホの意識が、アタゴオルに流れ込んできた。
猫と人が、対等の関係で、亜熱帯風の土地で暮らしている、アタゴオル。(亜熱帯「風」です。冬にはたくさん雪が積もるしね)。
そこでは、ほんとに夢いっぱいの、不思議な事がいろいろ起こるのだけれど、そこへゴッホが流れ込んで、ちょっと寂しく、ちょっとステキで、少しほろりとするような、そんな世界が広がっていくんだ。

ゴッホの絵と、ますむらひろしのイラストレーション(書き下ろしを含む)。
そして、胸の奥がかすかにキュッと絞れるような、文章。

これは、大人のための、絵本です。

著者: ますむら ひろし
タイトル: ますむら・ひろしの「ゴッホ型猫の目時計」  小学館
2005年3月11日新刊