逢いたい | 渋谷琴乃オフィシャルブログ「Since」

逢いたい

朝5時過ぎ、ニュースで緒形パパの死を知りました。



いつもと変わらない一日の始まりだったのに、それはあまりに突然で…夢を見ているようだった。


家族に心配をかけたくないので、キッチンの隅に行き、声を殺して泣いた。


緒形さんは私の恩人です。とても偉大な方でした。



皆さんにさなえを愛していただけたのは、緒形さんのお陰です。



後から関係者に聞いた話ですが、「俺なんかどうでもいい。ことのの話を書いてやってくれ。」と作家さんに話してくださり、一話進むごとにさなえの出番が多くなりました。



いつも一番下の私を気遣い、励まし、支えてくださいました。



空き時間には自分の楽屋に呼んでくださり、色々な話をしてくださり、「との、写真撮ってあげるな。」と、たくさんの写真を撮ってくださいました。



頂いた写真…大切に保管してあります。どれも自然体な私で大好きな写真です。



思い出がありすぎて、とても書ききれませんが…福山雅治さんのコンサートに出演者みんなで行った時、私の隣で上手く手拍子出来ずに「との、教えろ。わからん。」と困っていたパパ。



台詞を覚えきれなくて、お茶碗に台詞を書いた紙を入れて「との、これをいじるなよ。」と言われたので、私は意地悪して持って行ってしまうと、本番が終わってから「とのぉ~やりやがったなぁ~」とスタジオを出て廊下まで鬼ごっこ。


何でもない日なのに、Tシャツをプレゼントしてくださったり、海外に行ったからと腕時計をくださったり…



全ての撮影が終わってからしばらくして、緒形さんの舞台を拝見しに行くと顔をくしゃくしゃにして喜んでくれました。



「との、頑張れよ~。お前はこれからだ。なにがあっても負けるなよ。」


そう言って頭を撫でてくれました。



またご一緒したい!

それまでにたくさん勉強して、成長した姿を見てもらうんだ。



なかなかご一緒出来なくても、私がまだまだ駄目なんだ、力が足りないからだと腐りそうになりながらも、私なりに今日まで頑張ってきました。


緒形さんとまたご一緒したい。頑張ればいつかまた逢える。



それを目標に今までやってきたのに…



いなくなっちゃうなんて


逢いたいよ。



逢いたかったよ。






母を亡くした時、もう二度とこんな思いはしたくないと思ったのに



苦しいです。


また心に大きな穴がぽっかり空いてしまいました。



子供の前では泣けないので我慢したけど、送り出してから、ただただ泣きました。子供みたいにワンワン泣きました。



大好きな緒形さんの大きな手…



「ボタンを押そうとすると他のも押しちゃうんだよなぁ~。」



と笑っていた。



頑張るとその分だけ褒めてくれた。



ちゃんとお礼も言えていない。



でも母がきっと、私より先にお礼を言ってくれるだろう。



私を心配し、コメントを下さった皆様…本当に有難うございました。



皆さんのお気持ちがとてもとても嬉しく…緒形パパの娘=私と思って下さっているのが本当に幸せです。



三崎修一の娘、さなえを演じる事が出来た事、緒形拳という偉大な方と一つの作品を作る事が出来た事を誇りに思い、これからも精進して行きたいと思います。



大きな穴を塞ぐには時間がかかるかもしれませんが、これも私にとっての試練だと思い、乗り越えて力にしたいと思います。



お顔を見て伝えたかったけれど…



『緒形さん、本当に有難うございました。』



そしてお疲れ様でした。もう頑張らなくていいのですから、ゆっくりとお休みください。



優しい言葉を書いて下さった皆さんに心からお礼を申し上げます。



緒形パパはこれからもずっと私の中で、皆さんの中で生き続けるんですもんね。



私は大丈夫です。緒形パパに怒られちゃうので、もう泣きません。



これからも頑張ります。


見ていてください。