復興目的宝くじ付き納税 〔まとめ〕 | 名言遺産@ランキング

復興目的宝くじ付き納税 〔まとめ〕


※ 以前に書き殴って投稿したコラム「復興目的宝くじ付き納税について」を簡単に総括してみました。 


主題
復興目的宝くじ付き納税 〔まとめ〕
~ 副題 : 特別付加税と実質的な宝くじの義務化について ~


主旨
 もしも、無駄の削減や世に言うバラマキ4K(子ども手当て・高速道路無料化・高校無償化・農家の戸別補償)の廃止など、増税の前にやるべき事(下記一覧表)を実施してもなお、復興のための資金が足りないという場合、おそらく何らかの形での増税や国債の発行が不可欠となるわけですが、その際の負担(正確には負担感)軽減を目的としたアイデアの提唱です。

概容
 簡単に申し上げると、「増税+復興宝くじ」の合わせ技というか同時並行的な実施。つまり、いくら復興目的とはいえ、単なる増税だけでは将来に対する不安や悲観論によって消費が低迷し、むしろ日本全体の復興を遅らせる原因にもなりかねないので、同じ負担増なら「宝くじが当たるかもしれない」という明るい話題を振りまく全国民的なイベントにしてしまおうではないか…と。

 もちろん、増税という鞭(むち)に対する、せめてもの飴(あめ)といった気休めレベルではありますが、所得税や住民税の一部(少額)を財源として毎月実施するような祭事=(まつりごと)であれば、国民が一丸となって復興や景気回復に取り組む姿勢を国内外に示すシンボル的な政策として、(あるいは当籤金への期待から)国民に一定の理解を得られると思うのです。

 しかし、宝くじが一つの金融商品(当籤金付き証票)というよりギャンブルやエンターテインメントとして国民の間で広く認識されている現状においては、そのまま(強制力を伴う)政策の中に盛り込むのは心理的な抵抗感もあるでしょうから、「宝くじ」という名称の使用にはこだわらず…例えば、「還付金」のような形で当籤金を支給(払い戻し)するなどの工夫が必要かもしれません。

 また、射幸心を煽(あお)らず適度に消費マインドを刺激するように、当籤金額より当籤者数を重視して最高賞金を100万円くらいに設定するものと仮定します。億単位の賞金は人生設計を狂わせる可能性がありますし、その多くは貯蓄に回ってしまうという統計的なデータもあるようなので、自由意思で購入する既存の宝くじとは異なる全国民(全労働者)参加型の政策には、余り相応(ふさわ)しくないと言えるでしょう。

 そして、「これもバラマキではないか!」という批判に対しては、まず財源が前もって増税で回収された資金の一部に限定されるため、将来に禍根(かこん)を残さないということ、さらに定額給付金地域振興券、各種手当てなどのように広く薄く配分するケースとは違って、(選択と集中により?)100万円あれば単なる散財に留まらず「消費の物語」が生まれるかもしれないということ…などの理由で応対できると思います。

 とは言え、冒頭でも記述した通り、一番の目的は増税によって消費が低迷するのを防ぐ「激変緩和(かんわ)措置」や「緩衝(かんしょう)材」としての役割を果たすことなので、それ以上の大風呂敷を広げるつもりはありません。この政策の主旨は、あくまで賞金という名の臨時ボーナスのバラマキというより、「景気付け」や「景気のいい話」のバラマキであって、国債の乱発や埋蔵金といった「打ち出の小槌(こづち)」が使えない状況下で少しでも消費マインドの改善を目指すものなのですから…。

 こうなると、もはや経済学というより社会学や心理学の領域と言えるかもしれませんが、「貨幣錯覚」という学術用語があるように、騙(だま)すというわけではないですけれど…今の日本の厳しい財政事情を鑑(かんが)みれば、国民の皆様の感覚を「だましだまし」やり過ごして、嘘でもいいから消費者心理を改善する必要があると思うのです。

 要するに、無い袖は振れないので、ここは一つ同じ金額でも減税より還付金や給付金の方が「ありがたみ」を増すように、「当籤金」がもたらす心理的効果に期待を寄せてみようではありませんか。そして、もしかすると回数を重ねるごとに当籤者=理解者が増えたり、外れた人も周囲に当籤者が増えてきたことを実感できたり、御裾(おすそ)分けを頂戴(ちょうだい)する機会があったり、消費性向の上昇が数値として表れたりすれば、やがて波及効果で実体経済の回復へとつながり、誰もが恩恵に与(あずか)る日が訪れるかもしれません。もちろん、万に一つの希望的観測ではありますが…。


展望
 実際問題として、増税と復興宝くじを政策的にセットで行うことは難しいでしょう。しかし、とりあえず現行法の範囲内で宝くじという…元(もと)い、宝くじのような「システム」さえ徴税&納税業務の「ついで」というか一環として政策の中に組み込めばよいわけですから、本当の意味で「合体」させる必要性はないのです。

 とにかく、「単なる増税に希望はない」という大前提のもと、それでも増税が避けられないとすれば、+α(アルファ)の智慧(ちえ)が求められているわけで、例えば事実上の「宝くじの義務化」とも言えなくない政策を実施する場合、「特別付加税」という既存の制度を活用するなど、工夫の余地は大いにあることでしょう。

 いずれにせよ、復興宝くじの国際化とフクシマ条約 〔まとめ〕のコラムでも述べたように、収益金の一部が復興に使われるという公共性やボランティア精神と、当たっても外れても恨みっこなしという「くじ引き」の特性による割り切りの良さが相俟(あいま)って、損失(ハズレ)に対する購入者(投資家)の許容度が比較的大きく、寄付と投資の二面性を併(あわ)せ持つ「無利子」で参入障壁の低い宝くじという金融商品を新しい政策のオプションとして使わない手はないと思うのです。

 もちろん、悪用や乱用の恐れもあるため、きちんとした説明責任や情報公開を徹底する必要がありますし、何より新たな利権が発生しないような仕組みも構築しなければならないでしょう。そして、このアイデアを議論の叩き台草案として専門家や識者による理論武装や修正がなされ、応用可能性を秘めた宝くじが財政政策のみならず金融政策としても見直される日が訪れたら…と切に願っています。


蛇足
【1】 某テレビ番組で、全職業の確実な所得の捕捉縦割り二重行政のコスト削減に向けて「共通番号制度」の必要性を訴えつつ、その導入によって国民に番号を割り振ることができた暁(あかつき)には、抽籤(ちゅうせん)で当たった人が納税免除になる「国民ナンバーズ」というユニークな制度の提案をしていました。

 共通番号制はプライバシーや個人情報の管理など色々と課題もありますが、個人的に「復興目的宝くじ付き納税」と相通ずるものがあると思った次第です。

【2】 「復興目的宝くじ付き納税」は、もともと復興財源の調達よりもアトランダム(無作為機会均等)な所得の再分配(所得移転)による有効需要の創出と、「宝くじが当たるかもしれない」という明るい話題を全国民が共有することで、景気ならぬ「景況感」の回復を狙った「宝くじ付き納税」を原案としています。興味のある方は、下記リンク先(↓)へどうぞ。


増税の前にやるべき事 〔一覧表〕
* バラマキ4K(子ども手当て・高速道路無料化・高校無償化・農家の戸別補償)の見直し。
* 所得の捕捉率(サラリーマン:10割/自営業:5割/農家:3割/政治家:1割)の改善。
*(共通番号制度などの導入で)縦割り二重行政コストの削減。
* 国会議員の定数・歳費削減。公務員給与の引き下げ。
政党助成金の見直し。
* 米軍への思いやり予算の見直し。
* 発展途上国へのODAの見直し。
天下り渡り現役出向の廃止。


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