青年の手に収まった、小さな黄金色。
「これは……林檎だな!」
そう言うと同時に、彼は口の中にそれを放り込む。
青年の口の中に広がる香りは、確かに爽やかな林檎のものだった。
「よっしゃ、あったりぃー!」
グミを食べながらガッツポーズを決める、青空色の短髪の上に茶色いキャップを乗せた青年。名前はウィル。
「なーんか元気になってきた気がするぜー!」
彼が食べたグミには実際に体力を回復する効果があったのだが、その事には気付きもせず、支給された百血鬼──手首を覆う毛皮と白い爪のついたナックルだ──を手に取ると、楽しそうにシャドーボクシングを始めた。
「得意分野の武器が来るなんて俺ってツイてるのかねぇ」
そんなことを言いながら鼻唄混じりに動き回っていると、付近の扉がガチャッと僅かながらに音をたてて開いた。
思わず体を強張らせたウィルだったが、そこから出てきた人物を見て顔を綻ばせた。
「おう、リュウじゃねーか!」
「ウィル、か……」
リュウは一瞬複雑そうな顔をしたが、すぐに元の無表情に戻った。
「無事だったのか」
「あったりまえよー。つーか単に今まで誰とも会ってなかっただけなんだけどさ」
ずっと廊下でシャドーボクシングをしてたから、とは言わない。
やっている分には楽しいが、それをそのまま人に言うのは少々恥ずかしいくらいは知っていたウィル君であった。
「ともかく、最初に会えたのが友達でよかったよ。お前となら、この殺し合いもどうにか出来るかもしれないし」
そう言った彼が今の自分達が置かれた状況について話すリュウに違和感を感じたのは、話し合いを始めて三十分程経った頃だった。
リュウは何時も通り淡々と状況を整理していくが、それはあまりにも淡々としすぎていた。
彼がウィルと出会った頃……まだほとんどの感情を失っていた時のように、事務的に話し合いを進めていたのだ。
「……だと思うんだが。ウィル、聞いてたか?」
「あ、悪い。ちょっと考え事してた。もう一回頼む」
「全く……」
ウィルの中で違和感は確信になりつつある。
それでも、彼は問おうとしなかった。
その違和感を確認してしまったら──何かが壊れてしまうような気がしていたから。
その“何か”がウィルの命なのか、リュウの心なのか、はたまた別のものなのか……。
今はまだ、誰にも分からない。
【リュウ=ブライド】
【研究所C-1区域/午前】[MP残量:100%]
[状態]感情凍結気味
[装備]リバースアルシュピス+1、フルーツダガー
[道具]ホンスター×2、???×0~2(本人確認済)、支給品一式×2(1つに纏めている)
[行動方針]基本はステルスマーダーとして、最終的には何をしてでも生き残る
[備考]ウィルの持ち物は知らない
【ウィル】
【研究所C-1区域/午前】[MP残量:100%]
[状態]正常
[装備]百血鬼
[道具]アップルグミ×4、煙玉、支給品一式
[行動方針]
[備考]アップルグミの効果を知らない(説明書はデイパックの中)
[備考2]リュウがマーダーだとは気付いていないが警戒、彼の持ち物は知らない
アップルグミ@テイルズオブファンタジア(TOP)
食べると体力を30%回復する林檎味のグミ。
前回「次はバトルかな!」とか言ったの誰だよ俺だよこんばんはー!
久々に再開しましたオリバト。
短いけど気にしないのだよ!
というかね、本来ここで二人バトルして血みどろでうわーな展開になる予定だったんだけど……
……
…………
………………おかしいなぁ。
去年末に書いてた奴がバトル直前まで行ってたんだけど先日その紙を無くしまして。
書き直したら手組んでてアレェ……?って自分でも思ってるんだけどあっれぇ……なんでやろ……
おかげで死亡フラグが消え去った人々とかもいますねー。
うん、一番人数多いチームな。
凶悪ソロマーダーぶつけて人数減らすつもりだったよ。初期プロットだと。
考え直しますけどね!
現在位置とかちょいちょい間違ってるのがあったから修正入れました。
あと
同じ場所に二チームとかになったらまたチーム名付けるかも。